日本のビジネスミーティングやメールのやり取りでは、さまざまなカタカナ英語が、当たり前のように使われていますよね。ただ、カタカナ英語には、実際の英語ビジネスシーンにおいて、意味が通じないものや、誤解を生みかねないものも多いです。
例えば、「アポイント」や「リスケ」などは、英語の会議やメールのやりとりで使っても、まったく通じないので注意が必要です。
この記事では、特に会議やメールで使われがちな「通じないカタカナ英語」を厳選し、正しく伝えるためのポイントと自然な英語表現を紹介します。英語ビジネスシーンで相手に失礼のない表現を磨きたい方、スムーズなコミュニケーションを目指したい方は、ぜひ参考にしてください。
通じないカタカナ英語【会議編】
この章では、英語で会議を行う際に、つい使ってしまいそうなものの、実はネイティブに通じないカタカナ英語を紹介します。
- プレゼン
- コストパフォーマンス
- コンセンサス
- セールスポイント
- メリット・デメリット
- プラスアルファ
- ネームバリュー
- キャッチコピー・キャッチフレーズ
- ペンディング
これらのカタカナ英語は、英語に存在しない言葉だったり、実在しても、日本語とはまったく違う内容だったりします。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
プレゼン
「プレゼン」は「presentation」という英単語の略なので、英語でも通じそうに感じてしまいますよね。
ただ実は、「プレゼン」のような、「2音+2音」の略語は、日本人独特の感覚から生まれるものです。
そのため、英会話の中で「presen」という表現を使っても、まず通じません。
英語で話す場合は、「presentation」を略さずに使うのが一般的です。
以下の例文を参考にしてください。
今日のプレゼン、頑張ってね!
プレゼン前に何か必要なことがあれば言ってくださいね。
コストパフォーマンス
「コストパフォーマンス」は、完全なる和製英語です。英語で「cost performance」といっても、まったく通じないでしょう。
もちろん、「コスパ」という略語も通じません。
「コストパフォーマンス」について英語で言いたい時は、「value for money」や「cost-effectiveness」といった表現を使います。
以下の例文を参考にしてください。
この製品はコストパフォーマンスがいいですね。
コストパフォーマンスに基づいて、現在の方式を導入しました。
ちなみに、「cost-effectiveness」の応用編として、「cost-effective」という形容詞形も覚えておいてください。
以下のように使います。
よりコストパフォーマンスのよい選択肢を探しています。
コンセンサス
「コンセンサス」は、英語の「consensus(意見の一致、総意)」に由来する言葉ですが、英語とはニュアンスが大きく違うため、和製英語的な表現といえます。
英語の「consensus」は、例えば以下のような文脈で使う、フォーマルで限定的な表現です。
気候変動が深刻な問題であるという総意が高まっている。
日本語の「コンセンサス」は、もっと実務的で、対人関係的なニュアンスを含みますよね。
そのため、英語で「コンセンサスをとる」と言いたい場合は、別の英語表現で言い換えることをおすすめします。
例えば、以下のような言い方です。
まず社内コンセンサスが必要です。
関係者とコンセンサスをとりましたか?
コンセンサスがとれていることを確認しましょう。
「コンセンサス」の言い換え方として、「internal approval(会社内部での総意)」「aligned(足並みがそろっている)」「eneryone’s on board(全員の意見が一致している)」などのフレーズが使えます。
セールスポイント
「セールスポイント」という表現は、英語で通じそうに見えますが、こちらも和製英語です。英会話で使っても、相手を困惑させてしまうでしょう。
「セールスポイント」を英語で言いたい場合は、「selling point」というのが自然です。
また、マーケティング用語ですが、「unique selling proposition (USP)」を使うこともあります。
以下の例文を参考にしてください。
軽量さがセールスポイントです。
当社のセールスポイントは、追加料金なしの迅速な配送です。
メリット・デメリット
「merit」「demerit」という言葉は、英語にも存在しますが、英会話で使う時のニュアンスは、日本語の「メリット」「デメリット」とはかなり異なります。
英語の「merit」は「価値・功績・長所」という意味で使われ、「利点」という意味では使われません。
例えば、以下の例文を参考にしてください。
この計画には一定の価値があります。
各選択肢をそれぞれの価値に基づいて評価します。
そのため、「merit」を日本語の「メリット(利点)」という意図で使うと、違和感が強くなってしまいます。
「demerit」にいたっては、学校での「懲罰」や「減点」を指す言葉で、日本語の「デメリット」とはまったくニュアンスが違うので注意しましょう。
英語で「メリット」について言いたい場合は、以下のような表現が適切です。
- advantage
- benefit
「デメリット」について言及したい時は、以下のような表現を使いましょう。
- disadvantage
- drawback
- downside
以下の例文も参考にしてください。
メリットとデメリットを比較しましょう。
リモートワークのメリットは柔軟に働けることですが、デメリットとして、チーム内のやり取りが減るという点が挙げられます。
プラスアルファ
プラスアルファは、完全なる和製英語です。英会話で使っても、まったく通じません。
英語で「プラスアルファ」と言いたい時は、以下のような表現を使うとよいでしょう。
- something extra
- added bonus
- a little extra
以下の例文を参考にしてください。
彼女はいつも顧客にプラスアルファの価値を提供しています。
このシステムは高速なだけでなく、省エネというプラスアルファもあります。
初回のご注文ということで、少しプラスアルファを加えさせていただきました。
ネームバリュー
「ネームバリュー」も和製英語です。英会話でそのまま使わないよう注意しましょう。
英語で「ネームバリュー」について言及したい時は、以下のような言い方があります。
- brand recognition
- brand power
- strong reputation
以下の例文を参考にしてください。
その企業はアジア市場で高いネームバリューを持っています。
アップルのネームバリューは、顧客の信頼を支え続けています。
ネームバリューによって、顧客と投資家の両方を引きつけられます。
キャッチコピー・キャッチフレーズ
「キャッチコピー」「キャッチフレーズ」も和製英語です。英語では、「slogan」や「tagline」を使うのが自然です。
以下の例文を参考にしてください。
“Just Do It”はナイキの有名なキャッチコピーです。
製品発売に向けて、新しいキャッチコピーを制作中です。
ちなみに、「catchphrase」という英単語は存在しますが、日本語とは意味が異なります。
英語の「catchphrase」は、芸能人、キャラクター、コメディアンなどの「お決まりのせりふ」のことです。
ペンディング
「pending」は、確かに「保留の、未決定の」という英単語ですが、主に前置詞や形容詞として使われる表現です。
そのため、日本語のビジネスシーンで使われる「この件はペンディングで」「ペンディング案件です」といった名詞的な言い方を英語に直訳すると、不自然な表現になってしまいます。
カタカナ英語の「ペンディング」は、ほぼ「和製英語」と考えた方がよいでしょう。
英語ビジネスシーンで「ペンディング」を表現したい場合は、「pending」ではなく、別の表現を使いましょう。
例えば、以下のような言い方があります。
これはいったんペンディングにしましょう。
この問題はまだペンディングのままです。
通じないカタカナ英語【メール編】
この章では、英語でのメールのやりとりで使われがちな、「通じないカタカナ英語」を紹介します。
- アポイント
- リスケ
- クレーム
- トラブル
この4つは、英語には存在しない言葉や、日本語とはニュアンスが違い、誤解を生みかねない言葉です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
アポイント
「アポイント」または「アポ」という表現は、「apointment」という英単語の略語であるため、英語でも通じそうに思えますよね。
しかし、これは日本独自の略し方であるため、英語メールの中で「apoint」「apo」を使っても、まず通じることはありません。
「apointment」を、略さずにそのまま使うか、別の表現に言い換えるとよいでしょう。
例えば、アポイントをお願いするメールを送る場合、以下のような言い方ができます。
アポイントを取りたいのですが。
ご都合のよいタイミングでアポを取りたいのですが。
そして、メールの件名に「appointment」を使う場合は、以下のような表現が自然です。
ABC社の山田太郎より、アポイントのお願い
7月16日13時(日本時間)のアポイントのご確認
ちなみに、時間について言及する時、「15:00」といった24時間単位の表現は、英語圏では使いません。
「午後3時(15時)」は「3:00 PM」といわないと通じないので気を付けましょう。
リスケ
「リスケ」も、「reschedule」という英単語の和訳なので、英語で通じそうですが、この略し方も英語では通用しません。
略さずに「reschedule」をそのまま使うか、別の表現に言い換えましょう。
次の例文を参考にしてください。
会議をリスケしていただけますか?
会議を明日にずらせますか?
会議を来週に延期できますか?
ちなみに、リスケを申し込まれた時の返信としては、以下のような言い方をすることができます。
もちろん、リスケ可能です。ご都合の良い日時をご提案いただけますか?
ご事情は理解しますが、今週は予定が詰まっております。もとの時間で行うか、短時間での実施は可能でしょうか?
クレーム
「claim」は、「主張する・請求する」という意味の英単語です。日本語の「クレーム」は和製英語といっていいでしょう。
英語で「クレーム」に当たる表現は、「complaint」です。
以下の例文を参考にしてください。
お客様からクレーム(苦情)をいただきました。
納品の遅れについて、クライアントからクレームがありました。
トラブル
「トラブル」は「trouble(問題)」という英単語に由来するので、英語でまったく通じないわけではありません。
ただ、英語の「trouble」は、抽象的な「困難」や「厄介ごと」に直面している状況を指す、狭い意味の単語です。
そして、カジュアルな意味合いが強い単語なので、ビジネスシーンには向きません。
英語で「トラブル」と言いたい時は、「trouble」という表現は避け、「problem」や「issue」を使った方が無難です。
以下の例文も参考にしてください。
トラブルが発生しました。
トラブルが発生しました。
「issue」は日本人にはなじみのうすい表現かもしれませんが、広い意味で「問題」を指すことができる便利な表現なので、ぜひ覚えておいてください。
まとめにかえて
今回の記事を受けて、英語会議への参加やメールでの連絡が、怖いと感じてしまった方もいるかもしれませんね。
ただ、ここで強調したいのは、「『英語っぽい表現だから』という理由で、『通じるだろう』という ”過信” は禁物」ということです。
英語に不慣れなうちは、あらゆる英語での表現は、「通じなくても当たり前」です。
そのため、言いたいことがうまく通じなかった時は、さまざまな方法で「言い換える」習慣をおすすめします。
例えば、「コストパフォーマンスがいい」と言いたい時に、「value for money」や「cost-effectiveness」といった表現が思い浮かばなかったとします。
それでも「high-quality service(高い品質のサービス)」や「good product(質のよい製品)」と「reasonable price(良心的な価格)」などの表現を組み合わせれば、正しい意図が伝わるでしょう。
簡単な言葉の組み合わせでいいので、英語で自分の意思を正しく伝えられるよう、トレーニングを積んでいきましょう。
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ホール 奈穂子
株式会社ギャビーアカデミー代表取締役
元九州大学職員。TOEIC 990、IELTS 7.5(Speaking 8.0)を誇る、英語学習独学のスペシャリスト。27歳から英語を学び直し、自らの人生で英語習得がもたらす可能性を証明。米国赴任、留学プログラムや海外大学との共同学位取得プログラムの設計・運営に携わった経験から、日本人の英語学習における課題を深く理解し、効果的な学習方法を追求。その集大成として、東京大学と共同で、脳科学に基づいた独自の英語スピーキング習得メソッドを開発。現在カナダ・バンクーバーに在住。世界を舞台に活躍する日本人ビジネスパーソンの育成に情熱を燃やし、日本とバンクーバーを往復しながら精力的に活動中。趣味はカナダを舞台にしたサケ釣り。