研究現場では、実験手順や観察結果を正確に伝える力が求められます。
そして論文執筆や国際共同研究が当たり前になった今、実験に関する情報を英語で説明するスキルや、言われたことを理解するスキルは、研究者にとって欠かせないものとなっています。
とはいえ、「英語が苦手で、実験手順をどう表現すればいいのかわからない……」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、大学院や研究施設に所属する方向けに、実験前の準備から、実験中のやりとり、そして実験後の相談や後片付けまで、研究現場でよく使われる英語表現をシーン別にご紹介します。
分かりにくい単語・表現も解説もしているので、ぜひ参考にしてください。
【実験前】準備・確認に使える英語フレーズ
まず、実験を始める前に、準備や確認が必要ですよね。
まずは、実験の準備に使える英語表現を紹介します。
まずすべての試薬を準備しましょう。
始める前に、すべてのサンプルにラベルを貼りましょう。
使用前に必ずすべてのガラス器具を洗浄してください。
「label」は「ラベル」という意味の名詞でもありますが、「ラベルを貼る」ことを一言で表すこともできるので、ぜひ覚えておきましょう。
次に、実験の手順について事前に確認する表現です。
手順は覚えていますか?
バッファー(緩衝液)の準備は済んでいますか?
始める準備はできましたか?
準備はいいですか?
「手順」と言いたい時は、「pricedure」を使うことも多いかと思いますが、「protocol」は再現性のある科学実験の時によく使われる単語なので、ぜひ覚えておきましょう。
【実験中】実験手順の説明・指示などに使える英語フレーズ
それでは、実際に実験を行う時、手順を説明したり、指示を出したりする英語表現を見ていきましょう。
また、場合によっては、注意喚起をすることもありますよね。
そして、実験中に自然なコミュニケーションをとる時の例文も紹介します。
相手に作業をお願いする時
相手に作業をお願いする時は、以下のような英語表現が使えます。
これをゆっくりかき混ぜてもらえる?
このサンプルを遠心してください。
各ウェルに10マイクロリットルずつピペットしてくれる?
終わったら教えてね。
注意・アドバイスを伝えるとき
実験中は、大小さまざまな危険を伴ったり、ちょっとした行動がミスを招いたりすることがありますよね。
そこで、注意喚起をする時は、以下のような表現が使えます。
中に触れないように気をつけて。
キャップがしっかり閉まっているか確認して。
ボルテックスするのを忘れないでね。
室温になるまで待ってね。
「stir(かき混ぜる)」「spin(遠心する)」「centrifuge(遠心する)」「incubate(インキュベートする)」など、特に動詞の使い方に慣れると、スムーズに説明できるようになるでしょう。
文は短く端的なものにし、命令形や依頼形(Can you / Please / Could you)を使うのがおすすめです。
一緒に作業するときの自然なやりとり
最後に、一緒に実験作業を行う時に、コミュニケーションをスムーズに行うための表現を紹介します。
一緒にこのステップをやろう。
この部分は私がやるね。
次のステップに進んでいいよ。
もうすぐ終わるよ。
そして、最後に一緒に実験を行ってくれた同僚に、感謝の気持ちを伝えるのを忘れないようにしましょう。
今日は手伝ってくれてありがとう!
本当に助かりました。ありがとう。
感謝を伝える時は、「Thank you」や「Thanks」を使って問題ありませんが、少しフォーマルに「appreciate(感謝する)」を使うのもおすすめです。
ほかにも、以下のような「気づかい」の表現を覚えておいてはいかがでしょうか。
お手伝いが必要なら声をかけてくださいね。
お手伝いしましょうか?
そちらは大丈夫ですか?
【実験中】観察結果を共有する英語フレーズ
実験中には、色や温度、状態の変化をはじめとして、気づいたことを共有することも重要ですよね。
以下のような英語表現が使えます。
溶液が黄色くなってきていますね。
表面に気泡ができていますね。
想定より反応が遅いですね。
試薬Cを加えたら溶液が白濁しましたね。
目に見える変化は観察されませんでした。
「白濁する」と言いたい時は、「空がくもっている」と同じ「cloudy」を使うことができるので、覚えておきましょう。
【実験後】結果報告・相談で使える英語フレーズ
実験後には、簡単な結果報告や相談を行いますよね。実験の結果を報告する時には、以下のような英語表現が使えます。
反応は期待通りに進みました。
結果は予想と少し違っていました。
測定に少し誤差がありました。
実験中に特に異常はありませんでした。
また、実験後に簡単な相談をする場合は、以下のような英語表現が使えます。
一緒に結果を確認してもいいですか?
時間がある時にデータを確認してもらえますか?
この結果で問題ないと思いますか?
もう一度実験したほうがいいでしょうか?
【実験後】後片付けの時に使えるフレーズ
実験後は、協力してきちんと後片付けすることも重要ですよね。特に廃棄物の処理関連の話は、適切にコミュニケーションをとる必要があります。
以下の例文を参考にしてください。
作業台を片付けましょう。
ヒーターの電源を切るのを忘れないでください。
ガラス器具を洗うのを手伝ってくれますか?
すべて終わりました。サンプルにラベルを付けて保管しましょう。
「bench」は公園のベンチなど、「椅子」という意味以外に、「作業台」を指すこともできるので覚えておきましょう。
「処理する」「処分する」は「dispose of~」「discard」を使います。また、カジュアルに「throw away〜」を使うこともできます。
廃棄物は適切に処理する必要があります。
使用済みのチップを廃棄するのを忘れないでね。
これを廃棄してくれる?
研究現場で英語を使いこなすためのコツ
これまで、研究の実験現場で使える英語表現を紹介してきましたが、実際の現場で英会話フレーズを使いこなすのはなかなか難しいですよね。
実践で場数を踏むのが一番の上達方法なのですが、実践に入る前にできる準備もあります。
まずは、この記事の文をテンプレートとして、実際に使いそうな英会話フレーズを作って、丸暗記してしまいましょう。
まずはご自身の専門分野に応じて、普段使いそうな単語の英訳を検索してみてください。
個々の単語だけではなく、専門分野ごとに使う単語の一覧が掲載されているサイトを見つけられるとよいですね。
英文を作ったら、目で見て覚えたり、書き出して覚えるより、何度も声に出して練習するのがおすすめです。
フレーズを覚えたら、もし可能なら英語話者に壁打ち相手になってもらって、ロールプレイ形式で練習すると、実際の現場でも英語が口から出てきやすくなります。
まとめ
この記事では、実験手順の説明を中心に、実験の準備から後片付けまで、研究現場でよく使われる英語表現を紹介しました。
実験中に英語表現を使いこなすのは難しく感じられるかもしれませんが、数多くの文を一度に覚える必要はありません。
たとえば「Can you pass me the pipette?(ピペットとってくれる?)」「Here you go.(はい、どうぞ)」といったシンプルな表現をいくつか覚えて、実際に使ってみてください。。
毎日の研究の中で、少しずつ英語を口に出していくことが、英語力につながりますし、自信もつきます。
国際的・学際的な研究の場で活躍するためにも、ぜひ英語のスキルアップを目指してみてください。
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ホール 奈穂子
株式会社ギャビーアカデミー代表取締役
元九州大学職員。TOEIC 990、IELTS 7.5(Speaking 8.0)を誇る、英語学習独学のスペシャリスト。27歳から英語を学び直し、自らの人生で英語習得がもたらす可能性を証明。米国赴任、留学プログラムや海外大学との共同学位取得プログラムの設計・運営に携わった経験から、日本人の英語学習における課題を深く理解し、効果的な学習方法を追求。その集大成として、東京大学と共同で、脳科学に基づいた独自の英語スピーキング習得メソッドを開発。現在カナダ・バンクーバーに在住。世界を舞台に活躍する日本人ビジネスパーソンの育成に情熱を燃やし、日本とバンクーバーを往復しながら精力的に活動中。趣味はカナダを舞台にしたサケ釣り。