2024.03.23英語ビジネス

異文化理解のメリット5選|異文化に接する際の注意点も解説

近年、グローバル化が進み、日本企業の海外進出が増えてきました。また、日本にいながらにしても、外国人と接する機会が増えてきています。

それに伴い、外資系企業のみならず、国内企業でも、グローバル人材のニーズが増しています。

そして、グローバル人材に必須のスキルの1つとして、「異文化理解力」が挙げられます。

自国と異なる文化を柔軟に受け入れる姿勢がなければ、いくら語学が堪能でも、異なる文化を背景とする人々とのコミュニケーションは成立しません。

この記事では、グローバルに活躍する人材には欠かせない「異文化理解」について解説します。

海外就職を見据えている方、仕事で外国人と接する機会を控えている方はぜひ参考にしてください。

異文化理解とは

異文化理解とは、お互いの国の文化の違いを認め、互いに尊重し、相互に理解しようとする態度のことを指します。

海外を訪問したりに滞在したりすると、文化や習慣の違いを強く感じることがありますよね。

そんな時、日本特有の文化を「常識」と思い込み、それに外れた行動・言動をする相手を「非常識」と決めつけてしまうと、異なる文化を背景としている人との関係が崩れてしまうことがあります。

異文化理解が必要なシチュエーションにおいては、日本文化に影響された固定観念を捨てて、柔軟な態度で相手を理解しようと努める必要があるのです。

また、相手の文化的背景を理解しようとするだけでなく、自分の文化的背景を適切に説明し、お互いに「分かりあう」ことを目指すのが真の異文化理解といえます。


異文化を理解するメリット5選


ここまで、異文化理解とは何かについて解説してきました。それでは、異文化を理解するメリットとは何なのでしょうか。

社会人にとって最も大きなメリットとなるのが、グローバル社会でビジネスチャンスに巡り合えるという点です。

しかし、異文化理解には、国際社会で生きていく上で大きなメリットとなるポイントがたくさんあります。

具体的には、以下の5つです。

  • グローバル社会でビジネスチャンスを得ることができる
  • 新しい言語を学習できる
  • 今までとは違った価値観に触れられる
  • 自分の国や自分を振り返るきっかけになる
  • 忍耐力がつく

  • それぞれ詳しく見ていきましょう。

    グローバル社会でビジネスチャンスを得ることができる


    異文化を理解することで、外国の方など異なる文化的背景を持った人々と、スムーズに仕事を進められるというメリットがあります。

    お互いの文化や習慣がわからないと、自分の理解できない相手の発言や行動に対して不満がたまってしまいます。

    不満を持った状態で一緒に仕事をしても、効率が悪くなるばかりか、仕事のパフォーマンスも下がっていくでしょう。

    反対に、異文化に対して深い理解を備えていると、相手の習慣や価値観を尊重しながら効率よく仕事を進められます。

    また、上司として異なる文化的背景を持つメンバーたちをまとめ上げる場合にも、異文化理解のスキルが役立ちます。

    日本の常識で考えてしまうと「なぜこれができないんだ」「なぜこんなことをするのだろう」と疑問ばかりがふくらみ、メンバーの考え方が理解できず、うまく指示ができないことがあるかもしれません。

    しかし、相手の文化や習慣を理解していれば、よりメンバーに合わせた指示を行うことで、チームをひとつにまとめることができるでしょう。

    新しい言語を学習できる

    異なる文化的背景を持つ人々と話そうとすると、日本語だけではコミュニケーションが難しくなる場面が出てきます。

    そんな時に、「自分の言いたいことは相手の言葉でなんといえばいいのだろう?」という疑問などがわいてきて、自然と新しい言語を学ぶきっかけが生まれます。

    相手を理解しようとして言語を学ぶと、明確な目的なくただ漠然と言語を学ぶより、はるかに早く言語を覚えることができます。

    外国語、特に英語は、将来のキャリアアップにつながる可能性も高いので、異文化理解を通してぜひ身につけておきたいスキルです。

    今までとは違った価値観に触れられる

    異文化を理解しようとすると、今まで自分が持っていたものとは異なる価値観や、新しい考え方を知ることができるようになります。

    異なる文化的背景を持った人々と交流することで、今まで自分が「当たり前」だと思っていた価値観や習慣が実は「当たり前ではない」と気付くこともできます。

    今まで狭い世界に収まっていた価値観を広げることで、自分自身を客観的に見つめ直す機会にもなるため、自己の成長にもつながるでしょう。

    自分の国や自分を振り返るきっかけになる

    異文化理解をするにあたっては、相手の文化を理解しようと努めるだけでなく、自分の文化を適切に説明する必要があります。

    そのため、日本や日本文化について改めて知るよい機会にもなります。

    実際、異文化交流の機会では、日本に関する質問をされることが多いです。そのため、日本の歴史や文化、観光名所など、日本について理解を深めておくことが求められます。

    特に観光名所は、一般的に知られているところだけではなく、「マイナーだけどおすすめの場所」などを把握しておくと喜ばれます。

    また、自分自身について聞かれることもあるでしょう。そんな時どう答えていいかシミュレーションしておくことで、自国の文化や自分自身について理解を深めることができるのです。

    忍耐力がつく

    異文化理解を通じて得られる意外なメリットとして、「忍耐力が身につく」ことが挙げられます。

    異なる文化的背景を持つ人々が、流ちょうな日本語を話せるとは限りません。そしてこちらも流ちょうな外国語を話せるとは限りません。
    そのため、最初はうまく意思疎通が図れない可能性があります。
    手振りをまじえたりして、どうしたら相手に自分の気持ちが伝わるか工夫する必要があります。

    また、結局自分の考えが相手に伝わらなくても、相手に合わせてその場をうまく成立させるなどの努力が必要になります。

    これらの工夫や努力が、結果として忍耐力の向上につながるといえます。

    国内外で就職する際にも、忍耐力のある人物かどうかは非常に重視されるポイントです。
    異文化理解を通じて、社会人としての基盤を築くことができるといえます。

    異文化に接する際に注意したいこと5つ

    これまで、異文化を理解するメリットについて紹介してきました。しかし、異文化理解をする際には、留意すべきこともいくつかあります。
    具体的には、以下の5つです。

  • 相手を理解したいと思う気持ちを持つこと
  • 間違いを恐れないこと
  • 言葉だけでなく表情や仕草にも注意を払うこと
  • 日本の文化や習慣を押し付けないこと
  • 差別をしないこと

  • それぞれ詳しく見ていきましょう。

    相手を理解したいと思う気持ちを持つこと

    異文化理解においてまず重要になるのは、「相手を理解したい」という気持ちです。

    相手の文化やその人自身を理解したいという気持ちがなければ、円滑なコミュニケーションを図ることはできません。

    相手と積極的に交流したいと望む気持ちが、積極的な異文化コミュニケーションにつながります。

    間違いを恐れないこと


    異文化を理解する上で重要なのが、「間違いを恐れない姿勢」です。

    例えば、TOEICを運営している国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が行った「英語のスピーキングに関する実態と意識」という調査によると、85.2%のビジネスパーソンが「英語で話すことが好き」と答えています。

    その一方で、発音に自信がないために「英語を話したくないと思ったことがある」と答えた人も64.4%にのぼりました。

    発音だけでなく、語彙力や流ちょうさにおいて、英語に自信を持てない人も多いようでした。

    しかし、コミュニケーションにおいては、間違いを恐れずに自分の気持ちをしっかりと伝えることが大切です。

    間違うことを恐れて何も言わず、何の情報も発信しないままでいると、そもそも意思疎通をはかることができません。

    しかし、つたないながらも何とかコミュニケーションをとろうと努力すれば、互いに理解しあえる可能性が生まれます。

    異文化理解のためには、間違いを恐れず「何とかコミュニケーションをとろうと努力する」姿勢が大事なのです。

    言葉だけでなく表情や仕草にも注意を払うこと

    異文化を理解するにあたっては、言葉によるコミュニケーションも大切ですが、表情や仕草も大切なコミュニケーションツールの一つです。

    例えば、国によっては腕組みをすることは「敵対」を示す動作となりますし、親指と人差し指でマルを作る動作や、親指を立てる動作は強い侮辱ととられることがあります。

    ただ、笑顔やあいさつは万国共通です。そのため、日ごろからにこやかな表情で積極的に挨拶をするよう心がけるとよいでしょう。

    日本の文化や習慣を押し付けないこと

    世界各国にはさまざまな文化があるため、日本の文化を押し付けないように意識することがとても大切です。

    例えば、日本では会社に1年でも早く入社した人を「先輩」として扱い、敬語を使うことなどが求められますよね。

    しかし、海外では基本的に上司を含む職場の人間を「同等」に扱う分野が普及しているため、このような習慣に違和感を感じる人が多くいます。

    すべて外国人に合わせる必要はありませんが、丁寧に説明することを心がけ、外国人にとっては日本の「当たり前」では「当たり前」でないことを理解した上で接しましょう。

    差別をしないこと

    異文化理解以前に、当然のことではありますが、外国人であることを理由に差別をしないように意識しましょう。

    残念ながら、日本では、外国人に対する差別意識がまだ根強く残っています。

    法務省が発表している「外国人住民調査報告書」によると、「外国人であることを理由に、侮辱など差別的な発言をされたことがありますか」という問いに、「よくある」と答えた人は2.7%、「たまにある」と答えた人は「27.1%」と、全体の29.8%に及びました。

    また、直接的に差別的な言動を向けられていないケースでも、外国人であることを理由に就職を断られてしまったり、「外国人お断り」と書かれた物件を見て、入居をあきらめたりするケースがあったそうです。

    外国人だからといって相手を差別することは、そもそも人としてのモラルに反しますし、実際問題、業務もうまくまわらず、経済的にも大きな損失につながります。

    相手が外国人だからと言って差別意識を持たないことを意識し、もしどうしても差別意識が消えないようであれば、それを言動として表に出さないように心がけましょう。

    まとめ

    異文化を理解しようとする際には、相手の文化を否定しないこと、日本の文化を否定しないことなど注意すべき点がいくつかあります。

    しかし、異文化を理解する上で日本人が最も重視すべきなのは、「間違いを恐れないこと」ではないでしょうか。

    外国語、特に英語に自信がないことが理由で、ビジネスチャンスや人生を変えるような出会いを逃してしまうのは、非常にもったいないことです。

    互いに「分かりあいたい」という気持ちがあれば、少々の誤解や間違いは乗り越えられます。

    間違いを恐れず、自分とは異なる文化的背景を持つ人々に話しかけてみてください。
    そして例えうまくいかなくても、めげずに何度も話しかけてください。

    じょじょに日本と違う文化に触れる面白さに気づき、思わぬ自己の成長につながったりするかもしれませんよ。


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