英語ミーティングに慣れてくると、「会議に参加する」だけでなく、「会議をリードする」役割を任される機会も増えますよね。
「会議をリードする」立場になると、英語力だけではなく、「ファシリテーション」するスキルも重要になってきます。
英語ミーティングのファシリテーションでは、参加者のうまく意見を引き出すと同時に、話をまとめて、合意形成へと導く必要があります。
また、会議に先立ってアジェンダを用意するのもファシリテーターの役目です。
この記事では、英語ミーティングで効果的なファシリテーションを行うためのフレーズと、アジェンダの作成法を解説します。
ファシリテーションを行う上で役立つ情報も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ファシリテーションとは
そもそもファシリテーションは、「facilitation」という英単語に由来します。
「facilitation」は、「(物事を)簡単にする」「促進する」という意味です。
ビジネスミーティングにおいては、「会議の進行を円滑に進める役割」を指します。また、ファシリテーションを担当する人を「ファシリテーター」といいます。
日本のビジネス会議ではあまり見かけない存在ですが、グローバルな会議ではファシリテーターが存在することが多く、非常に重要な役割を担います。
ファシリテーターの主な役割は、参加者の意見をうまく引き出しながら、会議全体の進行をリードすることです。
ファシリテーターが会議そのものの責任者として扱われることもあります。
さらに、会議に先立ってアジェンダを作成するのもファシリテーターの役目です。
次の章では、まず、英語でのアジェンダ作成法を、テンプレートとともに見ていきます。
英語アジェンダ作成法とテンプレート
ファシリテーターの重要な役割のひとつが、「アジェンダ」の作成です。
会議やミーティングで「アジェンダ」という場合は、ミーティング本番をスムーズに行うために、事前に提出しておく「議題」のことをいいます。
アジェンダには、以下の内容を記載します。
- 会議の目的(Meeting Objective)
- 議題・トピック(Agenda Items)
- 所要時間の目安(Time Allocation)
それでは、実際のアジェンダの例を、テンプレートとして挙げます。
Meeting Agenda
Date: July 6, 2025
Time: 10:00–11:00 AM JST
Location: Meeting room B
1. Objective
– To align on the upcoming product launch schedule and responsibilities.
2. Agenda Items
1) Timeline review and key milestones — 15 min
2) Resource allocation and task assignments — 20 min
3) Risk assessment and mitigation planning — 15 min
4) Q&A / Open discussion — 10 min
3. Expected Outcome
– Clear timeline and team responsibilities for the product launch.
4. Facilitator
– Satoshi Tanaka, Project Manager
アジェンダの最初には、日付と日時を書きます。
仮に、オフラインではなく、オンラインでミーティングを行う場合は、「Location」ではなく、「Platform: Zoom」などと表記するとよいでしょう。
そして、まず、会議の目的を書きます。例の場合は、「To align on the upcoming product launch schedule and responsibilities(製品ローンチに向けたスケジュールと担当のすり合わせ)」です。
次に議題(アジェンダ項目)をいくつか挙げます。この時、予想される所要時間を併記するとよいでしょう。
上の例の場合、以下のような内容になります。
- スケジュール確認および主要マイルストーンの確認 ― 15分
- リソース配分およびタスクの割り当て ― 20分
- リスク評価およびリスク対応計画の検討 ― 15分
- 質疑応答/オープンディスカッション ― 10分
さらに、英語のアジェンダでは、「期待される成果」についても明記します。
上の例の場合、「Clear timeline and team responsibilities for the product launch(製品ローンチに向けた明確なスケジュールとチームの担当範囲の確定)」といった内容です。
最後に、ファシリテーターである自分の名前を明記しましょう。
会議中に使える英語フレーズ
この章では、英語ミーティングで効果的なファシリテーションを行うために使える英語フレーズをシーン別に紹介します。
- 会議を始める時に使える英語フレーズ
- 話を進める時に使える英語フレーズ
- 参加者の発言を促すフレーズ
- 話をまとめるフレーズ
- 会議を締めくくる英語フレーズ
特に重点的に見ていきたいのが、以下の2つです。
- 参加者の発言を促すフレーズ
- 話をまとめるフレーズ
英語ミーティングのファシリテーションでは、参加者の発言をうまく引き出す質問力や、話をまとめ、結論を明確化するスキルが求められます。
それではまず、会議を始める時に使える簡単な英語フレーズから見ていきましょう。
会議を始める時に使える英語フレーズ
会議を始める時には、以下のようなフレーズが使えます。
みなさんこんにちは。ご参加ありがとうございます。それでは始めましょう。
本日は……を話し合います。
始める前に、アジェンダを簡単に確認させてください。
まずは参加者に挨拶をし、時間を割いてくれたことにお礼を言うのが基本です。
余裕があれば、その後、ミーティングの目的を明確化し、簡単なアジェンダの共有を行いましょう。
オンラインミーティングであれば、あいさつの後に「Can you hear me okay?(問題なく聞こえていますか?)」といったフレーズも必要です。
話を進める時に使える英語フレーズ
話を次に進めたり、次の話題に移ったりするときには、以下のフレーズが使えます。
次のトピックに進みましょう。
次に、スケジュールについて話しましょう。
We’re running short on time, so let’s keep it brief.
時間が押しているので、手短にお願いします。
参加者の発言を引き出す英語フレーズ
それでは、英語ミーティングのファシリテーションでも特に重要な、参加者の発言を引き出すフレーズを見ていきましょう。
まず、全体に向けて意見を促す時は、以下のような表現が使えます。
何かご意見はありますか?
この点についてどう思いますか?
他に違う意見はありますか?
遠慮なく発言してくださいね。
まだ発言していない相手を指名して話す時は、以下のような表現を使って、なるべく参加者全員から発言を引き出すようにしましょう。
まだ発言していない方からも聞いてみましょう。
佐藤さん、いかがですか?
佐藤さん、この件について何かご意見はありますか?
佐藤さん、まだご意見を伺っていないですね。いかがですか?
この時、意見を言いやすくなるような前置きを添えるとよいでしょう。
正解・不正解はありませんので。
簡単なコメントだけでも大丈夫です。
あなたの視点をぜひお聞きしたいです。
英語が苦手な参加者には、以下のような気づかい表現もあります。
ゆっくりで大丈夫ですよ。
簡単な言葉で話して大丈夫です。
考える時間をとっても大丈夫ですよ、無理しないでくださいね。
英語ミーティングで発言を促す時は、短い言葉で、優しく語り掛けるよう心がけましょう。
ムリに難しい言葉を使わず、語尾も「…any thoughts?」のようにソフトにすると効果的です。
話をまとめる英語フレーズ
それでは、英語ミーティングのファシリテーションで、もう1つ重要な、「話をまとめる」パートで使える英語フレーズを見ていきましょう。
ただ単に決まった内容をおさらいするだけではなく、結論を明確化するようなフレーズも必要になります。
まずは、ミーティングのまとめ方のテンプレートで見ていきましょう。
では、本日の議論を簡単にまとめさせていただきます。
私たちは、スケジュールを確認し、担当者の割り当てを行い、潜在的なリスクについて話し合いました。
これ以降に行うことは以下の通りです。
ブラウンさんがタスクAを担当します。
鈴木さんは金曜日までに資料Bを用意してください。
本日の内容は、後ほど簡単にまとめてメールで共有します。
皆さん、本日もご参加とご意見ありがとうございました。以上で本日のミーティングは終了です。
「まとめ」のことを「summary」といいますが、動詞形「summarize」もよく使われます。「recap(要約する)」という表現もよく使われるので覚えておきましょう。
そして、結論を明確化し、次に行うアクションをきちんと確認しておくのがポイントです。
さらに、最後にもう一度、時間を割いて参加してくれた全員に感謝の意を伝えましょう。
英語ミーティングのファシリテーションで気を付けたいこと
最後に、英語ミーティングでファシリテーションを行うにあたって、注意したい点を5つ挙げます。
- 最初に会議の目的を明確化する
- 中立の立場を心がける
- 参加者の意見をうまく引き出す
- 全員の意見をまとめる
- 会議が終わったあとのアクションを明確にする
それぞれどんなことに注意すればいいか、解説します。
最初に会議の目的を明確化する
英語ミーティングでは、最初に会議の目的を明確にすることが重要です。
「何のためにこの会議をしているのか」が曖昧なままだと、建設的な議論ができず、発言も控えられがちになります。
以下のように、ミーティングの冒頭で、会議の目的をはっきり言葉にして伝えましょう。
今日の会議の目的は、……することです。
今日は……について話し合うために集まっています。
今日の主な目標は……です。
目的を共有することで、参加者も話したい内容やアイディアが思い浮かびやすくなり、より建設的な話し合いを行うことができます。
中立の立場を心がける
英語ミーティングのファシリテーターをつとめる場合は、参加者のコミュニケーションを円滑に進める役割に徹し、常に中立的な進行役であることを心がけましょう。
特定の意見に賛同したり、自分の意見が通るように議論を誘導したりすると、健全な議論が行えなくなってしまいます。
あるいは、文化的背景の異なる海外のビジネスパーソンが、自分と大きく異なる意見を提示することもあるかもしれません。
そういった場合も、相手の意見を真っ向から否定するのではなく、冷静に意見をまとめるのが、ファシリテーターの役目です。
参加者の意見をうまく引き出す
ファシリテーターの最も重要な役割のひとつが、できる限り、参加者全員の意見をうまく引き出すことです。
参加者全員の様子に注意を配り、議論に参加できていない参加者がいたら、意見を尋ねて、発言を促しましょう。
特に、シャイな日本人ビジネスパーソンや、英会話に自信がない非ネイティブの参加者がいる場合は、ファシリテーターの気遣いが求められます。
「何か意見はありますか?」と漠然と尋ねるのではなく、前の章で紹介したように、以下のようなフレーズを使って、発言していない参加者を具体的に指名したり、発言しやすい雰囲気を作りましょう。
佐藤さん、いかがですか?
ざっくりとしたアイディアでも構いませんので。
全員の意見をまとめる
参加者それぞれの意見を引き出したあとは、その多様な意見を整理・要約し、共通認識を形成しましょう。
特に英語ミーティングでは、参加者のバックグラウンドや発言スタイルが異なるため、「誰が何を言っていたか」をはっきりさせるのがとても重要です。
ミーティングの最後だけではなく、要所要所で意見を要約・確認していきましょう。
そしてミーティングの最後には、参加者が議論の内容を理解しているか、確認の一言を添えるのも効果的です。
皆さんご理解いただけましたか?
この方向性で問題ないでしょうか?
会議が終わったあとのアクションを明確にする
英語ミーティングでは、「話して終わり」ではなく、「何を(What)」「誰が(Who)」「いつまでに(When)」やるかを明確にすることが、非常に重要です。
次に行うべきアクションが曖昧なままでは、せっかくの議論が実践につながりません。
また、必要であれば、メールや議事録を通じて、会議後のフォローアップを行うのも、ファシリテーターの役目です。
まとめ
英語ミーティングで効果的なファシリテーションを行うには、参加者全員の意見を引き出す必要があります。
ミーティングには、英会話が苦手な非ネイティブ話者や、シャイな日本人ビジネスパーソンが参加するケースも多いでしょう。
そういった相手には、短く簡単な言葉で、優しく意見を促すことをおすすめします。
また、ファシリテーターをつとめるご自身も、会議の責任者だからといって気負わず、シンプルで明確な英語表現を選ぶとよいでしょう。
うまくファシリテーションを進める自信がないという場合は、プロジェクト管理やリーダーシップに関する研修を積極的に受けましょう。
そのような研修には、ファシリテーションのテクニックが組み込まれていることが多いです。
社内研修が行われていなかったら、英語コーチングサービスなどを利用して、英語とビジネスに精通したプロに壁打ち相手になってもらうのもおすすめです。