初心者の方は、「英語でコミュニケーションをとろうとしても、いざとなると英語が口から出てこない……」と悩んでいる人が多いかと思います。
中級者の方は中級者の方で、「ネイティブに英語で話しかけたら、不機嫌な顔をされた……」と困っている人も多いかもしれませんね。
この記事では、英語でのコミュニケーションを苦手とする人に対して、実践的な解決法を提示しています。
英語そのものへの苦手意識克服にも役立つので、英語コミュニケーションががうまくいかなくて悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
日本人が英語コミュニケーションを苦手とする理由5選
それぞれ詳しく見ていきましょう。
そもそも日本人にとって英語は難しい言語だから
アメリカ国務省の外交官養成局(Foreign Service Institute、FSI)によると、英語話者がスペイン語やフランス語を習得するのにかかる学習時間は600時間から750時間とされています。
その一方で、英語話者が日本語を学ぶのに必要とされる時間は2200時間。世界でもトップクラスに難しい言語としてランク付けされているのです。
英語話者にとって日本語の習得がとても難しいということは、日本人にとっても英語の習得は、とても難しいのかもしれません。
実際、第二言語習得論でも、日本語と英語は「遠い」言語と言われています。
例えば、日本語と英語では「音」のシステムが大きく異なります。
英語は日本語に比べて圧倒的に音が多く、「L」と「R」、「B」と「V」など、日本語にない音も区別する必要があります。
さらに英語では、日本語にないリズムやストレス(強勢)が大きく意味を左右します。
このように、日本語と英語が「遠い」言語であるため、日本人にとって英語習得はそもそも難しいのです。
学校教育が適切に行われていないから
日本の英語教育では、文法学習とリーディング、そして試験対策に重点を置いています。
そのため、実際に英語を使ってコミュニケーションの練習をする機会が少なく、スピーキングに慣れていない日本人が多いのです。
さらに、学校の英語の授業では、英文の和訳を求めることが多いですよね。
そうすると、英語を理解する時にどうしても「一旦和訳する」クセがついてしまいます。
しかし、英語でのコミュニケーションにおいて、「一旦和訳する」クセは、どうしてもスピード感を損なってしまい、英会話についていけなくなる原因になります。
間違えることを極端に恐れるから
学校教育の場で、間違えると「✕」がつけられ、テストの点数がマイナスされるという経験を積み重ねたことも影響しているでしょう。
そしてそもそも日本文化では「恥(はじ)」を極端にきらう性質があります。
そのため、英語コミュニケーションを行おうとする場合、「間違えたらどうしよう」「恥ずかしい」とプレッシャーを感じてしまう日本人が多く、心理的にブレーキがかかってしまうのです。
英語コミュニケーションを実践する機会が少ないから
日本で暮らすにあたって、英語が必須になる機会は、あまり多くないですよね。
つまり、英語を学んだとしても、日本国内では、実際に英語を使える場が少ないのです。
実践的に練習する機会が得られないと、英会話を学んだとしても、定着しにくくなり、英語コミュニケーション能力を磨くのは難しくなってしまいます。
英語圏と日本とでは文化が違うから
それは、英語圏と日本の文化の違いが関係している可能性があります。
例えば、日本の文化では、間接的で控えめなコミュニケーションが好まれますが、英語圏では直接的ではっきりした言い方が好まれる傾向にあります。
そのため、日本人が相手を気遣って遠回しな言い方を選ぶと、伝えたいことがうまく伝わらず、コミュニケーションが円滑に進まないケースがあるのです。
英語コミュニケーションへの苦手意識を克服するコツ5つ
まず、英語自体に苦手意識のある初心者の方は、勉強以外の方法で英語に触れるのがおすすめです。
英語でのスピーキングに苦手意識を感じている方は、まずは基礎的な文法や発音をおさえられているか確認しましょう。
その上で、英語でのアウトプットを練習できる場を設けるのがおすすめです。
そして、英語でのスピーキングはできるけれど、英語でのコミュニケーションがうまくいかないという方は、異文化について知識をインプットしておくことをおすすめします。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
勉強以外の方法で英語に触れる
「英語学習」といっても、別に机の前で英語のテキストを開くのが英語学習のすべてではありません。
洋楽が好きな方なら、まずは歌詞カードを見ながら楽曲を視聴したり、好きなアーティストのSNSを閲覧したりするのがおすすめです。
海外ドラマや洋画が好きな方なら、まずは日本語字幕つきで視聴し、内容を把握したら英語字幕に切り替え、慣れてきたら字幕なしで視聴するという方法もあります。
ネイティブ独特の表現や言い回し、発音など「活きた英語」に触れられるので、実は英語コミュニケーション力アップだけでなく、英語自体への苦手意識克服にも効果的です。
基礎的な単語・文法をしっかり学ぶ
例えば5文型(SV・SVC・SVO・SVOO・SVOC)の知識は、英語の文の構造を理解する上でとても重要です。
英語の単語・文法をしっかり身につけると、英語力への苦手意識克服つながり、「間違えたらどうしよう」「恥ずかしい」という気持ちも和らぎます。
英語の基本知識を学び直すことは、英語の基礎体力をつけるだけでなく、英語力に対する自信が生まれるという意味で、とても大切です。
英語の正しい発音を身につける
発音がネックになって英語が通じない方も多いかと思いますし、発音にコンプレックスを抱いていて、英語でのコミュニケーションに後ろ向きになっている方も多いでしょう。
逆に、英語の正しい発音を身につけると、英語自体への苦手意識を克服することができ、「間違ったらどうしよう」「恥ずかしい」という気持ちを和らげることができます。
英語の正しい発音を身につける場合、まず英語の個々の音を学ぶ必要があります。
例えば英語には、「hat /hæt/(帽子)」と「hut /hʌt/(小屋)」のように、日本語では同じ「ア」なのに、意味の違いを生じてしまう音があります。
さらに、英語には英語独特の「音声変化」のルールがあります。
以下の文を見てください。
I drink a cup of coffee.
こういった文では、「drink」の語末の「k」とそれに続く「a」、そして「cup」の「p」と「of」の「o」はくっついて発音されます。
この現象をリンキング(連結)といいます。
音声変化には、ほかにも脱落、同化、弱形、ら行化といった現象があり、これらの現象を理解しないと、正しい英語の発音を身につけるのは難しくなります。
いかがでしょうか。発音は、文法や単語に比べると、重要度が低いと思っていませんでしたか?
実は、英語の正しい発音は、真っ先に学ぶ必要があるほど、とても重要な項目です。
英語の発音をあまり学んでこなかったという方は、発音を重視してみてください。
英語でのコミュニケーションを練習できる場を設ける
言語交換アプリなどで英語話者の友人を見つけるのもよいですし、オンライン英会話などを利用するのもよいでしょう。
ただ、相手がプロではない場合、コミュニケーションがうまく成り立たない可能性もあります。
こちらが何か文法を間違ったり、不自然な表現を使ったりしても、スルーされてしまうことがほとんどでしょう。
できれば、英語の先生として訓練を積んだ人を相手に英会話の練習をして、適切なフィードバックをもらいながら安心して英会話を練習したいものです。
ただオンライン英会話だと、必ずしも訓練を積んだ先生が相手とは限りませんし、先生からもらえるアドバイスが限定的になってしまいます。
この記事でおすすめしたいのは、英語コーチングサービスの利用です。
バンクーバー発の英語コーチングサービス「ギャビーアカデミー」なら、国際的な英語教授資格を持ったネイティブコーチと、たっぷり英会話の練習をすることができます。
ギャビーのネイティブコーチたちは、講師としての経験も豊富な人材ばかりなので、会話中のフィードバックも充実しています。
英語でのコミュニケーションをアップさせたい方は、公式ホームページをのぞいてみてはいかがでしょうか。
異文化を理解しようと努める
実は、英語でのコミュニケーション力とは、単にスピーキング力だけを指すのではありません。
英語力を武器に活躍する「グローバル人材」には、異文化コミュニケーション能力、つまり自国と異なる文化への深い理解が不可欠です。
そのため、英語でうまくコミュニケーションをとるには、英語圏の文化の知識をインプットしておくのが効果的です。
例えば日本では、肯定する時も否定する時も、やんわりとした言い方が好まれますよね。
しかし、英語圏で遠回しな言い方を多用すると、自分の言いたいことがうまく伝わらなかったり、誤解を生んだりする可能性があります。
英語でコミュニケーションを行う場合、「Thank you, but I’m not interested.」のように、丁寧な言い方をしつつもはっきりと肯定・否定を伝えるのが効果的です。
また、英語でのコミュニケーションでは、よほど親しい間柄でない限り、プライベートな話題に踏み込むのはおすすめできません。
日本でよくあるように「Are you married?(ご結婚は?)」「Do you have any children?(お子さんは?)」などと気軽に聞くと、相手の気分を害してしまう恐れがあります。
さらに、相手がインドや中国などを出身とするノンネイティブスピーカーである場合、それぞれ国の文化をある程度把握しておく必要が生まれてきます。
「異文化をすべて理解するのは難しいよ……」と感じられましたか?
異文化を理解していくのは少しずつで大丈夫です。相手も日本文化に詳しくないことがほとんどですから。
ただ、自分と相手の文化は「違う」と意識することから始めてみてください。
英語でのコミュニケーションに役立つフレーズ集
まず、英語があまり得意でないことを伝えるには、以下のようなフレーズを使います。
My English isn’t very good, but I’ll try my best.
英語があまり得意ではありませんが、頑張ります。
I’m still learning English, so please be patient.
英語を勉強中なので、ゆっくりお願いします。
シンプルに「I don’t speak English very well.(あまり英語が得意ではありません)」と伝えるのもよいのですが、「…but I want to try.(それでも頑張ります)」というように、「それでもあなたとコミュニケーションをとりたい」という気持ちを添えるのがおすすめです。
また、相手の言うことを聞き取れなかった場合は、スルーせず必ず聞き返しましょう。
その場で聞き取れなかったことより、言われた内容を把握していなかったことが発覚した時の方が大きく問題視されます。
以下のような表現が使えます。
Could you repeat that, please?
もう一度繰り返してもらえますか?
I’m sorry, I didn’t catch that.
すみません、聞き取れませんでした。
言い直してもらっても聞き取れなかった場合は、何度でも聞き返しましょう。
以下のような表現が使えます。
Could you speak a bit more slowly, please?
もう少しゆっくり話してもらえますか?
Could you use simpler words?
もう少し簡単な言葉で言っていただけますか?
I’m sorry, my English is not very good. Could you say that again?
すみません、英語があまり得意ではないので、もう一度言ってもらえますか?
そして最後に、「あなたと話せて楽しかった」という気持ちを伝えると、のちの関係につなげることができます。
以下のようなフレーズが使えます。
I enjoyed talking with you.
あなたと話せて楽しかったです。
Talking with you was a lot of fun.
あなたと話すのはとても楽しかったです。
It was a pleasure talking with you.
あなたとお話しできて光栄でした。
英語が得意でなくても、「あなたと話したい」「よい関係を築きたい」という気持ちを伝えることで、英語でのコミュニケーションを円滑に進めることができます。
まとめ
英語コミュニケーションへの苦手意識は、これらの要素が複合的に影響しあっているせいだといえます。
高校・大学を卒業した社会人の方ができることは、まず、英語の文法・単語、そして正しい発音を身につけることです。
これは、英語力自体を底上げするだけでなく、英語への自信を生み、英語自体への苦手意識克服にもつながります。
そして、実践的にスピーキングを練習できる場を設けることで、スピーキング力がアップし、英語コミュニケーション力を磨くことができます。
最後に、英語コミュニケーション能力=英語のスピーキング能力とは必ずしも言えません。
英語でのコミュニケーション能力をアップさせるには、異文化理解力も必要です。