「カナダ留学のメリットデメリットは?」
このように、近年人気のカナダ留学に興味がある方は多いのではないでしょうか?
JAOSの調査では、カナダは2022年度日本人留学生の渡航先として1番人気という結果が出ています。
主な理由は、ビザの種類が豊富で、自分の目的にあった留学プランを立てやすいことがあるでしょう。実際に私の周りの留学生も、それぞれの目的やキャリアプランに合わせて異なるビザを活用しています。
また、カナダは移民大国として知られており、異なる文化の人々が同じ国で暮らしています。多様な文化を尊重する風土があるので、留学生が現地になじみやすい環境です。
しかし、「カナダ留学が本当に自分に合うか不安」「他の国の方がいい?」と、迷ってしまう方も多いかもしれません。
今回は、実際にカナダ留学生として現地で暮らす私が、カナダ留学の特徴を解説していきます。
引用:2022 JAOS留学生統計調査
カナダってどんな国?特徴は?
●公用語が英語とフランス語
●多様な文化が共存している
●気候は地域によって違う
カナダは自然が豊かで広大な土地をもつ国で、「ロッキー山脈・ナイアガラの滝」など有名な自然の観光地として聞いたことがあるでしょう。
移民の多いカナダですが、特にバンクーバーは各国からの移民が多いので、世界中の美味しい料理が食べられる場所としても有名です。
また、カナダは、世界でロシアの次に2番目に広大な国土をもち、日本の「約25倍」の大きさです。国土の高い割合を占めるのが自然で、国土の約30%は森林地帯、7%は湖沼となっています。
カナダの国の特徴を、それぞれ詳しくみていきましょう。
公用語は英語とフランス語
ケベック州・オンタリオ州では、英語よりもフランス語を聞く機会が多いですが、私が住むバンクーバーでフランス語を聞くことはほとんどありません。
地域によって、英語とフランス語を使う人の割合が異なるので、どのエリアに留学するべきか先に調べておきましょう。
多様な文化が共存している
カナダは国外からの移民が多く、様々な国の文化が共存しながら成り立っている国です。カナダ人と話していても、「両親は別の国からカナダに移住した」という話をよく聞きます。
引用:Immigration – Canada at a Glance, 2022
気候は地域によって違う
中南部エリアのトロント・モントリオールは四季がはっきりしていて、夏は暑く、冬はかなり寒いのが特長です。
冬の平均気温が「−5〜10度」と寒さが厳しくなるトロントに対し、太平洋沿岸エリアにあるバンクーバーは「0〜2度」で、比較的過ごしやすい気候となります。
カナダ留学のメリット3つ
●英語の発音が聞き取りやすい
●異文化に触れて視野が広がる
●自然が美しく治安がいい
私はカナダで実際に暮らしてみて、留学生にとって優しい国だと思いました。カナダ人は他の国からきた人にもフレンドリーで、とても親しみやすいです。
例えば、次の人のためにドアを開けて待っていてくれるというカナダの文化は、よく知られています。私自身も、カナダで過ごしていて日常的にこの光景を見かけます。
カナダ留学の3つのメリットを、それぞれみてきましょう。
メリット①:英語の発音が聞き取りやすい
例えば、オーストラリア・イギリスなどの国は独特なアクセントがあり、英語初心者が聞き取るには少し難易度が高くなります。英語ネイティブのカナダ人でさえ、他国の強いアクセントの英語は聞き取れないことがあるほどです。
また、他国からの移民の人と話す機会もあり、いろいろな英語アクセントに触れることもできます。
メリット②:異文化に触れて視野が広がる
私が働いていた職場では、「英語ネイティブでありながら第二言語を話せる人」が全体の半数で、出身国・生まれ育った地域も様々でした。
世界中の人と話す機会があるカナダに来ることで、日本だけで固まっていた視野を一気に広げることができるでしょう。
メリット③:自然が美しく治安がいい
私が住むバンクーバーでは、ビルが栄える都市部から約10分歩いただけで、海と山が見えるビーチがあります。休みの日は、車で30分程でいけるハイキングスポットに行けたりと、都会と自然が隣り合わせになっている国です。
また、北米の中では比較的治安が良い国で、アメリカと違って銃規制もされています。海外に慣れていない日本人にとって、比較的安心して過ごせる国といえるでしょう。
カナダ留学のデメリット
●比較的日本人が多い
●気候が合わない人がいる
●全ての物価が高い
上記のようなデメリットの中でも、私が最も苦労したのは滞在費・生活費など「物価の高さ」です。
日本では、社会人になってからアパートを借りて1人暮らしをすることは普通ですが、カナダではそれが難しいです。カナダのアパートの家賃は月およそ「1,600〜2,000$」はします。
最低賃金は日本よりも高いカナダですが、それをふまえても物価が高すぎるというのが正直な感想です。
それぞれのデメリットを、詳しくみていきましょう。
デメリット①:比較的日本人が多い
私の周りでも、英語を伸ばしたくて留学にきたのに日本人同士で固まってしまい、「英語を話す機会が少ない」と悩んでいる人をよく見かけます。日本人が多い中でも、自分で英語環境を作る意思が必要です。
しかし、日本人同士で助け合えるメリットもあるので、自分で英語環境を作ることさえできれば、日本人がいることはプラスに働くでしょう。
デメリット③:全ての物価が高い
特に家賃に関しては、カナダ人もシェアハウスで暮らしているほど、アパートや一軒家の値段が上がっています。留学生が利用するシェアハウス・ホームステイでさえ、相場は月8〜10万円ほどです。
私の経験上、スーパーなどの食料品も日本の「約1.5〜2倍」の値段が多いです。外食の場合もチップ文化があるので、合計金額に「約10〜15%」上乗せした額になります。
留学前に資金を貯めておく、もしくはカナダで働けるビザを使って渡航後に金銭面のカバーをするなど、事前の計画をしておきましょう。
カナダ留学の方法
1.語学留学
2.ワーキングホリデー留学
3.co-op(コープ)留学
4.大学・公立カレッジ留学
英語力を上げたい、海外で働きたいなど、その人が現地で何をしたいかによって、選ぶべき留学方法は変わってきます。
また、留学プランを決めるときに大切なのがビザの種類です。主に留学生が利用するビザには、下記の「観光ビザ・学生ビザ・就労ビザ」の3つがあります。
●観光ビザ(Visitor VISA):6ヶ月以下の語学学校、一部専門プログラム
●学生ビザ(Study Permit) :6ヶ月以上の語学学校、カレッジなど
●就労ビザ(Work Premit):一定期間働くためのビザ
ビザの種類に関わらず、カナダに入国する外国人は「eTA」と呼ばれる申請も必要になります。
ビザに関しては複雑な部分もあり、間違えると渡航できない・入国できない可能性もあります。トラブルを避けるためにも、留学エージェントを利用すると安心です。
それぞれの、留学方法について詳しくみていきましょう
語学留学
語学学校に通って、自分の上げたい英語スキル(スピーキング・試験対策など)に特化したクラスを受講することができます。
6ヶ月以下の語学留学の場合は「観光ビザ」でカナダに滞在するので、ビザ申請費用も必要ありません。
ワーキングホリデー留学
期間は国によって異なりますが、カナダのワーホリ期間は「1年間」です。私がカナダ留学に使ったのもワーホリで、現地で1年間働いて英語力を伸ばすことができました。
最長6ヶ月間は語学学校に通うこともできるので、ワーホリ前半は語学学校、後半はフルタイムで仕事など、自由に留学プランを組むことができます。
また、2013年に「セカンドワーキングホリデー(ROワーキングホリデー)」制度が導入され、一度カナダのワーキングホリデー制度を利用したことのある人々にも、再度カナダでワーキングホリデーを行う機会が与えられるようになりました。この制度の導入により、カナダでの経験を積んだり、さらに長期滞在したいと考える人々にとって、より柔軟なオプションが提供されるようになりました。
セカンドワーキングホリデー制度は、カナダと参加国との間で相互に合意された条件のもと、特定の年齢層の若者に対して提供される制度です。
co-op(コープ)留学
主に私立のカレッジなどで専門職業分野を重視した学業に取り組みながら、コープと呼ばれるインターンシップ期間がついたプログラムのことを指します。
例えば、「マーケティング・ITプログラミング」のコースがあり、座学期間が終わると有給インターンとして関連した職業で働けるという流れです。
年齢制限もないので、20〜30代以降からキャリアアップのための留学にチャレンジしたい方にも人気となっています。
公立カレッジにもコーププログラムはありますが、公立カレッジのco-opは専門分野特化ではなく、幅広いキャリアの選択肢を提供していることが特徴です。
大学・公立カレッジ留学
まず、カレッジは大きく下記の2種類に分かれます。
●就職目的のためのスキル習得タイプ
●大学編入目的のアカデミックタイプ
カナダの4年生大学に編入するためにカレッジを活用する人や、カナダ就職のためにカレッジで専門分野を学ぶ人もいます。
また、2年間以上のカナダの公立の大学・カレッジを卒業すると、ポストグラデュエートワークパーミット(Post-Graduate Work Permit)と呼ばれる、現地で働ける3年間の就労ビザの申請ができるのも大きなメリットです。(※一部私立カレッジのプログラムもポスグラの対象)
カナダ留学の費用
主な費用の内訳は、下記の通りです。
●渡航費
●学費
●滞在費
●食費
カナダ留学の費用は、「学費」によって大きく左右されます。例として、ワーホリで学校に通わない留学プランにすると、トータルでは1番費用を抑えることができるでしょう。
私がカナダ留学で実際に払った費用、エージェントや学校の方に教えてもらった内容をふまえながら、相場の金額を紹介していきます。
渡航費
下記が、渡航費の例です。
●フライト代 20万円(往復直行便・シーズにで変動アリ)
●ビザ申請代 2〜3万円
●健康保険代 10〜15万円
どの時期に渡航するかでフライト代は変わりますが、私が夏にカナダ渡航した時は、片道直行便で「約20万円」でした。健康保険は、最低月1万円はかかると見積もっておくと良いでしょう。
学費
下記が、学校ごとの費用の一例です。
●語学学校 1ヶ月15〜20万円
●コーププログラム 1年間100〜150万円
●公立カレッジ 1年間160〜250万円
●大学 1年間250〜350万円
語学学校・コーププログラムに比べて、公立カレッジ・大学進学になると学費が一気に高くなります。実際に私がコーププログラムの見積もりを学校に出してもらった時は、1年間で150万円ほどでした。
学校でどのプログラムを受講するかによっても、学費は大きく変わります。
滞在費
渡航してすぐホームステイ数ヶ月、その後自分でシェアハウスを見つけて引越しという流れが多いです。
私が2019年にカナダでホームステイしていたときの費用は、3食付きで1ヶ月「約12万円」、2022年にシェアハウスを利用したときは、1ヶ月「7万円」でした。
ホームステイの方がシェアハウスよりも費用は高くなる傾向がありますが、基本的に食事や掃除の心配がいりません。
シェアハウスは自由度が高いですが、他人同士が暮らす環境になるので、キッチンや水回りなどの共用部でストレスを感じることも多いようです。
食費
カナダの外食は日本に比べて2〜3倍の金額になるので、自炊をすることで食費の節約ができます。
たとえば、バンクーバーでラーメン一杯を頼むと約1500円、さらにチップを払うので合計2000円ほどの出費になります。オシャレなバー・レストランになると、おつまみレベルのメニューでも1200円ほどです。
スーパーでの買い物は、値段は日本より高く感じますが量も多いので、冷凍して上手く活用している留学生が私の周りには多いです。
カナダ留学の都市選びのポイント
●バンクーバー
●トロント
●モントリオール
●カルガリー
●オタワ
カナダは国土が大きい分、どの地域に留学すべきか迷ってしまうでしょう。
主要な都市としては、「バンクーバー・トロント」が留学先として最も人気ですが、他の都市も違った街の雰囲気を楽しめます。
それぞれの都市の特徴を、詳しくみていきましょう。
バンクーバー(ブリティッシュコロンビア州)
人々はアクティブに体を動かすのが好きで、サイクリング・ハイキングなどのアウトドアアクティビティをしている人を頻繁に見かけます。冬は雪が積もるので、スノボやスキーも人気です。
また、アジア系の多くの移民者が多いことから、日本食はじめアジア系の食材が手に入りやすいので、食に関するストレスを感じにくいでしょう。
トロント(オンタリオ州)
留学先として人気の地域ですが、カナダのオンタリオ州はとても寒い地域です。冬の時期は氷点下になって雪が続きます。変わって夏は、日本のような湿気のないカラッとした晴れの日が続きます。
また、世界的に有名なナイアガラの滝は、バス2時間で行けるほどの近さです。
モントリオール(ケベック州)
バンクーバー、トロントに比べてまだ日本人の割合が少ないので、自然と日本語から離れて英語環境を作ることができます。
生活していてフランス語が必要とされることもあるので、抵抗感がない人におすすめの都市です。
カルガリー(アルバータ州)
アルバータ州最大の都市でカウボーイの町として知られ、「カルガリー・スタンピード」と呼ばれるロデオのイベントが有名です。
1年の半分以上が冬で寒さが厳しく娯楽系のスポットは少ないので、都会っぽさよりも自然を楽しむ場所といえるでしょう。
オタワ(オンタリオ州)
オタワにあるカナダの国会議事堂(Parliament Hill)、ノートルダム大聖堂(Notre-Dame Cathedral Basilica)、世界遺産のリドー運河(Rideau Canal)など、カナダを代表する観光スポットが揃っています。
芸術鑑賞、カナダの歴史を学びたい方にぴったりの都市といえるでしょう。
カナダ留学に必要な準備
●ビザ申請
●住居手配
●通信手段の契約
●海外健康保険
カナダ留学に必要な準備は、留学エージェントを利用した際に詳しく教えてもらえる場合が多いです。
しかし、エージェントによってはサポート体制が整っていないこともあるので、自分で責任をもって留学準備を進めておくと安心です。私は留学エージェントを使わずワーホリをしたので、その時に気をつけたことも一緒に紹介していきます。
カナダ留学に必要な準備を、詳しくみていきましょう。
ビザ申請
特に、必要書類に不備があると、再度提出もしくはビザ却下になる可能性もあるので注意が必要です。
ビザの種類によって申請が承認される期間は異なりますが、私がワーホリ申請をした際は「約2ヶ月」でビザが承認されました。ビザが降りるまでの期間も考慮して、時間に余裕をもって準備を始めましょう。
住居手配
しかし、ホームステイ先は自分で選べないので、ホストファミリーの当たり外れがあるのが現実です。私の周りでも、ホームステイ先でのトラブルを聞くことは少なくありません。
エージェントを利用しなかった私は、オンラインでシェアハウスを探しましたが、良い物件は見つからず、最終的に友達の紹介で教えてもらったシェアハウスに入居しました。
また、オンラインでは詐欺物件も多くカナダでの家探しリスクが高いので、できればエージェントに早めに相談しておくとよいでしょう。
通信手段の契約
●店舗を訪れて契約を行う
●事前にオンライン契約
カナダ渡航後に店舗でSIMカードを購入して契約する、もしくは国外郵送対応の会社で先に契約してSIMカードを日本に郵送してもらう方法があります。
私は、日本にいるうちにオンラインで携帯プランを契約してSIMカードを郵送してもらったので、カナダに到着してすぐにスマホが使える状態でした。
また、新しいSIMが使えるように、留学前に自分の携帯電話がロック解除されているか確認しておきましょう。
海外健康保険
カナダの医療費は日本の約5倍と高く、保険なしに実費で医療費をカバーすることは非常に難しいです。格安保険〜手厚い保険まで種類は様々ですが、必ず保証内容の確認をしましょう。
また、カナダワーホリの場合は滞在期間中の海外保険が必須となり、カバーされていないと入国できない、もしくはビザの期限を短くされてしまうことがあります。
カナダ留学に必要な英語力
●語学学校
●ワーホリ・co-op
●公立カレッジ・大学
語学学校は、英語ができない前提で授業が進むので、英語に自信がなくても全く問題ありません。
しかし、現地で働く、専門分野の授業を受ける場合は、英語ができる前提で仕事や授業が進んでいきます。英語ができないと、そもそも何を言われているか分からず苦労してしまうので、留学スタート時点で英語力がどれだけあるかが大切です。
それぞれ、必要な英語力を詳しくみていきましょう。
語学留学で英語力をあげたい場合
理由は、語学学校では英語レベル別のクラスが用意されていて、自分にあったレベルの英語を学ぶことができるからです。
しかし、レベルが低いクラスでは日本人の比率が高くなるので、日本人同士で固まってしまって英語が話しにくいことも少なくありません。
よって、レベルが高いクラスに入るために、渡航前に英語学習を進めておけるとベストです。
ワーホリ・co-opで現地企業で働きたい場合
最低でも「IELTS 5.5」、IT系の専門分野なら「IELTS 6.5」レベルが目安となります。co-opの中には、一定の英語力を入学条件としているプログラムもあります。また、ワーホリやco-opにおいて、VERSANT(バーサント)のスコアが50程度以上であれば、日常的な業務や社内コミュニケーションに問題なく参加できるでしょう。VERSANT(バーサント)は、スピーキング・リスニングスキルを測定するためのテストで、企業でのコミュニケーションに特化しています。
私自身もワーホリしてみて、渡航後すぐに英語面接ができるレベルでないと、仕事を見つけるのに時間はかかっただろうなと思いました。
現地の公立カレッジ・大学に進学したい場合
多くのカレッジや大学は、「IELTS 6.5〜7.5」のスコアを入学条件としています。英語のレベルとして、日常会話スキルだけでなく、レポートを書ける力やプレゼン力なども求められます。また、CAEL(カエル)というカナダの教育機関に特化した英語力テストがあり、公立カレッジや大学によって受け入れられる場合もあります。CAELのスコア要件は大学によって異なりますが、一般的に60から70点以上が求められることがあります。
留学生だけでなくカナダ人とも一緒に授業を受けることになるので、ネイティブレベルの英語力をつけておけると安心です。
まとめ