「自分には英語の才能がないのかも……」と、英語学習を諦めようとしている方もいるかもしれませんね。
しかし、英語は言語です。多少は得意・不得意の差はあるかもしれませんが、日本語と同じく、誰でも習得することができるものです。
英語がなかなか習得できなくてイライラしている人は、「完璧主義」に陥っているのかもしれません。
この記事では、英語学習における完璧主義の弊害と、完璧主義から脱却する方法を解説します。
英語力アップがなかなか実感できないという方は、ぜひ参考にしてください。
完璧主義と英語学習
鉄道や航空などの輸送機関の運行など、わずかなミスが大量の人間の命にかかわるような業務では、完璧主義がプラスにはたらくこともあります。
ただし、英語学習などにおいては、失敗への恐れやモチベーションの低下・自己評価の低下が原因で、行動にブレーキがかかり、かえってスキルアップの妨げになる可能性があります。
日本人の多くが英語学習に「完璧」を求めるのは、小学校・中学校・高校の英語教育で、「テストで英語を間違えるとマイナスになる」「間違えないことで満点をとれる」という経験を積み重ねてきたことが大きいでしょう。
しかし、英語話者のうちネイティブスピーカーの割合はたった2割といわれています。言い換えれば、英語話者の8割が非ネイティブなのです。
8割の英語ノンネイティブスピーカーが全く文法的ミスを犯しておらず、不自然な表現を使わず、きれいな発音で話しているかというと、そういうわけではありません。
英語においてある程度ミスを犯すのは当たり前で、決して恥ずかしいことではないのです。
英語学習における完璧主義の弊害
主な弊害としては、以下のようなものが挙げられます。
・英語を学ぶモチベーションが下がる
・学習効率が下がる
・間違えることを極端に恐れるようになる
それぞれどんな効果をもたらすのか、詳しく見ていきましょう。
英語を学ぶモチベーションが下がる
なぜなら、人間には「前に進んでいる感覚」から大きなモチベーションを得る性質があるからです。
しかし、完璧主義な態度で英語学習を進めていると、小さなミスが気になってしまい、学習を先に進めることができません。
そしてそれ以上に、「いくら勉強しても上達しない」自体がストレスになり、英語学習に挫折してしまう危険もあるのです。
学習効率が下がる
例えば、英語の問題集の設問でちょっとしたミスを犯したとします。
そうすると、完璧主義的な学習者は、「ミスを犯した」ことに極度にストレスを感じ、「次は二度とミスを犯さないように」念入りに対応します。
しかし、そういった細かいミスの修正に時間がかかりすぎると、学習効率は下がります。
細かい時間のロスが積み重なることで、英語学習に無用な時間をかけることになり、学習がいつまでたっても進まなくなってしまうのです。
間違えることを極端に恐れるようになる
小さなミスに過剰に反応してばかりいると、「自分はミスばかり犯している」「きっと英語の才能がないんだ」などと自己評価が下がってしまいます。
自己評価が下がってしまうと、特に問題なのが、アウトプット(書く、話す)の機会を恐れるようになってしまうことです。
特に英会話のレッスンで日本人が緊張して「Yes.」「No.」「Thank you.」しか話せなくなるのは、ミスを極端に恐れる完璧主義志向が原因といえます。
完璧主義を克服するには
そのため、まずはミスを恐れないようにマインドセットしていくことが重要になります。
でも、「ミスを恐れないようにしましょう」といわれても、長年しみついた思考回路を切り替えるのは、なかなか難しいですよね。
そこでこの項では、ミスを恐れないマインドを育てるコツを紹介します。
小さな成功体験を積み重ねる
そのためには、大きな目標を掲げるのではなく、小さな目標を1つずつクリアして、自信へとつなげていくことが効果的です。
英語学習が「前に進んでいる」実感を得ることができると、苦手意識や自己評価の低さは、自然と改善していく傾向にあります。
まずは、小さな成功体験を積み重ねて、自分に自信を持つことから始めましょう。
学習仲間やコーチのサポートを活用する
そんな時は、例えばSNSなどを通じて、同じようなレベルの英語学習仲間を探してみましょう。
英会話スクールのグループレッスンに参加するのもよいでしょう。
「自分と同じように英語学習を頑張り、悩みを抱えている人たちがいる」のを目の当たりにすることで、英語でミスを犯すのが決して恥ずかしいことではないと気付けるはずです。
そして、英語コーチングなどを通して自分の英語力を客観的に評価してもらうことで、自分を見つめ直すきっかけを得ることができます。
英語コーチたちは、学習者の「良いところ」を見つけるプロ集団なので、たくさん褒めてもらうことで、自己評価が上がるかもしれません。
「完璧主義」より「成長志向」を目指そう
「結果よりプロセスを大事に」という言葉もありますよね。
英語学習においても、「問題集で正解した・間違えたことがすべて」ととらえるのではなく、ミスを犯した場合、「そのぶん成長した」ことを重視するのが成長志向です。
難しい問題に「挑戦した」自分をほめてあげるのもよいでしょう。
英語学習においては、完璧を求めるのではなく、「挑戦」と「改善」に重点を置いて、少しずつ改善を目指していくのがおすすめです。
また、完璧主義の人は、第三者からフィードバックを与えられた時も、不本意に感じて受け入れない傾向が強いですが、フィードバックも「自分の成長につながる」と喜べるようにすると、英語学習はより効率的になります。
まとめ
英語学習においては、完璧を目指すのではなく、成長と挑戦を大事にして、自分の小さな進歩、小さな成功体験を大切にキャッチしましょう。
自己評価を高めて、ミスを恐れないマインドを作っていくことで、学習効率が高まります。
筆者の場合、英語が全く話せない状態でイギリスに留学して、単語の羅列を繰り返していた時期があったのですが、言いたいことが「意外と通じる」ことに新鮮な驚きを感じたものです。
「英語話者との英会話は緊張する……」となかなか踏み出せない段階の人は、ぜひ「つたない英語でも通じた!」という新鮮な喜びを感じてほしいと思います。
ちなみに、英語上級者の方なら、英語学習に完璧を追求しても悪くはないと思います。
ぜひネイティブ顔負けの英語力を手に入れて、国際社会で活躍してください。