2024.04.13英語ビジネス

異文化理解とは|海外就職で役立つ「異文化理解力」について分かりやすく解説

最近は日本で働く外国人の数も増え、外国人ビジネスパーソンと接する機会のある方も増えてきたのではないでしょうか。

しかし、外国人と接していて、「信じられない!」「なぜそんな行動をするの!?」と、文化の違いにショックを受けたことのある方も少なくないでしょう。

外国人と働いたり、生活を共にしていくためには、相手の文化や価値観を尊重し、受け入れようと努力する「異文化理解」の姿勢が不可欠です。

この記事では、異文化理解に役立つ様々な「異文化理解力」の考え方を紹介します。
異文化理解の態度を身につけることで、外国人ビジネスパーソンとの仕事をスムーズに進められるでしょう。

異文化理解とは

そもそも異文化理解とは、文化や習慣の違いを認め、互いに尊重し、相互に理解しようとする態度のことを意味します。

外国人と接すると、文化や習慣の違いを強く感じることもあるかと思いますが、日本にいても、親と意見が合わなかったり、男女間で意見が異なったりしますよね。

異文化理解は、そういった「文化や習慣が違う人」の考え方や価値観の違いを理解し、受け入れようとする態度のことをいいます。

異文化理解は日本人同士でも大事な問題ですが、この記事では、外国人との間の異文化理解についてお話します。


なぜ異文化を理解する必要があるのか


なぜ異文化理解の態度が必要なのかというと、外国人とのコミュニケーションを円滑に進める重要性が高まっているからです。
日本で働く外国人の数は年々増えており、厚生労働省が発表した「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)によると、外国人労働者数は初めて200万人を超え、届出が義務化された平成19年以降、過去最高を記録しています。

外国人ビジネスパーソンと接するには、お互いに相手の文化や習慣を理解し、受け入れる異文化理解力が不可欠です。

異文化理解の態度が確立されていないと、以下のようなリスクにさらされてしまいます。

  • 相手に不快感を与えてしまうおそれ
  • また、コミュニケーションそのものが成り立たないおそれ

  • それぞれ詳しく見ていきましょう。

    相手に不快感を与えてしまうおそれがある


    異なる文化圏に属する相手とコミュニケーションをとる時は、文化の違いを理解しておく必要があります。

    相手の文化について知識がないと、場合によっては相手に強い不快感を与えてしまう恐れがあるのです。

    例えば、日本で当たり前に使われているジェスチャーが、海外の人にとって異なる意味を持つ場合があります。

    具体的に例を挙げると、ピースサインはギリシャ人にとって相手を侮辱する意味を持ちます。
    また、親指を立てる「いいね!」というサインは、中東・西アフリカ・南米などでは非常に下品なしぐさです。

    さらに、親指と人差し指で丸を作る「OKサイン」はほとんど日本でしか使われておらず、フランスでは「お前は無能だ」という意味になったりするので、海外では避けた方がよいでしょう。

    このような例は、挙げればきりがありません。
    外国に赴任して仕事をする時や、日本で外国人ビジネスパーソンと一緒に仕事をする際は、相手の国の文化について調べておくのがおすすめです。

    コミュニケーションが成立しないおそれがある

    異文化コミュニケーションをする上で知っておきたいのが、「ローコンテクスト」と「ハイコンテクスト」という考え方です。

    「コンテクスト(context)」は直訳すると「文脈」ですが、いわゆる「空気を読む」と同じ意味合いです。
    そして「ハイコンテクスト文化」は空気を読む高い能力を求められる文化、「ローコンテクスト文化」は「あまり空気を読まなくてもいい文化」といえます。

    アメリカをはじめとする英語圏は「ローコンテクスト文化」の国が多く、物事をはっきり発言することが求められます。

    それに対し、日本は「ハイコンテクスト文化」が浸透しており、「空気を読む」「場の雰囲気に合わせる」ことが美徳とされています。

    そのため、日本人は英語を話す際も、遠回しな言い方を好みがちです。しかし、遠回しな言い方ばかりしていては、相手に正しく意図が伝わらなかったり、主体性のない無能な人間とみなされてしまう可能性があります。

    例え高い英語力を持っていても、異文化を背景とする相手とコミュニケーションをとる能力がなければ、意思疎通が成立しない可能性があるのです。

    異文化理解に役立つ考え方①:6次元モデル

    この章で紹介するのは、「ホフステードの6次元モデル」といわれる「異文化のとらえ方」の指標です。
    「6次元モデル」などというと、少し小難しい印象を受けるかもしれませんが、企業のグローバル対応支援などにおいてよく使われる指標なので、ざっと理解しておくと便利です。

    権力格差

    権力格差(上下関係の強さ)においては、日本の場合、0〜100点で評価すると、54点となっています。
    つまり、世界的にみて、日本の「上下関係」のとらえかたは、平均的ということです。

    東南アジア諸国・中国・インド・フランス・中南米諸国などは日本に比べて上下関係が強く、上司や年長者の言うことを聞き、敬意を表す文化といえます。

    一方、北欧諸国・イギリス・アメリカ・ドイツなどの国は上下関係は弱く、上司は「コーチ」のような役割に過ぎません。

    よく「海外の企業はフレンドリー、日本の企業は縦社会」といわれたりしますが、一概にそうとは言い切れないのです。

    個人主義 vs. 集団主義

    6次元モデルには、「個人主義の文化か、集団主義の文化か」という指標も設けられています。
    「個人主義の文化」とは、グループの利益より個人の利益が優先される文化、そして「集団主義の文化」とは、個人の利益よりグループの利益が優先される文化のことです。

    集団主義を0点、個人主義を100点に設定すると、日本の点数は46点。やや集団主義寄りですが、やはり平均的な文化といえます。

    個人主義の傾向が強いのは、アメリカ、オーストラリア、イギリスなどで、中国、東南アジア、中東、中南米の国は日本よりも集団主義的な国とされています。

    日本は過度に集団主義的な国と思われがちですよね。欧米出身の方から見れば確かにそうなのかもしれませんが、全世界的にはそうとも限りません。

    文化は相対的なものです。自分が「普通」であり、相手が「おかしい」とするのは、ものの狭い見方といえるでしょう。

    男性性 vs. 女性性

    ここでいう「男性性」「女性性」は、性別とは全く関係なく、心理学や社会学で使われる用語になります。

    男性性の強い文化では、社会的に成功することが求められます。目標を定めてそれに向かってまっすぐ進む人や、「道を極めようとする」人が称賛される傾向にあります。

    男性性の強さでいうと、日本はなんと全75ヶ国中1位の95点。
    「男らしい」「女らしい」という表現が多用される傾向にあり、仕事を生きがいとする人も多いといえます。

    ただ、この調査が行われたのは1970年代であり、現在の傾向とは異なっている可能性が高いです。
    現在は「草食系男子」や「ワークライフバランス」という言葉の出現からも分かるように、極端な男性性は緩和されつつあります。
    高い男性性が見られたのは、日本以外ではアメリカ・イギリス・中国・メキシコ・ドイツなどです。

    一方で女性性の高い文化では、弱者に対して寛容で、社会的成功を目指すより、大切な人と一緒に過ごす時間を大切にする傾向にあります。

    北欧諸国、タイ、韓国、ベトナムなどは女性性の強い文化といわれています。

    女性性の強い文化をバックグラウンドに持つビジネスパーソンと一緒に仕事をする時、日本式の「仕事を第一に考える」男性的な価値観を押し付けてしまうと、トラブルのもとになりかねません。

    不確実性の回避

    不確実性の回避とは、「失敗やリスクをおそれるかどうか」と言い換えることもできます。

    日本は不確実性をおそれる(100点中92ポイント)文化が浸透しているといえます。

    逆をいえば、多くの海外の国の文化では日本よりも失敗やリスクをおそれない、言い換えれば「いい加減」な傾向が強いのです。

    日本のビジネスシーンでは、あらゆるリスクを吟味した上で物事を実行に移しますよね。

    しかしアメリカを代表とした海外のビジネスパーソンは、見切り発車的なスピードで物事を進めます。

    日本人にとっては「何でそんなにいい加減なんだ」とイライラするかもしれませんが、海外のビジネスパーソンからすれば、「何でそんなにもたもたするんだ」とイライラさせられるのです。

    このようなお互いの特徴をきちんと理解することで、協力して物事を進めることができます。

    長期志向 vs 短期志向


    日本企業は、当面の利益を犠牲にしても、長期的な成功を見据えてビジネスを展開する長期志向の強い文化(88ポイント)が浸透しています。

    一方、アメリカの企業は常に四半期決算などの結果が求められる短期志向(26ポイント)のため、日本企業の考え方が通用しない傾向にあります。

    この指標においては、とくにアメリカの短期志向が極めて強く、日本・中国・韓国・台湾などの長期志向の国との違いが大きいことが浮き彫りになります。

    欧米のビジネスパーソンと仕事をする時には、相手の短期志向的な文化を理解しつつ、自分の長期志向について説明し、意見をすり合わせることが成功のカギになるといえます。

    人生の楽しみ方

    この指標は、「物事に対してポジティブ(快楽的)かネガティブ(抑圧的)か」を表しています。

    ポジティブ傾向の強い国の代表例としては、メキシコ・スウェーデン・イギリス・アメリカなどが挙げられます。

    一方、ネガティブ傾向が強いとされているのは、東ヨーロッパ諸国・中国・インドなどです。
    日本はネガティブ寄りの中間(42点)です。

    このポジティブさ・ネガティブさは、仕事に対する姿勢に影響を与えます。

    ポジティブ傾向の強い国の人は「もっと楽しんで仕事をすればいいのに」と考える一方、ネガティブ傾向の国の人は「何でもっと真剣に仕事をしないんだ」と考えるかもしれません。

    こういった考えの違いもトラブルのもとになりかねないため、相互理解に取り組むことが重要です。

    異文化理解に役立つ考え方②:カルチュラル・インテリジェンス(CQ)

    ホフステードの6次元モデルに加えて、もう1つ押さえておきたいのがカルチュラル・インテリジェンス(CQ、文化的知能指数)という考え方です。

    「IQ(知能指数)が高いだけでは社会的に成功しない、EQ(感情指数、こころの知能指数)も重要だ」という話を聞いたことのある方も多いかもしれません。

    そして異文化理解において注目したいのがCQ(カルチュラル・インテリジェンス)なのです。

    カルチュラル・インテリジェンスとは何か

    カルチュラル・インテリジェンス(CQ)とは、文化の垣根を越えて上手にコミュニケーションを図る能力のことです。
    個別の文化に限らない「国際的なバランス感覚」のようなもので、グローバルなビジネスにおいてリーダーシップをとるのに不可欠な能力とされています。

    海外生活の長さや職歴は関係なく、トレーニングによって誰でも向上させることができます。

    異文化理解において、それぞれの文化について調べるのはもちろん必要ですが、カルチュラル・インテリジェンスが身についていると、文化の違いについて、何が違うのか深く考え、理解し、戦略を立て、よい方向に調整することができるのです。

    カルチュラル・インテリジェンスを身につけるには

    デイヴィッド・リバーモア博士によると、カルチュラル・インテリジェンスを身につけるには、4つのステップをクリアする必要があるとのことです。

  • 異文化について理解したいと思う気持ちを持つ(モチベーション)
  • 異文化間で起こる問題と、文化の違いを理解する(認知)
  • 文化的違いにどう対処したらいいか戦略を練る(メタ認知)
  • 異文化に対応し、リーダーシップを発揮する(行動)

  • まずは異文化に対して興味を持ち、ターゲットとなる文化について知りたいと思う気持ちが必要です。

    その上で、自分の文化を「普通」の基準にすることをやめ、ターゲットとなる文化について広く学びましょう。
    その国で広く信仰されている宗教、男女の文化的な役割、経済、ビジネス、法律、政治のシステムなどを知っておくことで、その文化の中で働くときの自信につながります。
    もちろん、その国の言語を学ぶことも重要です。

    異文化に関する知識を得たら、その知識をもとに、異文化がぶつかり合ったらプロジェクト内で何が起こるか、戦略を立てましょう。 この時、知識ばかりに偏って頭でっかちにならないようにしましょう。

    そして実際に行動に移すわけですが、言葉選びやジェスチャーは慎重に行いましょう。
    また、異文化には適応しなければならない時もありますが、どこまで譲るか・譲らないか一線を引くことも大事です。

    まとめ

    この記事では、異文化を理解する上で役立つ2つの考え方について解説しました。

    その1つ、「ホフステードの6次元モデル」から分かることは、文化は相対的であるということです。

    「日本は集団主義、海外は個人主義」とよく言われますが、実は日本の集団主義は全世界的にみて中間程度であり、東アジアや東南アジア諸国はむしろ日本よりもっと集団主義であるというデータが出ています。

    つまり、国によって文化は大きく異なるため、欧米、とくにアメリカの文化ばかりを参考にしても、中国や韓国、タイやベトナムなどでは通用しないということです。

    異文化を理解するためには、それぞれの国の文化について個別で学ばなければなりません。

    ただ、個別の文化を学ぶだけでなく、国際的な「バランス感覚」、つまり「カルチュラル・インテリジェンス(CQ)」を身につけておきたいものです。

    カルチュラル・インテリジェンスを身につけるには、まず相手の国の文化について興味を持ち、調べることから始めましょう。

    相手の文化について知識もないまま、自分の文化を押し付けるだけでは、いくら語学が堪能でも、コミュニケーションがとれなくなってしまいます。

    一方で、ただただ「相手に合わせる」のは、真の「異文化理解」とはいえません。

    特にビジネスにおいては、「譲れない一線」が必ず出てくると思います。

    日本の文化を適切に発信しつつ、相手の意見も取り入れ、意見をすり合わせることで、真の異文化コミュニケーションが成り立つのです。


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