英語はビジネスシーンにおいて強力な武器になりますよね。しかし、国際的なビジネスシーンでネイティブと渡り合うには、「流ちょうに英語を話せる」だけでは不充分です。英語コミュニケーションにおいては、言葉そのものより、ボディランゲージの影響の方が大きいとさえいわれています。
例えば、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱した「メラビアンの法則」をみると、ひとが他人から受ける印象は、ボディランゲージが55%、声のトーンが38%影響し、言葉の内容そのものの影響は7%と解釈されています。
つまり、ボディランゲージをうまく使うことで、英語力に自信がなくても面接で気持ちが伝わりやすくなりますし、相手の印象に残るプレゼンテーションにもつながるのです。
この記事では、ボディランゲージを中心とした「非言語コミュニケーション」に焦点を当て、姿勢・アイコンタクト・ジェスチャーのポイントを紹介します。声のトーンや間の取り方など、非言語コミュニケーションと英語スキルの組み合わせについても解説するので、英語での面接やプレゼンを練習したい方はぜひ参考にしてください。
英語面接でのボディランゲージ
英語面接に臨むにあたっては、第一印象を重視したいですよね。
英語コミュニケーションでの第一印象を大きく左右するのが、ボディランゲージを中心とした非言語コミュニケーションです。
アイコンタクト、姿勢、ジェスチャーなどをうまく使うことで、たとえ英語力が充分でなくても、相手に誠実さや親しみやすさを印象付けることができます。
アイコンタクトとリアクション
英語面接では、アイコンタクトを適切に行うことで、自信や誠実さ、積極性を示すことができます。
自分が話す時には、適度に面接官の目を見るようにするとよいでしょう。
ただ、長時間じっと見つめるのではなく、数秒おきに視線を外すことで、適度なリラックス感を演出できます。
面接官が複数人いる時は、なるべく全員と目を合わせられるよう努めるとよいでしょう。
そして面接官が話している時は、目をしっかり見て適度にうなずきましょう。
「I see.」や「That’s interesting.」など口頭でリアクションすると、より好印象を与えることができます。
ただし、日本語の「あいづち」と同じペースではなく、相手の話をさえぎらないタイミングでのリアクションを心がけるのがおすすめです。
姿勢
英語面接では、背筋をしっかり伸ばし、椅子にあまりもたれないようにしましょう。
その上で、肩の力を抜いて、落ち着いた態度を演出するのも重要です。
必要に応じて、上半身を軽く前傾させることで、「積極的な態度」を示しましょう。
ジェスチャー
英語面接では、あまりオーバーなボディランゲージやジェスチャーは好まれません。
話の要点やリズムにあわせて、話を強調したい時にだけ、ジェスチャーを加えましょう。
髪を触る、服をいじる、足を揺らすといった動作は「緊張」や「不安」が表に現れてしまうため、できるだけ避けましょう。
そして、つねに自然な笑顔を心がけることで、誠実さと自信を示すだけでなく、親しみやすい印象を面接官に与えることができます。
英語プレゼンテーションでのボディランゲージ
英語でプレゼンテーションを行う際にも、ボディーランゲージは非常に重要になってきます。
つねに聴衆へのアイコンタクトを意識し、穏やかな笑顔を絶やさないのがポイントです。
開始時の姿勢・アイコンタクト・笑顔
プレゼンテーションの舞台に立ったら、一呼吸おいて、背筋を伸ばして肩の力を抜き、自信を示す姿勢をとりましょう。
徴収全体をゆっくり見渡して、自然なアイコンタクトをとり、「一人ひとりに関心を持っている」態度を示しましょう。
プレゼンを開始する時は、穏やかな笑顔を浮かべるようにすると、親しみやすい印象を与えることができます。
プレゼンテーション中のジェスチャー
プレゼンテーションでスピーチしている時は、ジェスチャーをあまり多用しないようにしましょう。
動きが多いと、むしろ聴衆に「落ち着きがない」という印象を与えることになってしまいます。
基本的には、重要なポイントを強調する時や、聴衆の注意を引きたい時に、手や腕のジェスチャーを利用しましょう。
たとえば、数字やリストを説明する際に、指を使って視覚的な順序を示したりすると、聴きやすいプレゼンになります。
対照的なアイデアを説明する際には、手を左右に分けて動かすなどするのもよいでしょう。
また、手を胸の近くに置くことで、共感を伝えることができます。
プレゼンテーション中のアイコンタクト
英語プレゼンテーションの際も、英語面接のときと同じく、聴衆との適度なアイコンタクトを心がけましょう。
広い会場で聴衆の数が多い場合は、聴衆の各エリアに向けて定期的に目を向けます。
個々の人と目を合わせる場合は、それぞれ2〜3秒を目安にしましょう。
スライドを見てばかりではなく、つねに聴衆に視線を向ける姿勢が重要です。
ボディランゲージのOK例とNG例
ボディランゲージの受け止め方には、国や文化的背景によって違いがあります。ここでは、主に英語圏で好まれるボディランゲージを紹介します。
英語圏で好まれるボディランゲージ
英語圏で面接やプレゼンに臨む際は、以下のようなボディランゲージ・ジェスチャーが好まれます。
- 緩やかに目を合わせる
- 手・腕を開く
- 背筋を伸ばす
- 適度にうなずく
それぞれ詳しく見ていきましょう。
緩やかに目を合わせる
英語圏では、ゆるやかなアイコンタクトが好まれます。
相手の目を見て話すのが理想なのですが、あまりじっと見つめすぎると圧迫感を与えてしまうので注意しましょう。
面接官や聴衆の目を適度に見つめながら話すことで、「相手に関心を持っている」「相手に真剣に向き合っている」という印象を与えることができます。
手・腕を開く
英語圏では一般的に、手のひらを見せたり、腕を左右に開いたりする動作は、正直さや積極性の象徴になります。
例えば、英語面接で ”I love working in a team environment.(チームで働くのが好きです)” などと協調性をアピールする時には、手を開いて、腕を軽く左右に開くジェスチャーを加えると効果的です。
プレゼンでも、相手の質問に同意して ”That’s a great point!(素晴らしい目の付け所ですね)” などと言う時に、開いた手のひらを軽く前に出すジェスチャーを加えると、親しみやすさとプロフェッショナルな雰囲気を両立させることができます。
背筋を伸ばす
英語面接やプレゼンに臨む際は、肩を開いて背筋を伸ばすことで、自信に満ちた態度・プロフェッショナルな態度を演出することができます。
逆に、猫背になったり、不必要に体を動かしたりすると、「自信がない・落ち着きがない」とみられてしまいます。
そして、相手の話を聞く時や、自分が話す時には、必要に応じて上半身をやや前傾させると、積極性や熱心さを示すことができます。
適度にうなずく
英語面接で面接官が話している時や、プレゼンでの質疑応答の際は、適度にうなずいて「あなたの話を理解しています」「興味があります」という姿勢を示しましょう。
「That’s interesting!」や「I see.」といった短いリアクションを交えるとさらに効果的です。
ただし、リアクションを加える時は、日本式の相づちのように相手の話をさえぎることは避けましょう。
英語圏で避けたいボディランゲージ
英語圏で避けたいボディーランゲージ・ジェスチャーはたくさんありますが、ここでは日本人がついクセでやってしまいがちなジェスチャーや、誤解を生みがちなジェスチャーを挙げます。
- 腕を組む
- 人差し指で人を指す
- 握りこぶしを作る
- 開いた手のひらを相手に向ける
腕を組む
無意識のうちに腕を組む癖のあるひとも多いかと思いますが、英語圏で腕を組む動作は、「相手に興味がない」または「批判的」な印象を与えがちです。
面接やプレゼンテーション中は、常に「開いた」姿勢を保つことで、親しみやすさを演出することができます。
人差し指で人を指す
人差し指で相手を指すと、「攻撃的」または「上から目線」な印象になります。
相手を指し示したい時は、手のひらを開いた状態で、軽く相手に向けるとよいでしょう。
握りこぶしを作る
「英語圏で好まれるジェスチャー」の時にもふれましたが、基本的に英語圏では、手や腕を「開く」ことが好まれます。
日本人は「強さ」を示すために握りこぶしを作りがちですが、英語圏では握りこぶしは「攻撃的」「威圧的」な印象を与えてしまいます。
英語圏で面接やプレゼンテーションに臨む際は、手をリラックスさせ、手のひらを開いたジェスチャーを心がけましょう。
開いた手のひらを相手に向ける
前項で英語圏では「開いた手のひら」が好まれるとお伝えしましたが、開いた手のひらを「相手に向ける」のはNGです。
英語圏では「STOP」を意味するジェスチャーであるため、特に相手が話している時に手のひらを相手に向けると、「それ以上聞きたくない」「聞く必要はない」という意思表示に捕らえられてしまいます。
英語の面接やプレゼンテーションに臨む際は、手のひらを左右に開くことで、オープンな印象を心がけましょう。
英語スキルを磨くのも重要
冒頭で、「メラビアンの法則」について紹介しました。ただ、メラビアンの法則は、誤解されて引用されているケースが多いです。
メラビアンの法則でいう、「ひとの印象は『ボディーランゲージの影響が55%』『声のトーンの影響が38%』『言葉の内容が7%』」というのは、感情や態度について「矛盾したメッセージ」が発せられた時の話です。
誰かが「君は正しいよ」と発言した場合、声のトーンが沈んでいたり、ジェスチャーからイライラがうかがえたら、言葉通りには受け取られませんよね。
メラビアンの法則は本来そういった状況を研究したものなので、必ずしも「声のトーンとジェスチャーの影響が9割」「言葉の内容そのものは重要ではない」ということにはなりません。
英語で面接やプレゼンテーションに臨む際は、英語力や言葉選びもまた、重要なのです。
ボディランゲージは英語力を補強する大きな武器になりますが、英語力や英語コミュニケーション力もしっかり磨いておきましょう。
英語力を磨く手段として、忙しい社会人の方におすすめしたいのが、英語コーチングの利用です。
英語コーチングでは、それぞれの受講生に合ったカリキュラムをオーダーメイドしてくれるので、どのように学習を進めていいか悩む必要がありません。
目標達成までコーチが二人三脚で伴走してくれるので、挫折のリスクも低く抑えることができます。
カナダ発の英語コーチングサービス「ギャビーアカデミー」は、グローバルビジネスで活躍する人材育成のために、多くの企業に採用されています。
英語初心者向けの「スピーキング力強化コース」だけでなく、「ビジネス英語プロコース」や「議論力強化プロコース」なども提供されているため、プレゼンなど国際的なビジネスシーンで活躍したい方にぴったりです。
ビジネス経験豊富なネイティブコーチ陣とともに英語力そのものを磨いて、説得力のあるスピーチを準備してはいかがでしょうか。
ボディランゲージと英語スキルの具体的な組み合わせ
英語面接やプレゼンテーションに臨む際は、声のトーン・ジェスチャーなどの非言語コミュニケーションと、英語スキルの両方が印象を大きく左右するとお伝えしました。
ここでは、非言語コミュニケーションと英語スキルをどう組み合わせるか、いくつか例を挙げます。
英語面接で使えるフレーズとボディーランゲージ
英語面接で強みをアピールする時は、以下のような表現を使いましょう。
私は努力家で、いつも仕事を期限内に終わらせています。
この時、手を軽く前に出して強調することで、話に説得力を持たせることができます。
背筋を伸ばして堂々とした姿勢を保ちましょう。
相手の目を見ながら話すことで、自信を示すことができます。
協調性をアピールするのも重要です。以下の表現を参考にしてください。
私はチームで働くのが好きです。相手の話をよく聞き、自分の意見も共有します。
この時は、軽くうなずきながら話すことで、協調性に説得力を持たせることができます。
手のひらは開き、上に向けて、オープンな印象を与えましょう。
穏やかな声のトーンで話すことで、親しみやすさを演出することができます。
そして、面接先の会社について積極的に質問しましょう。この時、「相手に興味がある」「関心がある」姿勢を崩さないようにしましょう。
御社の研修プログラムについてもう少し教えてください。
相手に「興味がある」「関心がある」ことを示すには、上半身を少し前傾させましょう。
相手の話を聞く時には、軽くうなずき、状況に応じて「I see.」「That’s interesting.」などのリアクションを入れましょう。
そしてこの時も、笑顔を絶やさないことで、フレンドリーで礼儀正しい印象を演出することができます。
英語プレゼンテーションで使えるフレーズとボディーランゲージ
英語でプレゼンテーションを行う際には、聴衆をゆっくり見渡してアイコンタクトを確保し、穏やかな笑顔を絶やさないのがポイントです。
プレゼンでジェスチャーを多用するのはNGです。かえって落ち着きのない印象を聴衆に与えてしまいます。
ジェスチャーの使用は、重要なポイントを強調する時に限定すると効果的です。
以下のようなフレーズで、ジェスチャーを活用しましょう。
今日は3つの重要なポイントをお話しします。
この時、指を3本立てると、視覚的に分かりやすくなります。
さらに「Firstly,…」「Secondly,…」「Thirdly,…」とポイントを示す時、手を軽く開くと効果的です。
データを提示する時も、軽くジェスチャーを入れると、聴衆がついてきやすくなります。
以下のフレーズを見てください。
最近の研究によると、80%の人がこの解決策を好んでいます。
こういったフレーズを口にする時は、グラフを指さしたり、画面に手を向けることで、視覚的資料を強調することができます。
手のひらは常に上に向けることで、説得力が高まります。
そして必要に応じて、軽くうなずきながら話すことで、自信のある姿勢を強調することができます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
ボディーランゲージの基本は、背筋を伸ばして肩を開き、しっかりとした姿勢を保つこと、適度なアイコンタクトを心がけること、そして穏やかな笑顔を絶やさないことがとても大切です。
こういった非言語的コミュニケーションをうまく利用すると、プロフェッショナルな態度を演出できるだけでなく、限られた英語力を補うことにもつながります。
そのため、適切なボディーランゲージの使用は、英語初心者から英語上級者まで、幅広いビジネスパーソンにおすすめしたいテクニックです。
ボディーランゲージと英語スキルを組み合わせて、より多くのビジネスチャンスをつかみ取ってください。
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ホール 奈穂子
株式会社ギャビーアカデミー代表取締役
元九州大学職員。TOEIC 990、IELTS 7.5(Speaking 8.0)を誇る、英語学習独学のスペシャリスト。27歳から英語を学び直し、自らの人生で英語習得がもたらす可能性を証明。米国赴任、留学プログラムや海外大学との共同学位取得プログラムの設計・運営に携わった経験から、日本人の英語学習における課題を深く理解し、効果的な学習方法を追求。その集大成として、東京大学と共同で、脳科学に基づいた独自の英語スピーキング習得メソッドを開発。現在カナダ・バンクーバーに在住。世界を舞台に活躍する日本人ビジネスパーソンの育成に情熱を燃やし、日本とバンクーバーを往復しながら精力的に活動中。趣味はカナダを舞台にしたサケ釣り。