日本のビジネスシーンでは、英語をもとにしたカタカナ語が日常的に使われていますよね。
「コンセンサスを取る」「アポを取る」「リスケする」などの表現を、なにげなく使っている方も多いでしょう。
しかし、こうした「カタカナ英語」の中には、ネイティブの英語話者には通じないものや、ニュアンスが微妙に異なるものも少なくありません。
この記事では、特に誤解を生みがちな「カタカナ英語」10個をピックアップし、英語圏で本当はどう表現すべきかを解説します。
グローバルなビジネスシーンで活躍したい方はぜひ参考にしてください。
アポイント
日本語では、面談の約束を取り付けることを「アポイントを取る」「アポを取る」などといいますよね。
しかし、「apoint」や「apo」という略語は、英語話者に通じないケースがほとんどです。
「appointment(面談・約束)」は省略せずに使いましょう。
例えば、以下のような使い方が挙げられます。
ブラウンさんにアポイントを取りたいのですが。
(受付などで)アポイントはおありですか?
アポイントを来週に変更できますか?
コンセンサス
日本のビジネスシーンでは、合意に達することを「コンセンサスをとる」といいますよね。
確かに「consensus」は「合意」という意味の英単語です。
しかし、「コンセンサスをとる」という表現を直訳して「get a consensus」「take a consensus」などと言っても、英語話者にはなかなか通じません。
どうしても「consensus」を使いたい場合は、「reach a consensus」という表現を使いましょう。
また、「consensus」を使わずに、別の言い方をするのもおすすめです。
例えば、以下の例文を見てください。
会議でコンセンサスをとりました。
この表現は、以下のように言い換えることもできます。
会議で合意に達しました。
次のような場合も言いかえが可能です
次に進む前に、コンセンサスをとっておきましょう。
この文は、「consensus」を使わずに、以下のような言い方ができます。
次に進む前に、全員の足並みをそろえておきましょう。
このような言い換え表現を覚えておくと、いざという時に誤解を生みにくいのでおすすめです。
プレゼン
日本のビジネスシーンでは「プレゼン」という用語がよく使われますよね。
英語ビジネスシーンでもうっかり「presen」と言ってしまいそうになりますが、「プレゼン」は日本独自の略し方で、英語圏では通じません。
英語のビジネスシーンでは、「presentation」という単語を略さずに使いましょう。
以下の例文を参考にしてください。
プレゼン資料を準備する必要があります。
プレゼンのスライドを手伝ってもらえますか?
トラブル
日本のビジネスシーンでは「仕事上のトラブル」などという表現がよく使われますよね。
日本語で「トラブル」という場合、「問題」「障害」「不具合」「もめ事」などを広く指すことができます。
しかし、英語で「trouble」といえるケースは限定されます。日本語の「トラブル」より感情的なニュアンスがあり、人間関係や法律上の問題によく使われる表現です。
英語の「trouble」は以下のような文脈で使われます。
彼は眠れなくて困っている。
She’s in trouble with the police.
彼女は警察沙汰にあっている。
彼女は警察沙汰にあっている。
そのため、「仕事上のトラブル」を指す時は、「problem」や「issue」を使う方が無難です。
以下の例文を参考にしてください。
サーバーにトラブルがありました。
出張中にトラブルがあったんです。
クレーム
日本では、顧客などからの「苦情・文句」「製品やサービスへの不満の申し立て」を「クレーム」といいますよね。
しかし、この表現は和製英語で、英語で「claim」といっても、全く通じません。
そもそも「claim」は「主張する」という意味の英単語で、以下のように使います。
彼は自分に責任はないと主張した。
彼女は破損した商品の補償請求をした。
「日本語の「クレーム」に当たる表現としては、「complaint」「make a complaint」が挙げられます。
以下の例文を参考にしてください。
クライアントからクレームがありました。
お客様から遅れについてクレームがありました。
このクレームはどう対処すべきでしょうか?
サラリーマン
「クレーム」と同じように、「サラリーマン」も和製英語です。
そのため、「What do you do for living?(ご職業は?)」と訊かれて、「I’m a salaryman(サラリーマンです)」と答えても、困惑されてしまうでしょう。
英語で「会社員」と言いたい時は、「an office worker」を使うのが無難かつ一般的です。
私は商社の会社員です。
ちなみに、「I’m a businessman.」という言い方をすると、「サラリーマン」というより「経営者・実業家」という意味合いが強くなります。
コピーを取る
英語で「コピーをとる」という時、「take a copy」と言ってしまいがちですが、英語ビジネスシーンでは通じにくい表現です。
英語で「コピーをとる」と言いたい場合は、「make a copy」という表現が自然です。
また「photocopy」という表現を使うこともできます。
以下の例文を参考にしてください。
コピーを取ってくれますか?
これらのファイルをコピーしてください。
ちなみに、「photocopy」の方が、ややフォーマルな表現です。
OB
「卒業生」という意味で使われる「OB」「OG」は、「Old Boy」「Old Girl」の略語ですが、これらも和製英語で、英語では全く通じません。
「OB」を英語に直訳するならば、「alumnus(アラムナス)」という単語になります。
「alumnus」は「OB」と同じく、男性の「卒業生」を表す言葉です。
男女問わず幅広く使える表現では、「graduate」「a former student」があります。
以下の例文を参考にしてください。
彼女は早稲田大学の卒業生です。
その会社で働くOBとOB訪問をしました。
OBと話すことで、その会社について多くを学びました。
「alumnus」という単語は、難しく感じるかもしれませんが、「OB訪問」などの文脈でよく使われるので、ぜひ覚えておきましょう。
リスケ
予定を変更したり、調整したりすることを「リスケ」「リスケする」と表現することも多いですよね。
「リスケ」は「reschedule(リスケジュール)」の略語ですが、日本独自の略し方です。
英語ビジネスシーンで「resche」といっても通じません。
「reschedule」は略さずそのまま使いましょう。
以下の例文を参考にしてください。
ご都合の良い別の時間にリスケします。
会議は来週の月曜日にリスケされました。
なお、「reschedule」は他動詞です。目的語をとり、受動態で使うこともできます。
モチベ
日本語では「モチベーション」ということもありますが、少し長い表現なので、「モチベ」と略してしまうこともありますよね。
「モチベ」も、日本独自の略し方で、英語圏では通じません。
英語ビジネスシーンでは、「motivation」を略さずに使いましょう。
以下の例文を参考にしてください。
社員のモチベーションを高める必要があります。
モチベーションの欠如は業績に影響を与えることがあります。
まとめ
「英語で通じると思っていたのに通じない」カタカナ英語は、意外と多いですよね。
そして、ビジネスシーンでのちょっとした英語表現のミスが、思わぬ誤解を生むこともありえます。
グローバルな場でも自信を持ってやりとりできるよう、少しずつ言葉の感覚を磨いていきましょう。