2024.03.30英語ビジネス

ビジネスシーンでの海外の文化は?注意すべき日本との「文化の違い」11選

グローバル化が進む今日、コロナ禍収束を受けて、海外に進出する日本企業は増加に転じています。
海外に赴任したり、海外のビジネスパーソンと一緒に働いたりする機会も増えますよね。

しかし、日本と海外のビジネスマナーには違いも多く、外国人ビジネスパーソンのふるまいに戸惑った人も多いのではないでしょうか。

また、海外のビジネス文化を知らないことが原因で、先方に不快な思いをさせてしまうこともあるかもしれません。

そこでこの記事では、日本と海外のビジネスマナーについて、代表的なものを11個紹介します。

国別の違いも紹介するので、海外のビジネスパーソンと仕事をする予定のある人、すでに一緒に仕事をしている人は、ぜひ参考にしてください。

ビジネスシーンにおける海外と日本の文化の違い11選

この章では、主に欧米を中心とした海外と日本の文化の違いについて紹介します。
欧米を中心とした海外との代表的な「文化の違い」は、以下の11個です。

  • 意思決定が早い
  • はっきりとした物言いが求められる
  • 徹底した個人主義
  • プロセスより結果を重視する
  • 自らの能力・実績をアピールする姿勢は歓迎される
  • 会議(ミーティング)に対する考え方が違う
  • 仕事よりプライベートを重視する
  • 初対面の挨拶は名刺交換より握手が一般的
  • お辞儀よりアイコンタクトを重視する
  • レディーファーストの姿勢が求められる
  • ボディランゲージには要注意

  • それぞれ詳しく見ていきましょう。


    意思決定が早い


    海外、特にアメリカの企業は、日本の企業より、意思決定が速い傾向にあります。

    日本の企業は下から上へ報告が上がっていくボトムアップ式の決定方式ですが、アメリカや多くの海外企業では、上司が責任を持ち、部下に指示をして自由裁量を与えるトップダウン式が一般的です。
    そのため、稟議や承認などのプロセスに時間をかけることが少ないのです。

    海外の企業から発注があった時、決定にまごまごしていると、海外の他社に仕事が回ってしまう可能性も少なくありません。

    一方で、トップダウン式の決定方式は部下が自由裁量を持って動く分、ミスが多く、ボトムアップ式の方が丁寧でミスが少ないというメリットもあります。

    それでも、グローバル社会を生き抜くには、全世界的なスピード感についていける意思決定速度を保つことも重要になるでしょう。

    はっきりとした物言いが求められる


    日本では、ある種「言わなくても通じる」「空気が読める」ことが美徳とされる傾向にあります。

    しかし海外のビジネスシーンでは、自分の考えをはっきりと発信することが重要視されています。

    グローバル社会でビジネスを展開するには、日本人や日本企業が持つ「空気を読む」コミュニケーションを当たり前と決めつけず、積極的に自分の意見を口にすることが求められるのです。

    徹底した個人主義

    日本では、リーダーを中心とした「グループ」での成果が大きな意味を持ちます。

    一方アメリカを中心とした海外では、個人個人がそれぞれ大きな責任を持ち、個人単位で会社に貢献することが求められます。

    そのため海外のビジネスシーンでは、上司だけでなく、個人個人にもリーダーシップが求められるのです。

    プロセスより結果を重視する

    日本では、「結果よりプロセスが大事」という言い方をしますよね。
    実際日本企業では、プロセスを構成するために、予算や時間を惜しまない傾向にあります。

    しかし、アメリカを中心とした海外では、仮定に対して予算や時間をつぎ込まない傾向にあります。

    一般に仮定よりも結果が重視され、評価される傾向にあるのです。

    自らの能力・実績をアピールする姿勢は歓迎される

    日本では、自らの能力や行ってきた業績、実績をアピールする人に対して、あまり良い顔はされませんよね。

    しかし、海外のビジネスパーソン、特にアメリカ人は、自分の能力や実績を積極的にアピールします。

    日本では業績を評価されるのは「チーム」ですが、海外では個人に対して業績の評価がなされるためです。

    また、それぞれの個人の能力を適切に把握することで、ビジネスをスムーズに進めることができるというメリットもあります。

    会議(ミーティング)に対する考え方が違う

    日本での会議(ミーティング)は形式的・儀礼的で、あらかじめ根回しした内容で進められることが多いですよね。

    しかし、海外企業においては、ミーティングで積極的にディスカッションが行われます。
    提案された内容に対して、反対意見が述べられることも多々あります。

    日本では互いの思いを「察する」ことに重点を置きますが、海外企業には様々なバックグラウンドを持った人が集まるため、会議でもきちんと自分の意見を発信する必要があるのです。

    仕事よりプライベートを重視する

    日本では、プライベートより仕事を優先する人がまだまだ多いですよね。

    しかし、欧米をはじめとする海外では、仕事よりプライベートな時間が優先されます。

    仕事優先の考え方を、海外出身のビジネスパーソンに押し付けないようにしましょう。

    初対面の挨拶は名刺交換より握手が一般的

    日本では、初対面の人とあいさつを交わす時、名刺交換をすることが多いですよね。
    そして名刺交換自体にも、「相手より低い位置で渡す」「テーブル越しに渡すのはNG」「先に目下の者から目上の者に渡す」など、様々なルールがあります。

    しかし海外では、名刺はただの「ビジネスインフォメーションが書かれた紙」として扱われることが多いです。
    そのため、会議が終わった後に渡されたり、片手で渡されたりすることもしばしばあります。
    名刺自体を持ち歩いていない人も多いです。

    ちなみに、初対面の時に挨拶とともによく交わされるのは、握手です。
    特にアメリカやイギリスのビジネスシーンでは、力強い握手によってビジネスへの自信ややる気が伝わるといわれています。

    挨拶をする時は、堂々と胸を張って、笑顔で力強く握手をしましょう。

    お辞儀よりアイコンタクトが重視される


    日本では礼儀を示す方法としてお辞儀が用いられますが、欧米をはじめとした海外では、お辞儀はあまり一般的ではありません。

    お辞儀より重視されるのは、アイコンタクトをとることです。
    お辞儀をすると、目線が下に下がり、アイコンタクトがとりづらくなってしまうため、あまりいい印象になりません。

    また、あまりペコペコお辞儀をしていると、必要以上に腰の低い人物に見え、落ち着かない印象も与えてしまいます。

    お辞儀をする時はゆっくり一礼をするだけにとどめましょう。普段は胸を張って自信に満ちた態度を演出するとよいでしょう。

    レディーファーストの姿勢が求められる

    日本ではあまり一般的ではありませんが、欧米では「レディーファースト」の習慣が定着しています。

    部屋に入る時や出る時、エレベーターの乗り降りなどでは、上司・部下の立場などは関係なく、女性を先に通すのがマナーです。

    同じ会社の人でも違う会社の人でも常にレディーファーストを心がけましょう。
    レディーファーストの習慣を怠ってしまうと、「男性としてのマナーがなっていない」と判断され、今後の信用にもかかわるかもしれません。
    男性ビジネスパーソンは特に注意したいポイントです。

    ボディランゲージには要注意

    外国語で話す場合、身振り手振りを交えると、言葉が不十分でも話が伝わりやすくなる場合があります。
    しかし、ボディランゲージは国によって様々な意味合いがあるので注意が必要です。

    例えば、親指と人差し指で丸を作ったり、親指を立てたりする動作は、国によっては強い侮辱と解釈される場合があります。

    また、話し合いの時に腕を組む人も多いですが、「腕を組む」ことは「敵対」の意思表示とみなされる事が多いです。

    無意識に腕組みをするクセのある人は、特に注意が必要です。

    ビジネス文化の違い国別5選

    ここまで紹介した「海外の文化」は、主に欧米を中心としたものです。
    しかし、「文化の違い」は国によって様々です。
    この章では、欧米とは違う文化圏のビジネス文化について紹介します。
    この章で扱うのは、以下の5つの国です。

  • 中国
  • インド
  • ブラジル
  • べトナム
  • タイ

  • 中国

    中国では、個人個人が自分の専門分野や担当業務に専念することが一般的です。
    「ホウレンソウ」を重視する日本と違って、「自分で考え決断し、行動する」が評価される文化なのです。

    また、中国では物事を率直に話すのが自然とされています。「前向きに検討する」というような、日本式の曖昧な返答は失礼と感じられる場合もあります。

    一方で、中国にはプライドの高い人が多く、メンツを重んじる文化です。
    ミスなどを指摘する際には、ほかの従業員の前で叱責するのではなく、人目につかないところで個人的に話をするのが望ましいでしょう。

    インド

    インドでは「ディワリ(インド人にとっての正月)」をはじめとしたパーティーに招いたり招かれたりすることがよくあります。

    パーティーには贈り物を持って行くことが重要で、最後の「ダンシング・タイム」に合わせてステップを練習していくとより喜ばれます。

    時間や期限を守らない人が多いため、仕事の進捗について細かに確認することが必要です。
    要求回数が少ないと、「重要な案件ではない」と解釈されてしまうので注意しましょう。
    ただし、催促する時はできる限りソフトな表現を使いましょう。

    ブラジル

    ブラジルでは、「目をそらす」のは失礼な行動とされています。アイコンタクトを心がけながら話しましょう。

    また、ユーモアやジョークが好きな人が多いため、わかりやすいアクションやセンスのよい回答を用意しておきたいものです。

    ただし、民族や階級の話はNG。階級の違いは人種差別より重い意味合いを持つことが多いので気をつけましょう。

    また、ブラジルには名刺交換の文化があります。英語が問題なく通じることが多いですが、英語とポルトガル語を併記しておいた方が無難です。

    べトナム

    ベトナム人には無宗教の人が多く、真面目で勤勉な国民性で、日本人と似ているところも多くあります。

    ただ、家族を非常に大切にする文化が根付いているので、単身赴任やサービス残業をすることはまずありません。

    また、日本人によくある「相手の心中を察する」という文化も一般的ではありません。
    伝えたいことがある時は、はっきり言葉にすることが大切で、回りくどい言い方もNGです。

    タイ

    タイの人は、プライドが高くメンツを重視する傾向が強くあります。
    そのため、上司として接する場合、何かミスをした従業員がいても、みんなの前で注意するのではなく、個別に丁寧に注意すると有効です。

    タイでは仕事のコミュニケーションツールとしてLINEを使うことが多いです。年上の上司にスタンプを使うことも往々にしてあります。

    タイでは相手にとことん歩み寄り、同僚や上司・部下としてではなく、友人として関係を築きましょう。
    「タイ人はホウレンソウをしない」とよくいわれますが、「この人なら話を聞いてくれる」と認めた相手なら、きちんと連絡をくれるようです。

    まとめ

    ここまで、日本と海外のビジネス文化の違いを解説してきましたが、ビジネス文化は「国によっても大きく違う」ことが分かっていただけたかと思います。

    赴任する国が決まったら、その国の文化について詳しく調べるしかないのです。

    ただ一ついえるのは、「日本の文化を当たり前と決めつけてはいけない」ということです。

    特に日本独特の「相手の言いたいことを察する」「空気を読む」文化は海外では通用しません。
    積極的に議論を行い、伝えたいことがある時はきちんと言語化しましょう。

    ただし、直接的すぎて相手を攻撃するような表現は望ましくありません。

    例えば英語で相手の意見に反対したい時、ストレートに「I disagree.(私は反対です)」と言うより、「I’m afraid I disagree.(恐縮ですが、反対です)」「I’m sorry, but I don’t agree with you.(ごめんなさい、でも賛成できません)」などと言った方が角が立ちません。

    日本の文化を相手に押し付けず、相手の文化をより深く理解することで、海外でのビジネスシーンをスムーズに進めることができるでしょう。


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