2023.07.30英語学習・フレーズ

TOEICで高得点をとってもビジネス英語は話せない!?使える英語を習得する方法とは

TOEICは英語資格で日本でもっとも有名な英語資格の一つで、ビジネス英語の語彙をベースにしたテストです。そのため、「TOEIC対策をすれば自然とビジネス英語が身につく」と思っている人も多いのではないでしょうか。

しかし実際は、TOEICで高得点をとれるようになっても、ビジネスシーンで英語でコミュニケーションが取れるとは限りません。むしろ、日常英会話すらままならないという悩みが多く聞かれます。

この記事では、TOEICで高得点をとっても英語が話せるようにならない人がいる理由と、実践で使えるビジネス英語を習得するにはどうしたらいいか解説します。

TOEICで高得点を取っても意味がない?英語が話せない理由

スピーキングのテストがない

一般的に「TOEIC」と呼ばれているテストの正式名称は、「TOEIC Listening & Reading Test」といいます。
つまり、いわゆる「TOEIC」と呼ばれるテストは、「リスニングとリーディング」を対象としており、スピーキングとライティングのスキルは求められていないのです。

しかし、読む・書く・聞く・話すという言語の4技能は、連動してはいるものの、それぞれ独立した能力です。「話す」訓練をしなければ、英語を話せるようにはなりません。

つまり、TOEICで高得点をマークすると、英語の基礎体力はつくものの、話す訓練はおろそかになっている場合も多いのです。

TOEIC対策のテクニックは実生活で使えない

TOEICには、「先読み」や「時間配分」のような独特の対策テクニックがありますよね。
これらのテクニックは、TOEICで高得点を取るには必要なスキルですが、実世界で英語を運用するにあたっては、使う機会のないスキルといえます。

TOEICで手っ取り早く高得点を目指すために、TOEIC特有のテクニックを磨く人も多いですが、実際に英語を使う際に必要ないスキルを学ぶのは、二度手間ともいえます。

英語知識があってもグローバル人材にはなれない

TOEICで高得点をとってもビジネスの現場で通用しないといわれるもう一つの理由は、「英語の知識がある」=「ビジネスの現場で英語を運用できる」とはいえないことです。企業の人事担当者たちも、その事実に気づき始めています。

英語をある程度使えたとしても、原稿をベタ読みするだけのプレゼンになってしまって、質疑応答に対応できなかったり、会議で自分の意見を発信できないようでは、「グローバル人材」とは呼べません。

総務省も「グローバル人材」について、

”「日本人としてのアイデンティティーや日本の文化に対する深い理解を前提として、豊かな語学力・コミュニケーション能力、主体性・ 積極性、異文化理解の精神等を身に付けて様々な分野で活躍できる人材 ”
と定義しています。
(総務省:「グローバル人材育成の推進に関する政策評価」
より引用)

つまり、仮にTOEIC対策で「豊かな語学力」が身についていたとしても、コミュニケーション能力や主体性・積極性などを身につけていないと「グローバルに活躍できる人材」とはいえないのです。

ビジネス英語を身につけるには

目標を明確にする

英語学習で最も避けたい事態が、「途中で挫折すること」です。
しかし、英語学習は長く辛いもの。途中でくじけてしまいそうになる時は必ずやってきます。
そこで、「英語を学習する目的」や、「英語を学習することでなりたい自分像」を明確にしておくことが必要になります。

例えば、英語を学習する目的の例としては、「海外赴任」「外資系への転職」などが挙げられます。
さらに、「プレゼンの質疑応答にすらすら答える自分」「会議で自分の意見をガンガン発言する自分」など、「理想の自分像」をイメージしておくと、より効果的に英語学習を進めることができます。

業務に必要なフレーズをマスターする

ビジネスシーンで必要なフレーズ
ビジネスシーンでは、日常英会話とは少し違った言い回しが用いられることがあります。
よほど親しい間柄でない限り、フォーマルでかしこまった表現を用いるのが妥当です。

会話編
ビジネスシーンでは、以下のような表現がよく用いられます。

I’d like to make an appointment. アポを取りたいのですが

Could you give me some feedback? ご意見を伺いたいのですが

I apologize for the delay. 遅れて申し訳ありません

「アポ」は日本独特の略語なので、英語表現で用いても通じません。略せずに「appointment」と言いましょう。
ほかにも、「Could you~?」や「I apologize…」のように、日常英会話より丁寧な言い回しをすることに注目してください。

メール編
ビジネスメールでも、日常的に使うメッセージとは少し異なる表現が用いられます。

To Whom It May Concern ご担当者様

It would be appreciated if you could reply to us as soon as possible.
早めにお返事をいただけるとありがたいです

Best regards, 敬具

このように、メールにおいても「I would be appreciated」など、非常に丁寧な表現が用いられます。

自身の専門分野に必要な用語
ビジネスの現場で早急に必要とされるのが、自分の職業分野に必要な用語の習得です。

仮に総務部に所属しているなら、「Sales Department(営業部)」「Production Department(商品開発部)」「Public Relations Department(広報課)」などの用語はおさえておきたいところです。

介護職であれば、「Dementia(認知症)」「Bedsore(床ずれ)」「BT(体温)」などの用語を覚えておくのが基本となるでしょう。

実践の場を設ける
英語は、結局のところ、実際に使わないと身につきません。
もし海外赴任を控えていて、実際に英語を使う場面に直面するまでに少し余裕があるなら、オンライン英会話などを利用して練習すると良いでしょう。
英語コーチングを利用すると、受講生それぞれにカスタマイズされたフィードバックがもらえるため、より効果的にビジネス英語を習得することができます。

もし、現在すでに英語を使う職場にいて、英語で自分の意見を発信できず悩んでいるという人は、空き時間に「こう聞かれたらこう答えよう」とイメージトレーニングを重ねるのも有効です。
あとは、まずは単語の羅列でいいと割り切って、とにかく自分の言いたいことを伝えるよう心がけましょう。
すでに実践の場が用意されている環境なら、使っているうちにすぐに英語は上達します。

終わりに

「TOEICで高得点を取っていてもビジネスの現場で英語が使えるとは限らない」ということをお伝えしましたが、「TOEICなんて勉強しても無駄だ」という意味ではありません。

TOEIC対策で触れるフレーズには、ビジネスで使える語彙がちりばめられていますし、リスニングとリーディングにおいては、かなりの基礎体力を身につけることができます。

ただ、TOEIC対策をする上で心がけたいのが、手っ取り早く高得点をマークするために、「先読み」や「時間配分」などのテクニックを極めることに終始しないということです。

TOEIC高得点は、テクニックだけでとれるものではありません。確かな英語力もついてきます。
しかし、同じ高得点を狙うなら、テクニックにはあまり頼らず、英語の基礎体力を磨くことに集中してはいかがでしょうか?

そしてTOEICで身につけた基礎的な英語力をベースに、プラスアルファとして正しい方向でビジネス英語を身につければ、TOEIC対策学習は、ビジネス英語習得においてむしろ理想的な練習台になります。

「英語を使える人材」の年収は一般的に通常より高くなることがハーバード大学などの調査で分かっています。
TOEICをビジネス英語習得の下地として利用すれば、キャリアアップの強力な武器となりえます。

TOEIC「だけ」ではビジネス英語を使えるようにはなりませんが、正しい方法でTOEIC対策をし、プラスアルファの学習でビジネス英語を身につけて、ぜひグローバル社会を生き抜いていって下さい。



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