最近のビジネスシーンでは、「仕組みづくり」という言葉を耳にするようになってきましたよね。
英語ビジネスシーンでもよく使われる言葉ですが、英語で表現するとなると、どうすればよいか困ってしまう方が多いのではないでしょうか。
make a systemという英語表現を連想しがちかもしれませんが、これはかなり不自然です。
日本語の「仕組みづくり」を正確に表す対訳はありません。状況に応じていくつかの英語表現を使い分ける必要があります。
この記事では、ビジネスシーンでよく使われる5つの「仕組み」を指す表現をピックアップしながら、「仕組みづくり」を英語でどう捉え、どう使い分けるべきか、解説します。
仕組みづくり=make a systemではない

「仕組みづくり」を直訳すると、make a systemという言い方になるかもしれません。しかし、さきほど指摘したように、この表現はかなり不自然です。
systemは「完成された全体像」を指す言葉です。それに対し、「make」は「イチから何かを作り上げる」というニュアンスがあります。
そのため、make a systemは、「完成されたものを、これから作りあげる」という、どこかちぐはぐな表現になるのです。
systemを使って英語で「仕組みづくり」と言う場合は、「build a system」や「create a system」といった動詞を選ぶとよいでしょう。
ただ、systemという単語の使い方にも注意が必要です。
英語のsystemはあくまで「完成された全体像」を指すため、systemだけで「仕組みづくり」を語ろうとすると、話が曖昧になってしまいます。
たとえば、以下の文を見てください。
仕組みを改善する必要があります。
この文だけは、「現状をよりよくしたい」という意図は伝わりますが、「何をどう変えるのか」ははっきりしません。
英語ビジネスシーンでは、「仕組み」を以下のような要素に分解し、「自分が今、どの段階に立って話しているか」を考える必要があるのです。
- 全体像(system)
- 業務の流れ(process)
- 判断の枠組み(framework)
- ミスなどを防ぐ仕掛け(mechanism)
- 要素の構成(structure)
そしてたとえば、以下のような言い方をすることで、より具体的に話を進めることができます。
業務の流れを改善する必要があります。
作業の枠組みを明確にする必要があります。
次の章では、上に挙げた5つの単語の使い方を、一緒に使われる動詞とともに解説します。
「仕組みづくり」に使われる英語表現5選

この章では、「仕組みづくり」について語る際に使われる、「仕組み」を指す英単語を、一緒に使われる動詞とともに紹介します。
- system
- process
- framework
- mechanism
- structure
それぞれくわしくみていきましょう。
system
systemは「仕組み」を表す、もっとも基本的で汎用性の高い単語です。
ただし、単独で使うとやや抽象的な表現なので、具体的な動詞とセットで使うことをおすすめします。
たとえば、以下のような組み合わせです。
- build a system(仕組みを構築する)
- set up a system(仕組みを立ち上げる・整える)
具体的な使い方は、以下の例文を参考にしてください。
顧客データ管理の仕組みを構築する必要があります。
進捗を管理する仕組みを整えましょう。
そのほかに、implement a system(仕組みを導入する)といった表現もあります。
process
processは「業務の流れ」や「手順」を表す、非常に実務的な単語です。
「仕組みづくり」の中でも、特に業務の再現性を整える場面でよく使われます。systemよりも具体的なニュアンスがあり、「どう進めるか」にフォーカスしているのが特徴です。
processは、以下のような動詞と組み合わせて使われることが多いです。
- create a process(プロセスを作る)
- improve a process(プロセスを改善する)
- establish a process(プロセスを確立する)
create a processは、業務の流れが曖昧になっているときなどに、新しく整理する場面でよく使われます。
顧客対応をより効率的に行う仕組みを作る必要があります。
誰でも対応できるシンプルな仕組みを作りましょう。
improve a processは、既存のやり方をより効率的にしたいときに使われる表現です。
業務がよりスムーズに進むようにプロセスを改善しましょう。
より安定した運用にするため、このプロセスを改善すべきです。
最後に、establish a processは、「プロセスをルール化し、組織に定着させる」というニュアンスの、ややフォーマルな表現です。
新入社員向けの明確なプロセスを整えましょう。
業務が一貫して処理されるような仕組みを整える必要があります。
framework

frameworkは「考え方の枠組み」や「全体の設計」を表す単語です。
processが「業務の流れ」にフォーカスするのに対し、frameworkは判断基準や進め方の土台に焦点があります。
評価、意思決定、戦略など、抽象度が高めの場面で使われる表現です。
frameworkは、実践的には以下のような組み合わせで使われます。
- create a framework(仕組み [枠組み] を作る)
- use a framework(既存の仕組み [枠組み] を使う)
- establish a framework(仕組み [枠組み] を定着させる)
create a frameworkは、考え方や評価基準を整理したいときに使います。
アイデアを評価するためのシンプルな枠組みを作りましょう。
全員がルールを理解できるような明確な枠組みを作る必要があります。
use a frameworkは、既存の枠組みを「使う」という場面でよく使われ、特に会議や説明の中で頻出の表現です。
顧客フィードバックを体系的に分析する仕組みとしてフレームワークを使っています。
レポーティングの一貫性を保つ仕組みとしてフレームワークを使っています。
establish a frameworkはややフォーマルな表現です。組織として共通の考え方を持たせたいときに使われます。
部門間で知識を共有する仕組みを確立しましょう。
社内ルールを守るための仕組みを確立する必要があります。
mechanism
mechanismは「どのように機能するか」という仕組みの「動き」や「はたらき」に焦点を当てた単語です。
systemやprocessが「全体」や「流れ」を指すのに対し、mechanismは「なぜそれが機能するのか」を説明するときに使われます。
会議や資料などの説明的な場面で頻出の表現です。
mechanismは、introduceと組み合わせて使われることが多いです。
「introduce a mechanism(仕組みを導入する)」という表現は、新しいルールや仕掛けを取り入れる場面で使います。
問題を早期に発見する仕組みを導入する必要があります。
進捗を把握する仕組みを導入しましょう。
また、機能面にフォーカスしたい場合は、build a mechanismという表現を使うこともあります。
structure

structureは、物事の「構造」や「組み立て方」を指す単語です。
systemやprocessが「全体」や「流れ」を表すのに対し、structureは要素の配置や関係性にフォーカスします。
たとえば、組織体制・資料構成・情報設計などが、「どういった構成か」を説明したいときに使われるのがstructureです。
実践的には以下のような組み合わせで使われることが多いです。
- build a structure(仕組み [構造] を作る)
- create a structure(仕組み [構造] を作る)
- define thea structure(仕組み[構造] を明確にする)
build a structureは、「ゼロから設計する」というニュアンスがあり、幅広い場面で使えます。
業務がより効率的に整理されるような仕組みを構築する必要があります。
チーム間の連携を改善する仕組みを構築すべきです。
create a structureは、buildとほぼ同じ意味で使えますが、よりニュートラルで柔らかい印象です。
承認フローを効率化する仕組みを作るべきです。
責任の所在を明確にする仕組みを作りましょう。
define the structureは、「構造をはっきり決める・明確にする」という意味で、すでにある程度形があるものを整理するときに使われます。
少し難易度は高いですが、実務でよく使われる表現なので、ぜひおさえておいてください。
作業を始める前に、業務の仕組みを明確にする必要があります。
役割と責任を明確にするための仕組みを定義すべきです。
まとめにかえて

この記事では、以下の5つの「仕組み」を指す英単語をピックアップして、相性の良い動詞と組み合わせて「仕組みづくり」という表現を解説してきました。
| 単語 | コアイメージ | 意味 | 場面 |
| system | 全体 | 全体の仕組み | 管理・運用 |
| process | 流れ | 作業の手順 | 業務の進め方 |
| framework | 枠 | 考え方の土台 | 判断・整理 |
| mechanism | 仕掛け | 動く仕組み | 再発防止 |
| structure | 形 | 組み立て | 設計・構成 |
build, create, establishなどの動詞を何回か扱いましたが、もちろん「仕組みづくり」を表す際は、ほかの言い方も使われます。
たとえば、以下のようなものです。
確認のステップ [仕組み] を追加しましょう。
同じことが起きないようにする [仕組みを作る] 必要があります。
大切なのは、必ずしもsystemやcreateなどにとらわれず、「何を変えたいのか」そのまま言語化できるようトレーニングすることです。
そうすると、「仕組みづくり」と切り離せない、「属人化を防ぐ」という難しい表現にも、攻略の道筋が見えてきます。
以下の表現を見てください。
- reduce dependency on individuals(特定の人への依存を避ける)
- standardize the process(プロセスを標準化する)
- document the process(プロセスを記録する)
英語ビジネスシーンでは、日本語を直訳しようとするのではなく、常に「何を」「どうしたいのか」、具体的な名詞と動詞で表現することを心がけましょう。
ビジネス英語を学ぶおもしろさは、単に言葉が通じるようになるだけでなく、自分の『ビジネス思考そのもの』がロジカルに洗練されていく点にあります。
『仕組みを作る』を process や framework に切り分ける作業は、まさにあなたの思考の解像度を上げるトレーニングそのものです。
ギャビーアカデミーが目指すのも、こうした『論理的に世界と渡り合う力』の育成です。
学びを重ねるごとに、皆さんのビジネスキャリアが世界へ広がっていくことを、心から応援しています。
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ホール 奈穂子
株式会社ギャビーアカデミー代表取締役
元九州大学職員。TOEIC 990、IELTS 7.5(Speaking 8.0)を誇る、英語学習独学のスペシャリスト。27歳から英語を学び直し、自らの人生で英語習得がもたらす可能性を証明。米国赴任、留学プログラムや海外大学との共同学位取得プログラムの設計・運営に携わった経験から、日本人の英語学習における課題を深く理解し、効果的な学習方法を追求。その集大成として、東京大学と共同で、脳科学に基づいた独自の英語スピーキング習得メソッドを開発。現在カナダ・バンクーバーに在住。世界を舞台に活躍する日本人ビジネスパーソンの育成に情熱を燃やし、日本とバンクーバーを往復しながら精力的に活動中。趣味はカナダを舞台にしたサケ釣り。

