近年、ビジネスシーンはどんどんグローバル化していますよね。
それにともない、さまざまな国のビジネスパーソンと接する機会も増えるでしょう。
グローバルなビジネスシーンでは、英語でのやりとりそのものよりも、「相手の文化や価値観を理解して接すること」が重要です。
相手の国のマナーや、文化の違いを知らないと、意図せず相手に失礼な印象を与えてしまうかもしれません。
逆に、相手の国の文化を理解し、適切な言葉を選べれば、より良い第一印象を与えることができ、やがては強固な信頼関係を築くことができるでしょう。
この記事では、世界共通で役立つ基本のビジネスマナーの知識と、国別の違い、そして2025年最新のビジネスマナートレンドを、実際に使える英語フレーズとともに見ていきます。
基本の心構え|世界共通で通じるビジネスマナー

海外の取引先とのビジネスでは、言語や習慣が違っても、相手に敬意を示し、誠実に対応する姿勢は共通して求められます。特に重視されるのが、以下の3点です。
- 約束の時間を守る
- 相手への敬意を示す
- シンプルで分かりやすい英語表現を選ぶ
グローバルなコミュニケーションというと、「文法的に正しい英語表現」を追究する方も多いかもしれません。
しかし、実際には、「相手を思いやる心」と「わかりやすい伝え方」を意識すると、英語ビジネスシーンでのコミュニケーションを、円滑に進めることができます。
約束の時間を守る
どの国のビジネスパーソンが相手でも、「時間を守ること」は基本的なマナーです。
特に欧米では、数分遅刻するだけでも「信頼性に欠ける人物」と見なされることがあります。
オンラインミーティングでも、開始5分前にはログインしておくのが理想です。
どうしても時間に遅れてしまう場合は、事前に一言メッセージを送るだけでも、印象が大きく変わります。
スケジュールが時間通りに進んでいる場合、以下のようなフレーズが使えます。
時間通りに到着します。
時間通りにご参加いただきありがとうございます。
一方、やむを得ず予定より遅れてしまった場合は、以下のような表現を使いましょう。
お待たせして申し訳ありません。
遅れてしまい申し訳ありません。お待ちいただきありがとうございます。
相手への敬意を示す

相手に敬意を示すことは、世界共通のビジネスマナーですよね。
英語を使ってコミュニケーションをとる場合は、直接的な表現だけでなく、間接的でていねいな言い回しをレパートリーに入れておきましょう。
例えば、レポートを送るよう頼むとき、日本人は「Please send me the report by tomorrow.」などと言ってしまいがちですよね。
これは間違った表現ではないのですが、少し「強め」で「命令口調」なニュアンスを含んでいます。
そのため、以下のような表現を覚えておくと、相手との関係をスムーズに保つことができます。
明日までにレポートを送っていただけますか?
明日までにレポートを送っていただけると助かるのですが。
議論する場合も、真っ向から反対するのではなく、相手の意見を尊重しながら、自分の意見を発信する姿勢が重要です。
以下のフレーズを参考にしてください。
おっしゃることは分かります。ただ、私の意見は少し違います。
興味深いお話です。ただ、別の考え方もあると思います。
そして、相手が「当たり前」のことをした時も、「当たり前」ととらえず、感謝の一言を添えましょう。
お忙しい身かと存じますが、お時間をいただきありがとうございます。
迅速なご返信ありがとうございます。
いつもご支援ありがとうございます。
シンプルで分かりやすい英語表現を選ぶ
上の項では、「直接的な表現だけでなく、間接的で丁寧な言い回しも覚えておくべき」とお伝えしましたが、「あいまいさ」=「ていねい」というわけではありません。
英語ビジネスシーンには、「Clarity is kindness.”(明確さこそ思いやり)」という考えが根付いています。
また、グローバルなビジネスシーンでは、英語を母語としない相手と話すケースもありますよね。
予期せぬ誤解を防ぐために、シンプルで分かりやすい英語表現を選ぶ必要があります。
たとえば、日本人ビジネスパーソンは、「We’ll think about it.(検討します)」と言ってしまいがちかもしれません。
しかしこれは、英語では事実上の「No」ととらえられます。
本当に「検討する」つもりなら、以下のような表現を使いましょう。
社内で検討し、来週までにご連絡します。
「I’ll get back to you soon.(すぐにお返事します)」といった表現もおすすめできません。
以下のように言い換えましょう。
金曜までにご連絡します。
明日の朝にご連絡します。
具体的な「時間」や「期限」を明示するクセをつけておくとよいでしょう。
また、英語コミュニケーションの最中は、発言した相手の意図を確認することで、認識のズレを防ぐことができます。
以下のフレーズを活用してください。
それについて確認させてください。
念のため確認ですが…
その点をもう少し詳しく教えていただけますか?
国別マナーと使える英語フレーズ集

ここまで、世界各国共通のマナーを見てきましたが、国によるマナーの違いもあります。
たとえば、アメリカでは率直でスピーディーな意思決定が好まれる一方で、アジア諸国では慎重な合意形成を重んじる傾向があります。
そのため、同じ「Yes」でも、国によってニュアンスが異なることも少なくありません。
この章では、文化やマナーの違いを4つの地域に分けて紹介します。
- 北米(アメリカ・カナダ)
- ヨーロッパ(イギリス・ドイツ・フランスなど)
- アジア(中国・韓国・シンガポールなど)
- 中東・南米・アフリカ
それぞれどんな文化やマナーの違いがあるか、どのように気を付ければよいか解説します。
北米(アメリカ・カナダ)
北米(アメリカ・カナダ)のビジネスシーンでは、率直さと明確さが重視されます。
遠回しな言い方をすると、意図が伝わりにくかったり、自信のなさの表れととらえられてしまうかもしれません。
「自分と相手の意見が違う」のは当たり前で、意見が違った際にも、論理的に説明すればむしろ好印象につながります。
アメリカ・カナダのビジネスシーンでは、以下のようなフレーズが役立ちます。
本題に入りましょう。
ご意見ありがとうございます。
ヨーロッパ(イギリス・ドイツ・フランスなど)

ヨーロッパのビジネスシーンでは、礼儀正しさと専門性のバランスが重視されます。
イギリスでは遠回しで丁寧な言い方が好まれる一方、ドイツでは明確で論理的な表現が評価されます。
フランスでは形式を大切にしつつも、自分の意見をしっかり主張することが求められます。
どの国でも、感情的にならず、相手の立場を尊重しながら話す姿勢が大切です。
ヨーロッパのビジネスシーンでは、以下のようなフレーズが役立ちます。
おっしゃることは分かりますが、補足させてください。
私の意見を少し述べてもよろしいでしょうか?
アジア(中国・韓国・シンガポールなど)
アジアのビジネスシーンでは、「上下関係」や「調和(harmony)」を重んじる文化が強く、直接的な表現よりも、相手の面子を保つ言い回しや、間接的な伝え方が好まれます。
カジュアルすぎる表現より、礼儀正しく穏やかな挨拶を心がけましょう。
日本や韓国、中国では、「ノー」と言わずに断る方法を選べるかどうかが鍵になります。
以下のような表現を活用しましょう。
前向きに検討いたします。
無料サービスでのご提供は難しいですが、別のご提案が可能です。
現時点では難しいかもしれません。
中東・南米・アフリカ

中東・南米・アフリカのビジネスシーンでは、「信頼できる人間関係(trust)」が取引の基盤になります。
まずは雑談や食事などを通して関係を築き、信頼ができてから本題に入るスタイルが一般的です。
時間の感覚も柔軟で、スケジュール通りに進まないことも珍しくありません。
そのため、柔軟に対応しつつ、誠実な姿勢を見せることが成功のポイントです。
中東・南米・アフリカのビジネスシーンでは、以下のようなフレーズが役立ちます。
実際にお会いできて光栄です。
長期的なビジネス関係を築けることを楽しみにしています。
これからも連絡を取り合いましょう。
2025年・最新のビジネスマナーとは

最後に、2025年現在、グローバルなビジネスシーンでおさえておきたいビジネスマナーをおさえておきましょう。
特に注目したいのが、以下の4つのポイントです。
- “ハイブリッド型” コミュニケーションへの対応
- ESG(環境・社会・ガバナンス)
- 「自分で英語を話す」姿勢
- 多様性(ダイバーシティ)への理解
具体的にどんな内容か、解説していきます。
“ハイブリッド型” コミュニケーションへの対応
2025年のビジネスシーンでは、オンラインでのやりとりと、対面でのコミュニケーションが混在する“ ハイブリッド型” の働き方が定着しつつあります。
会議や商談がオンラインで行われることも多くなり、画面越しの印象づくりも重要になっています。
たとえば、背景はシンプルで清潔感のあるものを選び、カメラ目線で話すことで信頼感を高められます。服装も相手国の文化に合わせて整えることが大切です。
ESG(環境・社会・ガバナンス)
ESG(Environment・Social・Governance)とは、企業の持続的な成長を評価するための国際的な基準です。
「E」は環境への配慮、「S」は社会への責任、「G」は公正で透明な経営を意味します。
利益だけを追求するのではなく、環境問題や人権、企業統治などへの取り組みも重視される時代なのです。
ESGを実践することで、信頼を高め、長期的な企業価値を築くことができます。
多様性(ダイバーシティ)への理解
グローバル化が進む今、ビジネスでは多様な文化や価値観を尊重する姿勢が欠かせません。
性別・国籍・年齢・宗教などの違いを前提に、相手の考えを理解しようとする態度が信頼を生みます。
価値観の違いを尊重し、個々の力を活かすことで、新しい発想やイノベーションが生まれます。
多様性を受け入れることは、単なる礼儀ではなく、チームの創造性を高める重要なビジネススキルなのです。
「自分で英語を話す」姿勢
AI通訳ツールの普及により言語の壁は低くなっていますが、「自分の言葉で英語を話す姿勢」には今も高い価値があります。
多少の文法ミスがあっても、積極的に発言する人は信頼と好印象を得やすいものです。
むしろ、黙ってばかりいると、「意見がない人」と誤解されることもあります。
相手の文化や立場を尊重しながら、自分の考えをはっきり伝えることが、グローバルな信頼関係を築く第一歩です。
まとめ:「違い」を楽しみながら信頼関係を築こう

グローバルなビジネスの現場で、国や文化の違いを完全に理解することは難しいですよね。
そんな中でも、できる限り準備をして、「相手を尊重しようとする姿勢」が何よりも重要です。
文化の違いを「壁」としてではなく、「学びと発見のチャンス」として受け止めることで、より豊かな国際的コミュニケーションが生まれます。
世界のどこにいても通じるのは、相手を思いやる気持ちです。マナーを、相互理解のための「かけ橋」として活かしていきましょう。
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ホール 奈穂子
株式会社ギャビーアカデミー代表取締役
元九州大学職員。TOEIC 990、IELTS 7.5(Speaking 8.0)を誇る、英語学習独学のスペシャリスト。27歳から英語を学び直し、自らの人生で英語習得がもたらす可能性を証明。米国赴任、留学プログラムや海外大学との共同学位取得プログラムの設計・運営に携わった経験から、日本人の英語学習における課題を深く理解し、効果的な学習方法を追求。その集大成として、東京大学と共同で、脳科学に基づいた独自の英語スピーキング習得メソッドを開発。現在カナダ・バンクーバーに在住。世界を舞台に活躍する日本人ビジネスパーソンの育成に情熱を燃やし、日本とバンクーバーを往復しながら精力的に活動中。趣味はカナダを舞台にしたサケ釣り。

