2025.02.08英語ビジネス

英語ライティングで使えるストーリーテリング|文章展開・構成を例文とともに解説

グローバルに活躍するビジネスパーソンには、英語で報告書を作成したり、プレゼン資料を作成したりする、英語ライティングのスキルは必須といえます。

しかし、ただ詳細やデータを並べただけのレポートを提示しても、いまいち相手に伝わらなかったり、共感を得られなかったりすること、ありますよね。

そこで重要になってくるのが、英語ライティングにおける「ストーリーテリング」のスキルです。
データをもとに物語をつむぐスキルを得ることで、ビジネスパートナーの関心を一気に引き付けることができます。

この記事では、英語ライティングでストーリーテリングの手法を取り入れる際の文章展開・構成を紹介します。

読み手の心に深く残るビジネスライティングの方法を身につけたい方は、ぜひ参考にしてください。

英語ライティングにストーリーテリングが必要な理由

日本語の報告書では、詳細な情報を網羅的に盛り込むことが重視されがちですよね。

確かに、数字や事実は重要です。ただ、英語のビジネスシーンでは、単に情報やデータを提示するだけでは、十分な効果を得られないかもしれません。

なぜなら、英語圏や、多国籍のビジネスシーンでは、「共感」や「納得感」に基づいて意思決定が行われる場合も多いからです。

例えば、「製品Aの売上が20%向上しました」というデータだけを提示すると、あまり聞き手の印象には残らないかもしれません。

その一方で、「製品Aの売り上げが20%向上しました。その結果、B社の営業利益は黒字に転換し、従業員の満足度も大きく向上しました」というように、感情にうったえて共感を呼ぶと、話の印象は大きく変わりますよね。

情報過多のこの時代、情報はただ「伝えること」以上に、「覚えてもらうこと」「その情報をもとに行動してもらうこと」が重要です。

伝えた情報を相手の記憶に定着させ、具体的な行動を促すためには、ストーリーテリングという「心に残る仕掛け」が必要なのです。

英語ライティングでのストーリーテリングのコツ

ストーリーテリングは、文字通り解釈すると「物語を伝える」という意味になりますが、英語ビジネスシーンにおけるストーリーテリングは、ただストーリーを語ればいいというわけではありません。

英語ライティングにおけるストーリーテリングを行う際は、まずは、文章の論理性を十分に確保する必要があります。

論理的な文章を書くコツは3つあります。1つ目は、ゴールを明確にし、常にそのゴールを軸に文章を進めていくことです。

2つ目ですが、1つの文の中では、伝えたいことを一つに絞りましょう。一文の中に複数のメッセージを組み込むことは避けましょう。

そして3つ目ですが、全体として、シンプルで明快な形で論理を展開していくのが重要です。

論理性を確保したら、論理だけでなく、感情に訴えかける要素を盛り込んでいきます。

以下の例を参考にしてください。

Three months ago, our sales team faced a challenge. Sales dropped by 15%, and customer satisfaction decreased as well. We decided to focus on personalized marketing. Within two months, we saw a 25% increase in sales and received positive feedback from 80% of our clients. This shows how small changes can create big results.

3ヶ月前、私たちの販売チームは難問に直面していました。売上が15%減少し、顧客の満足度も低下していたのです。顧客一人一人に合わせたマーケティング戦略に焦点を当てました。その結果、2ヶ月で売上が25%増加し、80%の顧客から「満足している」という回答を得ることができました。これは、小さな変化がいかに大きな結果を生み出すかを示しています。

データや事実を活用して信頼性を高める一方で、感情に働きかける要素を盛り込むことで、読み手の共感を誘うことができます。

論理的アプローチと感情的アプローチをバランスよく組み合わせた内容を心がけましょう。

英語ストーリーテリングの文章展開

ここでは、英語ライティングでストーリーテリングの手法を使う際の構成を紹介します。
基本の構成に加えて、日本式の「起承転結」を用いる方法も解説します。

英語ストーリーテリングの文章展開の基本

ここでは、英語ライティングにおいて読者をひきつける文章展開を紹介します。

基本的には、以下の順番を意識しましょう。

  1. 問題
  2. 解決
  3. 成果
  4. 結び

「何が問題だったか」「どう解決したか」「どんな成果が得られたか」「今後の展望」という順序でストーリーを進めると、論理的に納得感のある流れになります。

以下の例を参考にしてください。

まずは問題を提起します。

Six months ago, we faced a major challenge: our customer retention rate dropped by 20%, signaling a critical issue in client satisfaction. The situation was alarming, but it also presented an opportunity to re-evaluate and improve.

半年前、私たちは大きな問題に直面しました。顧客維持率が20%も低下し、顧客満足度に重大な問題が生じたのです。この状況は憂慮すべきものでしたが、同時に再評価と改善のチャンスでもありました。

次に、その問題に対してどのような解決策を講じたか説明しましょう。

We began by conducting in-depth interviews with 50 key clients, listening to their concerns. One common issue emerged: they needed faster support and personalized solutions. Based on this feedback, we implemented two key initiatives: AI-driven customer service for 24/7 support and a tailored solutions program for high-priority clients.

私たちはまず、50社の主要な顧客と密に面談を行い、それぞれの声に耳を傾けることから始めました。その結果、共通の課題として、より迅速なサポートとお客様一人ひとりに合った解決策が必要とされていることが明らかになりました。この調査結果に基づいて、私たちは2つの重要な取り組みを実施しました: それは、24時間365日対応のAIを活用したカスタマーサービスと、重要な顧客向けにカスタマイズされたお悩み相談システムです。

そして、その解決策の成果を提示しましょう。

The results were remarkable. Within three months, our customer retention rate improved by 25%, exceeding previous levels. Furthermore, client satisfaction scores increased from 68% to 85%, with 90% of surveyed clients reporting satisfaction with the new support system.

結果はめざましいものでした。3ヶ月以内に顧客維持率が25%向上し、以前の水準を上回ったのです。さらに、顧客満足度は68%から85%に向上し、調査対象となった顧客の90%が新しいサポート体制に満足していると回答しました。

さらにむすびの一言を添えると、読み手の印象に残りやすくなります。

This journey underscored the importance of staying close to our clients and adapting quickly to their needs. Moving forward, we aim to expand these initiatives across all regions and explore further personalization opportunities.

この経験を通じて、お客様に寄り添い、お客様のニーズに迅速に対応することの重要性が浮き彫りになりました。今後は、こうした取り組みを全エリアに拡大し、顧客サービスの可能性のさらなる追求を目指しています。

このように、英語ライティングにおけるストーリーテリングでは、「問題→解決→成果→結び」という構造で文章を展開していくのが基本です。

「起承転結」を使う場合

日本式の「起承転結」の流れを用いても、ビジネスシーンにおける英語ライティングで、効果的にストーリーテリングを行うことができます。

以下のような流れで話を進めましょう。

  • 起 (起点となる状況や背景)
  • 承 (課題の深掘りや具体化)
  • 転 (解決策や転換のアクション)
  • 結 (結果と学び、次のステップ)

これを踏まえて、「起承転結」の流れを用いたストーリーテリングの例を見ていきましょう。

まずは「起」で起点となる状況や背景を説明します。

Three months ago, our product’s market share was declining, dropping by 10% compared to the previous quarter. Customers reported dissatisfaction with delivery times.

3ヶ月前、私たちの製品の市場シェアは前四半期と比較して10%減少していました。顧客が配送時間の長さに不満を抱えているという報告もありました。

次に「承」で  課題を深掘り・具体化します。

Our analysis showed that outdated logistics systems were causing delays. Additionally, competitors had introduced faster delivery options, attracting our customers.

分析の結果、旧式の物流システムが遅延を引き起こしていることが分かりました。さらに、競合他社がより早い配送オプションを導入したため、顧客がそちらへ流出していました。

そして「転」で、問題の解決策として起こしたアクションや転換点を強調します。 

To address this, we upgraded our logistics system and partnered with a leading delivery service. These changes enabled us to reduce delivery times by 35%.

これに対処するため、私たちは物流システムを改良し、大手配送サービスと提携しました。これにより、配送時間を35%短縮することができました。

最後に「結」で、成果と学びや次のステップについて触れることで締めくくります。

As a result, customer satisfaction increased by 25%, and market share recovered to previous levels. Moving forward, we will focus on continuous system optimization to stay ahead.

その結果、顧客満足度は25%向上し、市場シェアは以前の水準まで回復しました。今後は、システムの継続的な最適化に注力して競争優位性を維持していきます。

このように、「起承転結」の流れを用いても、効果的に英語ライティングを行うことができます。

ただ、少し注意したいのは、日本式のストーリーテリングをそのまま適用すると、「転」が複雑で長くなりがちだということです。

英語ライティングでは、具体的なアクションや解決策である「転」の部分は、印象に残るように工夫しつつも、シンプルで明快な内容になるよう心がけましょう。

また、読者が論理展開についてこられるように、図やグラフなどを活用するのもおすすめです。

そして、英語ライティングでストーリーテリングの手法を取り入れる際は、あまり起承転結の流れにこだわらず、あくまで「問題→解決→成果→結び」の流れを意識するとよいでしょう。

英語ストーリーテリングのスキルを磨く方法

英語ビジネスシーンのライティングで、報告書やプレゼン資料作成の際に、ストーリーテリングの手法を取り入れることで、文書の内容が読み手の印象に残りやすくなります。

ストーリーテリングのスキルを磨く方法としては、英語学習を進めるのはもちろんですが、英語で書かれたレポート、プレゼン資料、メールを参考にするという方法があります。

特に実績のあるビジネスレポートやケーススタディは貴重な教材です。

導入部でどのように読者を話しに引き込んでいるか、問題提起や解決策・成果の提示方法が参考になります。

そして、英語ライティングにおいて上手にストーリーテリングできるようになるには、ビジネスレポートを英語で書く練習をして、第三者からのフィードバックを受けるのも非常に効果的です。

英会話スクールや英語コーチングサービスでは、ビジネス経験の豊富な講師が多数所属しているところもあるため、英語学習と並行して、そういった信頼のおけるプロに添削をお願いするのもよいでしょう。

まとめ

日本人の感覚で「報告書・プレゼン資料作成」というと、無味乾燥な形で数字やデータを並べがちですよね。
しかし、英語圏を中心とした海外では、論理的かつ説得力のある構成に加えて、感情や背景が重視されるケースも多いです。

そして、多くの情報が飛び交うグローバルなビジネスシーンでは、情報がより読者の心に残る仕掛けが必要なのです。

ストーリーテリングの手法を取り入れると、事実と感情が結びついてとらえられるので、伝えたい情報をより強く印象付けることができます。

確かなデータに裏打ちされた情報を、共感を呼ぶ表現と組み合わせることで、説得力も大きく増します。

単なる数字やデータを羅列するよりも、より深く読み手の心にメッセージが届き、次なる行動を促すことにもつながるのです。

グローバルなビジネスシーンで成功を手に入れるスキルの1つとして、英語を学習するだけでなく、ストーリーテリングのテクニックも磨いてはいかがでしょうか。

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ホール 奈穂子

株式会社ギャビーアカデミー代表取締役

元九州大学職員。TOEIC 990、IELTS 7.5(Speaking 8.0)を誇る、英語学習独学のスペシャリスト。27歳から英語を学び直し、自らの人生で英語習得がもたらす可能性を証明。米国赴任、留学プログラムや海外大学との共同学位取得プログラムの設計・運営に携わった経験から、日本人の英語学習における課題を深く理解し、効果的な学習方法を追求。その集大成として、東京大学と共同で、脳科学に基づいた独自の英語スピーキング習得メソッドを開発。現在カナダ・バンクーバーに在住。世界を舞台に活躍する日本人ビジネスパーソンの育成に情熱を燃やし、日本とバンクーバーを往復しながら精力的に活動中。趣味はカナダを舞台にしたサケ釣り。

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