2023.12.23英語ビジネス

新卒で海外就職する方法|日本との違いと必要なスキルや注意点・国別の特徴まで解説

新卒での就活は、既卒や転職に比べると選択肢が多く、有利な条件で進めやすい傾向が強いですよね。
キャリアアップや自分らしい働き方を求めて、海外へと就職先の目を向ける人も多いでしょう。

しかし、日本国内での就職と海外での就職には、いくつか大きな違いがあります。
そこで今回は、日本と海外で就職活動を行う際の違いについて解説し、新卒で就職活動をするにはどうすればいいか解説します。

新卒で海外就職を目指す大学生・高校生の方はぜひ参考にしてください。

日本と海外の就職活動の違い


新卒で海外就職する際には、まず日本と海外の就職活動の違いについて知っておく必要があります。
「新卒採用」という風習は日本独特のもの。海外では必要な人材を随時即戦力として採用する傾向があります。
日本と海外の就職事情を詳しく見ていきましょう。

新卒採用がない


日本では大学卒業予定者を対象に、4月から新入社員として働く「新卒一括採用」を実施している企業が多いですよね。
学生は在学中、早い時期から就職活動を行うのが一般的かと思います。

一方、欧米には新卒採用という考え方がなく、採用は通年で行われています。
特定のポジションが空いたら、そのポジションに見合った人材を補充する、といった採用スタイルです。

即戦力のある人材が求められている


日本では、入社後に時間をかけて育成する前提で、未経験の新卒者を採用する傾向が強いですよね。
しかし、欧米などの海外では新卒・中途を問わず、即戦力のある人材が求められています。

日本企業は「将来的なポテンシャルや期待値」を重視する一方、海外の企業は「すでに保有しているスキルや経験値」を重視するということです。

つまり、海外において、経験の少ない新卒者はむしろ不利ということになります。
ただし、能力のある人材であれば、新卒であっても採用される可能性はあります。

海外の企業に就職したい場合は、求められている条件に対して、即戦力として働ける能力やスキルを持っていることをアピールできるよう準備をしておきましょう。

国別の特徴

海外の就職活動には新卒採用がないこと・即戦力が求められていることをお伝えしました。
しかし「海外」といっても、人材を採用する際に重視する点は、国によって様々です。

そこでこのセクションでは、日本人に人気の高い【アメリカ・オーストラリア・シンガポール】や、新卒で海外就職する国としておすすめの【ベトナム・インド】における就職事情について紹介します。

アメリカ

アメリカは、世界的大企業が集まっており、世界の最先端で自由に働けるだけでなく、報酬面でも期待がもてる地域です。

そんなアメリカには、前のセクションで紹介した通り「新卒採用」という概念がなく、各ポジションに空きが出たら、その都度募集をかける「通年採用スタイル」をとっています。

そのため実務経験に乏しい新卒者は、中途採用者に比べてはるかに不利です。
そこで、どうやってそのハンディキャップを補うかが課題になります。

またアメリカでは、希望する企業でのインターンが必須とされています。インターンへの紹介を受けられる人脈も重要なプロセスです。

ちなみにアメリカでは、様々なバックグラウンドを持った人材が集まるため、意外と学歴も重視されます。
最低でも修士号、できれば博士号を取得していたほうが大企業への就職は有利です。また、大学で何を学んだのか、その成果を示すことが重要となっています。

オーストラリア

オーストラリアは農業や鉱業などが柱となった資源が中心の国というイメージがありますが、実は産業の中心は、専門サービス、宿泊・外食業、医療・社会保障サービス、小売業などのサービス業です。

オーストラリアは「世界で一番住みやすい街」にランクインした都市がいくつもあり、日本人に人気の国ですよね。
ただし、オーストラリアに就職して暮らすとなると、少しハードルが高いです。

オーストラリアには新卒採用の概念はなく、経験の豊富さが重視されます。
海外での就業経験があれば申し分ないですが、日本での実務経験も最低3年はほしいところです。
そのため、新卒でいきなりオーストラリアで働くのは難しいかもしれません。

どうしても新卒でオーストラリアに就職したい場合は、職業訓練所のブリッジング・プログラムで経験を積んではいかがでしょうか。 ブリッジング・プログラムでは、職業訓練に加えて英語の授業を提供しているため、就職に必要な英語力も手に入れられて一石二鳥です。

シンガポール

シンガポールは日系企業や外資系企業の進出も多く、求人の数も種類も豊富なことから、就職先として人気の高い国です。

シンガポールの企業では、4年制大学以上の学歴と数年程度の実務経験が求められるため、新卒の就職は不可能ではないものの、実務経験がないと選考ではやや不利になります。

また、ビジネスシーンでは英語が公用語となっているため、現地スタッフと問題なく英語でやり取りできるレベルのビジネス英語を身につけている必要があります。

たとえ日系企業であっても、面接の際に英語力を試されるケースが多いです。

ベトナム

東南アジアのなかでも有数の経済成長率を誇るベトナムは、日本をはじめ世界の企業が進出しています。

ベトナムに参入している海外の企業は約9000社におよび、就職先として外資の企業の人気が高いため、英語は必須のスキルになっています。
そのため、英語力が低いと、それだけで就職は不利になってしまう傾向にあります。

ただ、日本語ができることも重宝されるため、新卒の日本人が就職しやすい環境ともいえます。

インド

インドは、日本人が新卒で就職する際に非常に魅力的な国といえます。
求人数が多く、日本人が求められているケースも多いため、日本人にとって非常に就職しやすい国なのです。

営業や事務など、専門的スキルをあまり必要としない分野での求人も多いため、未経験の新卒でも採用してもらえる可能性は高いです。

働きながら英語力を身につけることもできるため、他に就職したい国がある時「海外で実務経験」を積む手段にもなりえます。

しかし、物価に対して高い年収をもらえる傾向が高いため、豊かな生活が期待できるので、そのままインドで長期就職してしまうのもおすすめです。

新卒で海外就職するには

新卒で海外就職するのはハードルの高い挑戦です。何の前準備もなく海外企業にアプローチしても、まず雇ってもらえません。

このセクションでは、新卒者であるというハンディキャップを克服するための手段を紹介します。
新卒者が海外就職する方法として考えられるのは、以下の5つです。

●海外インターンを経験する
●海外の大学を卒業する
●新卒から駐在員として働く
●ワーキングホリデーを利用する
●現地のブリッジング・プログラムを利用する

インターンを経験する

新卒で海外就職を成功させるためには、希望する会社でインターンを経験するのがおすすめです。

海外企業は常に即戦力となる人材を求めているため、インターンを経ず新卒社員を正社員採用するのは、リスクが高いと考えています。
そのため、インターンを通じて、自分が「本当に使える人材」であることをアピールすることで、正式採用への道が開けるのです。

新卒社員自身にとっても、その国や会社の文化・雰囲気をを知ることができるというメリットがあります。
せっかく入社が決まっても、その土地になじめないのでは意味がありません。

そのため、そもそもアメリカなどの企業では、インターンを経て正式採用するという流れが一般的になっているところもあります。

海外の大学に進学する

新卒で海外就職する手段として、最初から就職を希望する国の大学に進学してしまうという方法も考えられます。
現地の大学に進学することで、その国の言語を身につけることができますし、文化や風土に触れることもできます。

すでに日本の大学に進学しているという方は、現地の大学に編入するという手段も考えられますし、日本の大学を卒業した後に現地のブリッジング・プログラム(職業訓練校)を受講するのもよいかと思います。

新卒から駐在員として働く

「新卒で海外就職」に近い方法として、日本企業に就職して海外駐在員を目指すという方法もあります。
ただし、海外赴任は待遇の良さもあって人気が高く、競争率の高いポジションです。

また、海外駐在員は、ただ英語が話せればいいというわけではなく、異文化を理解しながら英語で外国人をマネジメントしなければいけないため、難易度が高く、新入社員には任せられないという事情もあります。

新卒で入社してすぐ海外に赴任することを目指すのであれば、常に「海外赴任をしたいという意思」「自分が高い英語力を持っていること」をアピールし続けるのがおすすめです。
そうすると、確率はあまり高くありませんが、「海外に行ってみないか」と声がかかるかもしれません。

ワーキングホリデーを利用する

海外で正社員採用とまではいきませんが、海外で働いてみたい人には、ワーキングホリデーの利用は非常におすすめです。

ワーキングホリデー(ワーホリ)とは、18歳〜30歳以下の人が「ワーキングホリデービザ」を利用し、海外で居住・就労できる制度のことです。
ワーキングホリデー制度はカナダやオーストラリア・ニュージーランドと、イギリス・フランス・ドイツなど9か国との間で実施されています。

ワーキングホリデービザの有効期間は、国によって違いますが1年から3年と短いので、正社員採用には利用できません。
しかし、「海外での実務経験」を積むには最も手軽な方法といえます。

30歳以下の方はぜひ利用を検討してみてください。

現地のブリッジング・プログラムを利用する

新卒で海外就職する方法として、職業訓練校のブリッジング・プログラムを受講するという方法もあります。
ブリッジング・プログラムでは、職業スキルと英語力を同時に身につけることができ、卒業後は就職先の斡旋もしてくれます。

特に、いきなり海外就職するにはハードルが高いオーストラリアでは、このブリッジング・プログラムを提供している職業訓練校が多いため、海外就職におすすめのルートです。

海外就職に必要な能力

新卒で海外就職をするためには、それぞれの業界・企業に合わせた専門的なスキルや知識が必要ですが、それ以外に、どの業界・企業でも共通して必要なスキルがあります。
代表的な3つのスキルを紹介します。

英語力・語学力

海外就職を希望する場合、就職先の土地で使われている言語を話すのは必須技能となります。
フランスならフランス語、スペインならスペイン語を最低限日常会話レベルで習得しておくべきでしょう。

そして、どこの国に就職する上でも、英語力は必須スキルと考えた方がよいでしょう。
母国語が英語でない国でも、ビジネスでは英語が使用されるケースが多いです。
どこの国で就職する場合においても、英語力は大いに有利に働きます。

コミュニケーション能力

英語などの語学力を身につけていても、「ただTOEICでハイスコアを取得しているだけ」などでは、海外では通用しません。
海外就職するには、英語を使って自分の意見を適切に主張できるコミュニケーション能力が必要になります。

「コミュニケーション能力」というと、日本では「周囲との関係を良好にする能力」というイメージがありますが、海外においてはそれだけではありません。
適切に「自己主張」ができないと、海外では信用してもらえないのです。

そして、自分の意見を主張し続けるだけでなく、意見を主張しつつ、その場の空気を乱さないスキルが必要です。

いかに自身の意見を主張して相手を納得させられるか、正しく考えを伝えられるかが、海外就職を目指す時や、海外で働く時には重要になります。

行動力

海外就職を実現させるには、行動力も必要です。
海外就職は、国内で就職するよりハードルの高い挑戦です。行動力がなく、途中であきらめてしまう人には、そもそも海外就職はできません。

海外就職のためには、様々なアクションを自ら起こす必要があります。
就労ビザの取得などの手続きから、地元の人間との関係づくりまで、積極的に動いて仕事を勝ち取らなければなりません。

そして行動力は、就職後に仕事をスムーズに進める際にも必要です。
海外の場合は実力主義のため、「指示待ち人間」ではせっかく就職しても実力を発揮できません。
自分で仕事を見つけ、成功をおさめ、評価を積み重ねていく必要があります。

新卒で海外就職するために大学生のうちにすべきこと

ビジネス英語を学ぶ

TOEICを運営する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が定める「PROFICIENCY SCALE(習熟度相関表)」によると、「業務上大きな支障はない」とされているスコアは730点以上です。
もちろんこれは最低ラインであり、海外就職で仕事を勝ち取るには、これ以上の英語習熟度が必要です。

さらに、海外で就職する場合は、日常英会話だけではなくビジネス英語を習得している必要があります。
ビジネスシーンでは、日常英会話とは違った独特の言い回しがあります。
日常英会話とビジネス英語の違いについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

ビジネス英語を学ぶには、独学のほか、オンライン英会話や英語コーチングなどの方法があります。
ビジネス英語に強いオンライン英会話スクールでのんびり学んでもよいのですが、短期間でビジネス英語を身につけたいなら、英語コーチングがおすすめです。

「ギャビーアカデミー」は、グローバルビジネスで活躍する多くの企業に採用されている英語コーチングサービスです。

世界トップレベルのAIを搭載したアプリでスピーキングを自主学習しながら、有資格者の英語ネイティブがコーチングしてくれます。

「英語を自分のことばにする」スキルだけでなく、ネイティブに近い美しい発音も最速で手に入れることができる英語コーチングサービスです。

ビジネス英語を身につけることで、海外就職に有利になるだけでなく、ビジネスシーンで活躍の機会が増えたり、信頼を得やすくなったりするというメリットがあります。

専門スキルを身につける

海外就職をする際には、希望する職種の専門スキルを身につけておくことが望ましいです。
なぜなら、海外の企業では「即戦力」となる人材が求められ、すでに取得しているスキルや経験が重視されるからです。

海外就職の際に有利なのはIT系の人材で、特にプログラマーなどが重宝されています。
文系の場合、会計やファイナンスなど、高度な知識を要する専門分野が有利になります。

そのため、可能であれば大学在学中に、該当する資格などを取得しておくとよいでしょう。

大学在学中の資格勉強が難しいのであれば、卒業後に職業訓練校に通ったり、比較的就職しやすい国で実務経験を積むのもよいかと思います。

海外でインターンを経験する

新卒で海外就職を希望するなら、大学在学中に、先ほど紹介した「海外インターン」を経験しておくのもおすすめです。

日本で「インターン」というと、数日間の短期インターンが一般的ですよね。
しかし、日本以外の国でいう「インターン」では、3ヶ月以上の長い期間をかけてしっかり就労訓練を行います。

そのため、海外インターンは「大学の長期休暇を利用してサクッと済ませる」というわけにはいきません。
一旦大学を休学する必要がありますが、海外就職を目指すのであれば、その価値は十分にあります。

海外でインターンを経験すると、就職する際に有利になるだけではなく、その国の風土を知ることができます。

海外で実際に働くことで、その国で長期的に働けるかどうか見極めておくのも、大学生のうちにやっておきたい大切な手順です。

海外就職する際に注意したいこと

文化の違い

海外就職といっても、就職先は様々です。
それぞれの国において大きく文化が違うケースが多いため、生活に不便を感じるケースも少なくありません。
また、文化の違いによって、日常生活のみならず、仕事においてトラブルが発生する可能性もあります。

海外就職をする際は、それぞれの国との文化の違いを知った上で、「そこで本当にやっていけるか」「仕事で活躍できるか」を考えることが必要です。

仕事だけでなく、プライベートの側面からも、文化の違いによる影響を考えて就職先を選びましょう。

好条件ではない場合も多い

海外就職すると、物価に対して高い収入がもらえたり、休みが多くもらえたりするケースがあります。

その一方で、日本よりも悪い条件で働かされる場合も少なくありません。
なぜなら企業にとっては、外国人よりも、言葉が通じ身元もはっきりしている自国の人間を雇う方が、リスクが低いからです。
「あえて」外国人を雇うということで、あまりいい条件で働かせてもらえない可能性もあります。

日本でも、外国人労働者の立場はおしなべて低いですよね。海外における日本人に対しても、それと同じことが起こりえるのです。

海外において自分は「外国人」であり、優良な労働環境が保証されるとは限らないということを念頭に置いておきましょう。

海外就職の手引き

それでは、新卒で海外就職するには、具体的にどうしたらよいのでしょうか。
海外就職するには、現地企業とコンタクトをとる必要性があります。しかし、日本から独力で情報を集めるのは難しいもの。

そのため、海外の優良企業を紹介してくれるエージェントを利用するのがおすすめです。
就職エージェント・転職エージェントの助けを得て、求人情報を確認します。

また、必須ではありませんが、希望する企業が参加している説明会には積極的に参加しましょう。
ボストンキャリアフォーラムなど、海外就職に特化した合同説明会も多数開催されています。
優良企業で働いている人材と直接話すことができる、絶好のチャンスです。

そして履歴書(レジュメ)を持って企業に応募し、面接を受けるのですが、履歴書やそれに準ずる書類には、国によってさまざまな形式があります。
エージェントに相談に乗ってもらうなどして確認してください。

面接の際は、「自分には他の応募者と比べてどんな魅力があるのか」「自分を採用するとどんなメリットがあるのか」をはっきり説明できるようにしましょう。

晴れて「採用」となったら、今度は様々な手続きが必要です。海外転出届の提出や住民税、社会保険、年金の手続き、引っ越しのための行政手続きなどがありますが、まずは海外就労ビザの申請を行いましょう。

まとめ

海外には「新卒採用」の概念がなく、即戦力となる人材や、経験豊富な人材が求められます。
日本では武器になる「新卒」という状態は、海外ではむしろ不利といえます。

それでも、大好きな国で働きたいという方や、英語力を生かしてキャリアアップをはかりたいという方には、ぜひ海外就職に挑戦してもらいたいと思います。

確かに、新卒者がいきなりアメリカ・シンガポール・オーストラリアなどに就職するのはハードルが高いです。

しかし、まず日本人を積極的に採用しているインドやベトナムで就職したり、ワーキングホリデーやブリッジング・プログラムを利用したりして実務経験を積めば、ハードルはグッと低くなります。

残念ながら現在、日本の給与水準は低く、ブラック労働を強いる企業も多いのが現状です。
それに対して海外の企業には、有給取得率が高く、定時で帰れる職場環境が充実しているところも多いです。
また、物価に対する給与水準が高いところも多いため、日本より豊かな暮らしも夢ではありません。
転職の自由度も高いので、キャリアアップしやすいのも海外就職の魅力です。

ただ、当然ながら海外に就職したら日本よりも労働条件が悪かったという事例も多数存在します。
海外就職する際は、エージェントの助けを借りて、就職先の状況・環境についてよく確認しましょう。

このように、障害となるものも多いですが、就職を控える若い皆さんには、ぜひ「国際社会で活躍する」という選択肢も見据え、世界へとはばたいてほしいと思います。


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