2026.05.21英語ビジネス

「値上げ」を英語ビジネスシーンで伝える|信頼関係を維持する言い回しを解説

取引先に「値上げ」を伝えるとき、英語でどう言えば角が立たず納得してもらえるのか、悩んだことはありませんか?

対訳としては、increase pricesという表現が考えられますが、英語ビジネスシーンでは、ストレートすぎる印象があります。
英語ビジネスシーンで「値上げ」を伝えるには「シンプルながらストレートすぎない」伝え方が重要になってくるのです。


そこでこの記事では、まず「値上げ」を指す英語表現について簡単に紹介したのち、英語で「値上げ」を伝える際の3つのコツを紹介します。
「値上げ」を伝える際にそのまま伝えるフレーズ集や、逆に、避けるべきNG表現も紹介するので、「コスト」と「信頼関係」の最適なバランスを追求したい方は、ぜひ参考にしてください。


「値上げ」を指す基本の英語表現3つ

「値上げ」を指す表現として代表的なのが、以下の3つです。


  • increase(動詞)/ price increase(名詞)
  • raise(動詞)/ price rise(名詞)
  • hike(動詞)/ price hike(名詞)

それでは、それぞれの表現のニュアンスの違いをみていきましょう。


increase / price increase

「値上げする」ことを意味する最も一般的な英語表現は、increaseです。


We will increase our prices.
値上げします。
There will be a price increase next month.
来月、値上げがあります。

increaseはニュートラルかつ客観的で、感情を伴わない表現です。
少し直接的すぎる印象もありますが、誤解なく「値上げ」を伝えたいなら、「increase」を選ぶとよいでしょう。


raise / price rise

raiseという単語は、「手を挙げる」シーンなどで聞き馴染みのある方も多いでしょう。「人が意志を持って引き上げる」というニュアンスのある表現です。
increaseよりも主体性が強くなり、より直接的な意味合いを持つ表現です。


We will raise our prices.
価格を引き上げます。
There has been a price rise recently.
最近、価格上昇がありました。

「価格を挙げる側」に立ってraiseを使う場合、「自分たちが上げる」という意志が強く表れるため、強く聞こえすぎてしまうこともあります。
ビジネスシーンでは、使い方に注意したい表現です。


hike / price hike

「hike」は「大幅に値上げする」「急な値上げ」という意味で、ネガティブなニュアンスを含む表現です。


They hiked their prices last year.
昨年、大幅に値上げしました。
Customers are unhappy about the price hike.
顧客は値上げに不満を持っています。

hikeは新聞やニュースなどの批判的な文脈でよく使われる表現で、取引先への説明ではまず使いません。
なぜならば、hikeは『一方的で急激な値上げ』というニュアンスがあるため、当事者が使うと相手への配慮を欠いた印象になるからです。


英語ビジネスシーンで「値上げ」を伝える3つのコツ

ここまで、「値上げ」を指す、基本的な表現を紹介してきました。
ただ、今まで紹介した表現を使うだけでは、英語で角が立たないよう「値上げ」を伝えるのは難しいかもしれません。


「値上げ」を伝えながら、取引相手との信頼関係も維持できるよう目指すなら、以下の3つのコツをおさえておきましょう。


  • 動詞選びを工夫する
  • 理由を先に伝える
  • クッション表現を使う

それぞれどんなコツなのか、くわしくみていきましょう。


動詞選びを工夫する

最初の章で、increase(ただ単に値上げする(感情なし、直接的))やraise(自分が意志を持って引き上げる)、hike(大幅に値上げする)といった表現を紹介しました。
これらの表現は「正しい」のですが、「ストレートすぎる」「直球過ぎる」響きがあります。


そのため、英語ビジネスシーンで「値上げ」を伝える時は、以下のような、よりおだやかなニュアンスの動詞を選ぶのがおすすめです。


  • adjust(調整する)
  • revise(見直す・改定する)

We will adjust our pricing starting next month.
来月から価格を調整いたします。
Our prices will be revised from July 1.
7月1日より価格を改定いたします。

理由を先に伝える

「値上げ」はどうしてもネガティブに受け取られる話題です。
そのため、いきなり値上げを伝えるのではなく、理由を先に説明することが重要です。
先に背景を共有することで、相手に「仕方ない」と納得してもらいやすくなり、印象をやわらげる効果があります。


Due to rising costs, we will adjust our prices.
コスト上昇のため、価格を調整いたします。
Due to increased material costs, our pricing will be revised.
原材料費の上昇により、価格を見直します。

クッション表現を使う

英会話では基本的にシンプルな表現が好まれますが、話しにくい内容になると、適切なクッション表現(遠回しな表現)も有効です。
ここでは、口頭で「値上げ」を伝える上で、特におすすめのクッション表現2つを紹介します。


  • I wanted to talk about …(~についてお話したかったのですが)
  • We may need to …(~する必要があるかもしれません)

それぞれ簡単に解説します。


I wanted to talk about …

「I wanted to talk about …」は、話しにくいテーマをやわらかく「切り出す」ためのクッション表現です。
直訳すると「〜についてお話ししたかったのですが」という意味で、結論を伝える前の、会話の「入り口」を作る役割があります。


I wanted to talk about our pricing.
価格についてお話ししたいのですが。
I wanted to talk about a price change.
価格変更についてお話ししたいのですが。

この表現は、単体ではなく、その後に話題をつなげることが前提となっています。
たとえば、以下のような形です。


I wanted to talk about our pricing.
Costs are going up.
So we may need to adjust our prices.

価格についてお話ししたいのですが、
コストが上がっているため、
価格調整が必要になる可能性があります。

このフレーズは、値上げ(価格)について、まず話題を提示して、相手に心の準備をさせる効果があります。
言いにくいことを話すなら、まず「話題を切り出す」表現を使えるようにしましょう。


We may need to …

「We may need to …」は、値上げのようなデリケートな話題を、断定せずに、やんわり伝えるクッション表現です。
直訳すると「〜する必要があるかもしれません」となり、「決定事項」として言い切らず、「可能性」として伝えることで、印象をやわらげます。


We may need to adjust our prices.
価格を調整する必要があるかもしれません。
We may need to review our pricing.
価格の見直しが必要になる可能性があります。

一方的な通知ではなく、交渉の余地を残すことで、相手への「圧」を下げる効果があります。


英語ビジネスシーンでそのまま使える「値上げ」フレーズ集

それでは、実際に「値上げ」について話す実践的なフレーズを、順を追ってみていきましょう。


  1. 話題を切り出すフレーズ
  2. 先に理由を伝えるフレーズ
  3. 角が立たないように「値上げ」を伝えるフレーズ
  4. 相手に配慮するフレーズ

1. 話題を切り出すフレーズ

「値上げ」などのデリケートな問題について話す際には、いきなり本題に入るのではなく、まず話題を「切り出し」て、先方にも考える余裕を与えましょう。
先ほど紹介したクッション表現「I wanted to talk about…」などが使えます。


I wanted to talk about our pricing today.
本日は価格についてお話したいのですが。
I’d like to discuss our pricing.
価格についてお話ししたいです。
Can we talk about our pricing for a moment?
少し価格についてお話しできますか?

2. 先に理由を伝えるフレーズ

話題を切り出したら、いきなり「値上げします」と言うのではなく、「値上げをするのにはちゃんと理由がある」ということを前もって伝えるようにしましょう。
背景となる事実をシンプルに伝えるのがポイントです。


Due to higher fuel costs, …
燃料費が上昇しているので……
As material costs have increased, …
原材料費が上昇しているので……
Given the increase in logistics costs, …
物流コストが上昇しているので……

初心者の方は、口頭なら「Because…」や「so…」を使っても全く問題ないのですが、これらの表現はやや口語的です。
徐々に「As…」や「Given…」などの、フォーマルな表現を使えるようにしていきましょう。


3. 角が立たないように「値上げ」を伝えるフレーズ

理由を伝えたら、続けて「値上げ」を伝えましょう。動詞はadjustやreviseなど、穏やかなニュアンスのものを選ぶと効果的です。
クッション表現「We may need to…」も使えます。


We may need to adjust our prices.
価格調整が必要になるかもしれません。
We’re planning to revise our pricing.
価格見直しを予定しています。
We may need to review our pricing.
価格の見直しが必要になる可能性があります。

「値上げ」を穏やかに伝える動詞は、ほかにreviewやupdateなどがあります。


4. 相手に配慮するフレーズ

値上げを伝えたら、伝えっぱなしにするのではなく、フォローする一言を添えると、より効果的です。


I’d like to hear your thoughts on this.
ご意見を頂戴できますか?
Does that make sense to you?
ご理解いただけますでしょうか?
I’m happy to hear your feedback.
ご意見をいただければ幸いです。

このような表現を使って、「一方的に値上げを伝える」形を避けると効果的です。


「値上げ」を伝える時に避けたいNG表現

「上げる」というと、カタカナ語の「アップ」を連想する方も多いかと思います。
そのため、「値上げ」をする際に、以下のような表現を使ってしまう方もいるかもしれませんね。


✕ We will up the price.
✕ We need to up our prices.

これらの表現でも、意味は通じるでしょうが、「子どもっぽい」あるいは「スラング寄り」という印象があり、ビジネスシーンでは不適切です。
また、「✕ We will price up. 」も和製英語なので注意です。


こういった場合は、以下のように言い換えられるようにしましょう。

We will increase our prices.
We need to increase our prices.

さらに、以下のような言い回しを活用すると、より効果的です。

We will adjust our prices.
We may need to revise our pricing.

まとめ

この記事では、主に「値上げ」を英語で、角が立たないよう伝える方法を紹介しました。
具体的な方法は以下の3つです。


  • 動詞選びを工夫する(adjust / revise)
  • 理由を先に伝える
  • クッション表現を使う

テンプレートは以下のようになります。

As our costs have increased, we may need to adjust our pricing.
コストが上がっているので、価格を調整する必要があるかもしれません。

そして、相手に配慮する一文も付け加えましょう。

I’d like to hear your thoughts on this.
ご意見をうかがえますか?

「値上げ」を伝える時は、おだやかな表現を選ぶのももちろん重要なのですが、納得感のある理由を提示したり、相手への配慮を示す姿勢はより重要です。


グローバルなビジネスシーンにおいて、価格の改定は事業を継続し、より良い価値を届けるための正当なプロセスです。
だからこそ、必要以上に萎縮することなく、対等なパートナーとして論理的かつ誠実に伝えるスキルが求められます。


今回紹介したadjustやreviseといった表現を使いこなせるようになると、あなたの英語のプロフェッショナル度は一気に引き上がります。
一歩先行く英語力を武器に、世界を相手に堂々とビジネスを動かしていきましょう!

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ホール 奈穂子

株式会社ギャビーアカデミー代表取締役

元九州大学職員。TOEIC 990、IELTS 7.5(Speaking 8.0)を誇る、英語学習独学のスペシャリスト。27歳から英語を学び直し、自らの人生で英語習得がもたらす可能性を証明。米国赴任、留学プログラムや海外大学との共同学位取得プログラムの設計・運営に携わった経験から、日本人の英語学習における課題を深く理解し、効果的な学習方法を追求。その集大成として、東京大学と共同で、脳科学に基づいた独自の英語スピーキング習得メソッドを開発。現在カナダ・バンクーバーに在住。世界を舞台に活躍する日本人ビジネスパーソンの育成に情熱を燃やし、日本とバンクーバーを往復しながら精力的に活動中。趣味はカナダを舞台にしたサケ釣り。

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