また、英語をしっかり勉強して海外に行った日本人が、発音の問題で全然英語が通じず苦労したという体験談も多く聞きます。
この記事では、日本人の英語が通じない理由を発音の面から解説し、改善方法について解説します。
日本人が発音できていない英語音とは
母音編
日本語には母音が「あ・い・う・え・お」の5つしかありませんが、英語の母音は大きく分けても15個もあります。
中には、bag [bǽg] (カバン)とbug [bʌ́g](虫)のように、意味の違いに影響する母音のペアもあるので、正確に発音できるようにしておく必要があります。
子音編
子音についても、日本語より英語の方が多く、日本語の子音は13個であるのに対し、英語の子音は24個もあります。
日本人が特に「L」と「R」の区別を苦手としていることは有名ですが、それ以外にも「base(基本)」の「B」と「vase(花瓶)」の「V」など、意味の違いに直結する子音のペアがあります。
また、日本語にない「th」の音も、正しく発音できるようにしておく必要があります。
日本人の英語発音のクセ
胸式呼吸で話してしまっている
日本語では主に胸式呼吸(胸をふくらませる呼吸)を使いますが、英語では腹式呼吸(お腹をふくらませる呼吸)を使います。
英語は「息」の言語なので、腹式呼吸でお腹から息を押し出し、その息を唇・歯や・舌・上あごを使って調節します。
胸式呼吸のままで英語を話すと、そもそも「声が小さくて聞き取りづらい」と思われてしまうようです。
英語を話す際は、まずはゆっくり大きな声で話すよう心がけましょう
子音の後に母音を入れてしまう
日本語では、単語は母音で終わるものがほとんどです。しかし、英単語には子音で終わるものが多くあります。
先ほど挙げた「bag(カバン)」という単語を日本人が発音する場合、カタカナの要領で「baggu」と語尾に「ウ」を付けて発音しがちです。しかし、語尾に存在しない「ウ」を付けて発音されると、英語話者は混乱します。
英単語をカタカナでとらえるのではなく、母音と子音を一つ一つ正確に発音することが重要です。
単語を区切って話してしまう
上で述べたように、日本語の場合、単語は母音で終わるものがほとんどですが、英単語には子音で終わるものが多くあります。
そして文の中で、ある単語が子音で終わり、その次の単語が母音で始まると、2つの音がくっついて発音されます。
例えば、
Look at this picture.
という文で、日本人は「ルック・アット……」と発音しがちですが、実際にはLookの語尾の「k」と「at」の語頭の「a」がくっついて、「ルッカッ……」というような発音になります。
この現象はリンキング(連結)といい、日本語では見られない現象なので、日本人には難しく感じられるかもしれません。
しかし、リンキングを正しく発音できるようになるのが、英語の発音習得の第一歩ともいえます。
日本人の英語発音のクセ
アクセント
アクセントとは、英単語の中の特定の音節を強く発音することです。
音節とは、母音を中心とした音のひとかたまりのことで、英語は音を音節単位で数えます。
例えば、「intonation(イントネーション)」という単語の音は、「in・to・na・tion」と4つの音節に分けられます。
そして、アクセントは最後から2番目の「na」におかれ、[ìntənéiʃən](イントネイション)のように発音されます。
単語によっては、アクセントの位置の違いで意味が変わったりもするため、正しいアクセントは「聞き取りやすい」発音をする上で非常に重要なのです。
リズム
英語では、文単位でも強く読む単語と弱く読む単語が出てきます。
一般に動詞や名詞などの内容語は強くゆっくり読み、前置詞などの機能語は弱く素早く読む傾向があります。
例えば、次のような文を参照してください。
This is the man that I wanted to meet. (この人こそ私が会いたかった男性です)
この文では、This・man・wanted・meetは強くゆっくり読み、その他の単語は弱く素早く読む必要があります。
日本人はすべての単語を均等な速さと大きさで発音しがちですが、正しいリズムで話すと、より「聞き取りやすい」英語につながります。
イントネーション
イントネーション(抑揚)は、言葉を話す時の声の高さの動きのことです。英語では、イントネーションを変えることで、同じ単語・文章でも、意味が大きく変化します。
例えば、「You eat it.」という文は、基本的には「あなたがそれを食べるんだね」という軽い確認の意味になります。
しかし、
YOU eat it?
と「You」を強く発音すると、「あなたがそれを食べるの!?(私の分のはずでしょ!)」と咎めるようなニュアンスになります。
一方で、
You EAT it?
と「eat」を強く発音すると、「そんなもの食べるの!?(気持ち悪い!)」と、食べること自体に疑問を投げかけるようなニュアンスになります。
日本語と違って、英語は、 正しいイントネーションで発音しないと、聞き手にとって意味がとらえづらくなります。
分かりやすい発音をするためには、イントネーションにも心を配る必要があります。
英語の発音を改善するには?
英語の発音を改善する方法は、いろいろ考えられます。アプリや動画などを利用して、発声練習をひたすら繰り返すのも一つの方法でしょう。
しかし、一人で発音を練習していても、本当に自分の発音が正しいかどうか、確認することは難しいです。
オンライン英会話などで英語話者にフィードバックをもらうことは可能ですが、発音について「どこがどう間違っているか」正しくフィードバックを行える英語講師は、今のところあまり多くありません。
そこで、おすすめなのが、英語コーチングサービスの利用です。英語コーチなら、コーチ自身が正しく英語を発音することができますし、正しい発音について理論的に言語化して教えてくれるので、効果的に発音を習得することができます。
大人が英語の発音を学ぶ一番の近道は、言語化して理屈で覚えることです。
英語コーチングを受けることも、一つの手段として考慮に入れてみてください。
おわりに
英語の発音というと、母音や子音を正しく発音できればいいと思いがちですが、実は正しいアクセントやリズム・イントネーションで話すことも非常に大切です。
しかし、母音と子音の発音だけでなく、リズムなどを独学で学ぶのは非常に難しいでしょう。
正しい発音を学ぶには、自身が英語を発音できて、さらに、英語の発音について言語化して説明できる講師のサポートが必要です。
そのためには、英語コーチングの受講が最適といえます。
英語の学習を頑張ってきたのに、発音がネックになって英会話ができないのは非常にもったいないことです。
そして、英語の発音は正しくトレーニングすれば誰でも必ず習得できます。
これまで積み上げてきた英語学習経験は立派な財産です。その財産を実際に使えるようにするためにも、英語を正しく発音できるようトレーニングすることをおすすめします。