日本のビジネスシーンでは、「認識をすり合わせましょう」「方向性をすり合わせたいです」といった表現がよく使われますよね。
しかし、「すり合わせ」を英語で表現するとなると、どう言えばいいか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
実際、日本語の『すり合わせ』にぴったり対応する訳語はありません。
英語で「すり合わせ」を表現する場合は、「具体的に何をしたいのか」、それぞれの状況に合わせて、いくつかの表現を使い分ける必要があります。
この記事では、話や意見の「すり合わせ」をする時に使うフレーズを、具体的な例文とともに解説します。
英語ビジネスシーンでのコミュニケーションを誤解なくスムーズに進めたい方は、ぜひ参考にしてください。
「すり合わせ」の英語表現6つ

英語で「すり合わせ」を表現する時は、「具体的に何をしたいのか」をはっきりさせる必要があります。
そこでこの記事では、「すり合わせ」の意味を「話し合いの段階」をもとに解説します。
- align(方向をそろえる)
- make sure(認識を確認する)
- work out(話し合って決める)
- adjust(状況に合わせて話を調整する)
- clarify(不明点をはっきりさせる)
- confirm(最終的に確定する)
「すり合わせ」の意味を、このように分解すると、実際の現場でどんな英語表現を選べばよいか、分かりやすくなります。
①align(方向をそろえる)
alignは、もともと「一直線に並べる」という意味の動詞ですが、「方向性や考えをそろえる」という意味合いで、話や意見を「すり合わせる」ことを意味する英単語です。
チームや関係者の意見をまとめて、同じ方向に向かわせたい時に使われます。
バラバラのものを一直線にそろえるイメージです。
先に進む前に、認識をそろえる必要があります。
この点について認識をそろえられますか?
②make sure(認識を確認する)
make sureは「確かめる」という意味のイディオムですが、「ズレがないか確認する」という意味で、話や意見を「すり合わせる」ことを指します。
すでに話し合った内容について、「本当に合っているか」を確かめるイメージです。
細かい点を確認できますか?
お互いの認識を確認させてください。
「すでにある認識を確認する」というニュアンスで、会議でも日常的によく使われます。
③work out(話し合って決める)

work outは「うまくいく」「結果が〜になる」という意味のイディオムですが、「話し合いながら決める・解決する」という意味で、話や意見を「すり合わせる」ことを指します。
まだ決まっていないことについて、意見を出し合いながら結論を出す時に使われる表現です。
スケジュールをすり合わせましょう。
解決策をすり合わせる必要があります。
「ゼロから決める・詰める」という意味合いがあり、会議などで非常によく使われます。
④adjust(状況に合わせて話を調整する)
adjustは「調整する」という意味の英単語ですが、「すでにあるものを少し変えて合わせる」という意味で、話や意見を「すり合わせる」ことを指します。
「重大なことを決める」というよりは、「微調整する」「ズレを少し修正する」というイメージです。
スケジュールを調整する必要がありそうです。
この部分を調整しましょう。
⑤clarify(不明点をはっきりさせる)

clarifyという英単語は、「clear(透明)」に「-fy(〜にする)」という部品がくっついた状態をイメージすると理解しやすいかと思います。
「透明にする」、つまり「明確にする」という意味の英単語です。
英語ビジネスシーンでは、「あいまいな点をはっきりさせる」という意味合いで、話や意見を「すり合わせる」ことを指します。
説明が不十分だったり、少し分かりにくい部分を明確にしたいときに使います。
この点を(私から)はっきりさせておきますね。
どういう意味か教えていただけますか?
⑥confirm(最終的に確定する)
confirmは「確かめる」という意味の英単語ですが、「合っているかどうかを確認して、確定する」という意味で話や意見を「すり合わせる」ときに使われます。
日程・数字・決定事項などについて、「間違いがないか」をチェックする時の表現です。
「最終的に確定する」というイメージです。
スケジュールの最終確認をさせてください。
これを確認していただけますか?
confirmは、「これで確定していいか」チェックする場面でよく使われます。
「すり合わせ」の英語表現まとめ

これまで紹介した「すり合わせ」を指す英語表現を、表にまとめます。
| フェーズ | 一言イメージ | 何をしているか | |
| align | ①方向づけ | 方向をそろえる | まずゴール・方針を一致させる |
| make sure | ②認識確認 | ズレを防ぐ | 前提・理解が合っているか確認 |
| work out | ③すり合わせ | 話し合って決める | 詳細を詰める・合意を作る |
| adjust | ④調整 | 状況に合わせる | 条件・内容を修正する |
| clarify | ⑤明確化 | あいまいさを消す | 誤解・不明点をなくす |
| confirm | ⑥確定 | 最終決定する | 合意内容を固定する |
どの表現を選べばよいか迷ったら、「align → make sure → work out → adjust → clarify → confirm」という順番を思い出してください。
【初心者向け】「すり合わせ」のテッパン英語表現

「すり合わせ」を指す英語表現が多すぎて、把握しきれないと感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。
初心者の方は、まず以下の3つの表現を覚えてしまうとよいでしょう。
認識をそろえましょう。
目標に向かって認識をそろえましょう。
細かい点をすり合わせましょう。
この3つを使い分けられるだけでも、会議やメールでの「すり合わせ」はかなりスムーズになるかと思います。
日本人が陥りがちな「すり合わせ」のNG表現

ここでは、日本人の感覚で「すり合わせ」として使いたくなるものの、英語ビジネスシーンで不自然になってしまう表現を紹介します。
- match
- share
match
日本人の感覚で、「合わせる」というニュアンスで使いたくなる表現の1つが、matchかもしれません。
「マッチする」「マッチさせる」という意味は、一見、話や意見を「すり合わせる」のにぴったりに思えます。
しかし、「Let’s match our understanding.」という表現は、文法的には正しくても、意味的には違和感があります。
というのも、「match」には、「すでにある2つのものが、結果として一致する」というニュアンスがあります。
たとえば、「色が合う」「数字が一致する」といった場面です。
一方で、「すり合わせる」は、同じ状態になるよう、「これから合わせていく」というニュアンスが強いですよね。
このように、matchという動詞と、「すり合わせる」という言葉には意味のズレがあるため、意図が伝わりにくいのです。
share
「足並みをそろえておきましょう」というニュアンスで日本人が使いたくなるのが、shareという表現かもしれません。
しかし、shareという英単語に「すり合わせる」というニュアンスはあまりありません。
shareは、自分の考えや情報を相手に「出し合って」「伝え合う」言葉です。
それに対して「すり合わせる」は、お互いの考えを出した “あと” に、「同じ方向に持っていく」言葉ですよね。
「Let’s share our understanding.」と言った場合、お互いの考えを「出し合おう」という意味にはなりますが、考えを「そろえたい」という意図は伝わりづらいのです。
まとめ

この記事では、「すり合わせ」を英語で表現する際に使えるフレーズを6つ紹介しました。
| フェーズ | コアイメージ | 使う場面 | |
| align | ①方向をそろえる | 方向・方針を一致させる | 話し始め・方向付け |
| make sure | ②認識を確認する | ズレがないか確認する | 前提の確認 |
| work out | ③内容を詰める | 話し合って決める | 詳細調整 |
| adjust | ④調整する | 状況に合わせて修正 | 修正・改善 |
| clarify | ⑤あいまいさをなくす | 不明点をはっきりさせる | 誤解防止 |
| confirm | ⑥最終確認する | 最終的に確定する | クロージング |
「すり合わせ」を英語で表現する際は、日本語に引っ張られず、「具体的に何をしたいのか」ふさわしい動詞を選ぶと、意図が伝わりやすくなります。
私自身、日本で英語を学んでいた頃は「すり合わせ」のような言葉をいつも辞書で一語一訳に置き換えようとしていました。
でも海外で働くようになって気づいたのは、ネイティブが見ているのは「正しい単語」ではなく「あなたが今、何をしたいのか」だということ。
今日の6つの動詞も、暗記するのではなく「私は今どうしたい?」と自分に問いながら選んでみてください。
それだけで、あなたの英語は驚くほど伝わるようになります。
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ホール 奈穂子
株式会社ギャビーアカデミー代表取締役
元九州大学職員。TOEIC 990、IELTS 7.5(Speaking 8.0)を誇る、英語学習独学のスペシャリスト。27歳から英語を学び直し、自らの人生で英語習得がもたらす可能性を証明。米国赴任、留学プログラムや海外大学との共同学位取得プログラムの設計・運営に携わった経験から、日本人の英語学習における課題を深く理解し、効果的な学習方法を追求。その集大成として、東京大学と共同で、脳科学に基づいた独自の英語スピーキング習得メソッドを開発。現在カナダ・バンクーバーに在住。世界を舞台に活躍する日本人ビジネスパーソンの育成に情熱を燃やし、日本とバンクーバーを往復しながら精力的に活動中。趣味はカナダを舞台にしたサケ釣り。

