すでに現地在住の外国人の採用も進んでおり、酒蔵内では、旭酒造が創業七十四年の歴史で培ってきた、日本酒の醸造技術が伝えられています。
ただ、そんな中で大きく立ちはだかるのが、言葉の壁です。
山口県岩国市で創業した旭酒造にとって、会社を上げて本格的に海外進出するのは、今回が初めてのこと。
日本酒醸造という仕事柄、酒蔵の中で英語をつかう機会は、まずありません。
今回、ニューヨークの新事業に抜擢された、児玉タカヒロさんはどのような気持ちで、この獺祭の挑戦を受け止めているのでしょうか?
<児玉さんの経歴>
2009年に株式会社旭酒造に入社し、主に調合部門・製品部門など、酒造業務の様々な部署を担当する。2014年に製品部門のサブリーダーに就任。2015年4月には製品部門の主任に就任した。洗米・精米・水質管理などの業務を経て、2023年2月には米国酒蔵立ち上げのため、Dassai USA Inc. に赴任予定。
期待と不安をもって臨む新事業
簡単な自己紹介をおねがいします。
アメリカで業務を行うにあたっては、日本酒を作る際に出る排水の処理も担当するので、その研修も受けています。
ニューヨーク駐在に選ばれた時はどんな気持ちでしたか?
自分を高く評価してもらえて嬉しい半面、「私でいいんだろうか」とも思いました。
海外に行くのは、本事業の竣工式とその直前の「獺祭の会」以外、ほぼ初めてだったので、英語が話せるような状態ではなく、不安な気持ちでいっぱいでした。
渡米前の今の心境を聞かせてください。
ただ、海外に行くと価値観が変わると聞くので、新生活を楽しみにしています。
その一方で、現地スタッフとのコミュニケーションはすべて英語で行うことになると思うので、言葉の面で特に不安を感じています。
現在の英語力について教えてください。
今までは、学校英語以外、特に英語を学習した経験はなく、ギャビーの受講が初めての英語学習になります。
ギャビーアカデミーと旭酒造の挑戦
英語のスピーキング能力を脳科学的アプローチと発音アプローチから学習し、英語スキルを「0→1」にするため、3か月の特別トレーニングカリキュラムが組まれています。
旭酒造の新事業への挑戦を支援しています。
ギャビーを受講してみて
セルフ・トレーニングの感想を教えてください。
ただ、学校の英語では習わなかったような言葉、例えば「Twitter」や「iPad」のような現代的な単語が多く出てきて、英語で聞き取るのが難しくて戸惑いました。
「Yes/No Questions」のトレーニングでも、時々戸惑うことがあります。
例えば、「(あれはあなたの~ですか?)Is that your~?」と尋ねられた時に、「これは私の~です(This is my~.)」などという回答がうまく出てこないことがありました。
また、渡米前ということで、仕事で疲れてしまい、時々セルフ・トレーニングがおろそかになることもあるのが悩みです。
ライブ・セッションの感想を教えてください。
YouTubeを通じて毎日動画が送られてきていたので、その動画を見て学習していました。セッションを受けて、以前よりも発音に気を付けるようになりました。
外国人コーチは、優しい方なのですが、フリートークでは、うまく会話ができなくて、なんだか申し訳ない気持ちになってしまいます。
「昨日したこと」などについて聞かれても、言葉につまってしまい、しばらく無言の時間が続いたり、「もういいや」と伝えることを諦めてしまったりします。
先生が話す内容も、会話の中で一つ知らない単語が出てくると、その単語の意味を考えすぎるあまり、すべてが分からなくなってしまい、その後に言われていることまで全く聞こえなくなってしまいます。
学習前より、全体的な英語力はアップしたと思います。
しかし、習熟度をチェックする「アセスメント・テスト」では、「仕事で達成したい目標は何ですか?」などと英語で質問され、1分間自由に叙述するよう言われたのですが、全然答えられませんでした。
今は積み重ねの段階
自分に必要だと感じていることはありますか?
今後特に積み重ねていきたいのは、「英会話の量」です。
リスニングの練習は現地に行けば、いくらでもできますが、やはり英語は「話す」練習が大事だと思っています。
そのためギャビーでは、英語を話すトレーニングを頑張っていきたいと思っています。
今後の意気込みを教えてください。
英語の面では、現地のスタッフと、通訳を介さずに自分の言葉でトレーニングをしたいと思っています。
今回せっかくギャビーを受講する機会を得たので、その機会を生かしていきたいと思っています。
取材を終えて
「0から始めるので楽しみと不安が入り混じっている」と渡米直前の心境を語っていたのが印象的でした。
英語初心者の頃や初めての海外生活では、誰もが英語を話すことに自信がなく不安な思いをするのではないでしょうか。
それでも児玉さんのように『英語を使って業務を全うする』という具体的な目標があれば、そこへの到達に向けて全力投球できるはずです。
「自分を米国赴任に推薦してくれたからには、求められている仕事を現地でしっかりとこなしたい」
そう語った児玉さんの後押しができるよう、ギャビーアカデミーチーム一丸となって児玉さんをサポートしていきたいと感じたインタビューでした。