2025.04.05英語ビジネス

建築業界の英語プレゼンテーションで使えるフレーズ集|プレゼンを成功させるコツまで

グローバル化が進む現代において、建築業界でも、英語でプレゼンテーションを行う機会は増えていますよね。
海外のクライアントへの提案、国際的なコンペでの発表、または多国籍チームとのプロジェクトなどにおいて、英語でのプレゼン能力は重要なスキルの一つです。

しかし、日本では経験豊富な建築家の方でも、「プレゼンの構成をどう組み立てるべきか悩む……」「自信を持って話すのが難しい……」と感じている方は多いのではないでしょうか。

この記事では、建築業界において英語でプレゼンを成功させるためのポイントを、具体的なフレーズや実践的なコツとともに解説します。
英語が苦手な方でもスムーズにプレゼンを行うためのコツも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

建築業界での英語プレゼンテーションの基本構成

ここでは、英語でのプレゼンテーションをどのように組み立てればいいか、「環境に配慮した集合住宅」についてコンセプトを説明するという設定で紹介します。

英語のプレゼンテーションは、以下のような3部構成で進めるのが一般的です。

  1. 導入
  2. 本題
  3. まとめ

それぞれの段階で使えるフレーズを見ていきましょう。

導入

導入部分では、簡単に自己紹介をし、プレゼンテーションの目的を明確に伝えます。

例文とともに見ていきましょう。

まずは自己紹介です。

Hello, everyone. My name is Taro Yamada, and I am an architect from Gabby Corporation. 
皆さん、こんにちは。私の名前は山田太郎です。ギャビー社で建築に携わっております。

そして、プレゼンの目的を伝えます。

Today, I will introduce my project: an eco-friendly apartment building.
本日は、環境に優しいアパートのプロジェクトについてご紹介します。
Today, I will introduce my project: an eco-friendly apartment building.
本日は、環境に優しいアパートのプロジェクトについてご紹介します。
In this presentation, I will explain the concept, the materials we used, and the special features of the design. 
このプレゼンでは、コンセプト、使用した素材、そしてデザインの特長について説明します。
My goal is to show how this building can help reduce energy use and create a comfortable living space.
この建物がどのようにエネルギー消費を減らし、快適な住空間を作るのかをお伝えできればと思います。
Let’s start with the idea behind this project.
それでは、このプロジェクトの背景からお話しします。

このように、導入部では、自己紹介、プレゼンの目的、簡単な流れを紹介しましょう。
そして最後に、「Let’s start with〜.」や「Let’s begin by〜.」などを使って、本題への移行を示すと、聞きやすいプレゼンになります。

本題

導入が終わったら、いよいよ本題に入ります。
ここでは、コンセプトの説明・デザインの特徴・技術的な詳細・ベネフィット(利益)を題材に、例文を挙げます。

コンセプト

コンセプトの説明は、以下のように進めることができます。

This building is designed to be eco-friendly and comfortable. 
この建物は、環境に優しく、快適に過ごせるように設計されています。
We wanted to create a space that uses natural light and fresh air.
私たちは、自然の光や新鮮な空気を活かした空間を作りたいと考えました。
The design is inspired by traditional wooden houses, which help keep the inside cool in summer and warm in winter.
このデザインは、夏は涼しく冬は暖かい、伝統的な木造家屋からヒントを得ています。

デザインの特徴

デザインの特徴(素材・構造・環境への配慮)は、以下のように伝えるとよいでしょう。

We used local wood and recycled concrete to be more eco-friendly. 
私たちは、環境に配慮して、地元の木材とリサイクルコンクリートを使用しました。
The large windows let in a lot of sunlight, so we don’t need much electricity during the day. 
大きな窓からたくさんの太陽光が入るので、昼間はあまり電気を使いません。
The roof collects rainwater, which we can use for plants and cleaning.
屋根では雨水を集め、それを植物の水やりや清掃に使うことができます。

「eco-friendly(環境にやさしい)」という表現は、ぜひ覚えておきましょう。

技術的な内容

技術的な詳細(寸法・工法・施工プロセス)は、以下のように伝えます。

The building is 2,500 square meters in total. 
この建物の総床面積は2,500平方メートルです。
We used a modular construction method, which makes building faster and reduces waste. 
モジュール工法を使っており、工事を早く進められ、廃棄物も減らせます。
Many parts were made in a factory and then put together on-site.
多くの部品は工場で作られ、現場で組み立てられました。

総床面積の言い方(〇〇square meters in total)や、「モジュール工法(modular construction method)」などの用語は、日頃から語彙を増やしておくことをおすすめします。

ほかに覚えておきたい基礎的な用語としては、以下のようなものがあります。

  • energy-efficient(省エネの)
  • reinforced concrete(鉄筋コンクリート)
  • insulation(断熱材)
  • foundation(基礎)
  • prefabrication(プレハブ工法)
  • building code(建築基準法)

ご自身の専門分野に合わせて、必要な語彙を増やしておくことをおすすめします。

ベネフィット(利益)

プレゼンテーションでは自分が伝える内容がいかに相手の利益(ベネフィット)になるかを伝えることがカギになるでしょう。

建築業界における英語プレゼンで、強調したいベネフィットとしては、以下のようなものが挙げられるかと思います。

  • コスト削減
  • 環境への配慮
  • 快適性・機能性
  • デザイン(視覚的)の魅力
  • 施工の効率性

コスト削減のベネフィットについて伝えるには、以下のような言い方があります。

By using prefabricated materials, we can cut labor costs significantly.
プレハブ材料を使用することで、人件費を大幅に削減できます。
This building requires less maintenance, saving costs in the long run.
この建物は維持管理の手間が少なく、長期的にコストを節約できます。

環境への配慮としては、以下のような言い方があるでしょう。

This building consumes 30% less energy compared to traditional designs.
この建物は、従来のデザインと比べて消費電力が30%削減できています。
By incorporating solar panels, we achieve energy efficiency and lower carbon emissions.
ソーラーパネルを取り入れることで、エネルギー効率を高め、二酸化炭素排出量を削減します。

「consume」は「消費する」という意味の英単語です。「より少ない電力を(less energy)」などという言い方も使いこなせるようにしましょう。

快適性・機能性の向上をアピールするには、以下のような言い方ができます。

This insulation system keeps the indoor temperature stable, reducing the need for air conditioning.
この断熱システムにより、室内の温度が安定し、エアコンの使用を減らせます。

This insulation system keeps the indoor temperature stable, reducing the need for air conditioning.

この断熱システムにより、室内の温度が安定し、エアコンの使用を減らせます。

Wide hallways and step-free entrances make the space more accessible for everyone.
広い廊下と段差のない入口により、誰にとっても利用しやすい空間になります。

「accesible(誰でもその場所に行きやすい)」は、便利な表現なのでぜひ覚えておきましょう。

デザイン(見た目)の魅力をアピールするには、以下のような言い方ができます。

We combined traditional elements with contemporary design for a unique look.
伝統的な要素と現代的なデザインを融合させ、独自の外観を実現しました。
This design enhances the city’s landscape and blends seamlessly with its surroundings.
このデザインは都市の景観を向上させ、周囲の環境と調和します。
This interior blends modern and traditional elements for a unique look.”
この内装は、モダンと伝統的な要素を融合させた独自のデザインです。

日本語では「インテリア」は家具・照明などの「室内装飾品」を指すことが多いですよね。
ただ英語の「interior」は、「内装」や「室内」など、より広い意味を表すので覚えておきましょう。

施工の効率性をアピールすることもありますよね。

This lightweight structure simplifies transportation and installation.
この軽量構造により、輸送と設置が簡単になります。
With digital modeling, we can minimize errors and improve construction accuracy.
デジタルモデリングを活用することで、ミスを最小限に抑え、施工の精度を向上させます。

これらの文は一例にすぎませんが、参考になれば幸いです。

まとめ

そして最後に、プレゼンの要点を簡潔にまとめましょう。
さらに結びの一文として、聴衆の質問を受け付けるとよいでしょう。

例えば、以下のようにまとめます。

まとめの最初は、以下のような言い方がおすすめです。

To summarize, this project focuses on sustainability, energy efficiency, and modern design.
まとめると、このプロジェクトは持続可能性、省エネルギー、そしてモダンなデザインに重点を置いています。

そして、重要なポイントを再確認しましょう。

We used eco-friendly materials like wood and recycled concrete. 
私たちは木材やリサイクルコンクリートなどの環境に優しい素材を使用しました。
The design allows for natural ventilation and sunlight to reduce energy use.
デザインは自然換気と採光を活かし、エネルギー消費を抑える工夫をしています。
Also, the modular construction method makes the building process faster and more efficient.
また、モジュール工法を採用し、建設をより速く、効率的にしました。

最後に、今後の展望と結びの言葉でしめくくります。

We believe this project can be a model for future sustainable buildings. 
このプロジェクトは、将来の持続可能な建築のモデルになり得ると考えています。
Thank you for your time. I would be happy to answer any questions.
ご清聴ありがとうございました。ご質問があれば、お答えいたします。


最後の文ですが、日本人の方は、「ご遠慮なくご質問ください」という意味で、「Don’t hesitate to ask any questions.」と言いたくなるかもしれません。


ただ、この言い方は少しカジュアルで、学生同士のプレゼンや、社内の気心の知れた間柄でのプレゼンで使うべき言い方です。

クライアント向けのフォーマルなプレゼンでは、以下のように質問を受け付けましょう。

  • I would be happy to answer any questions you may have.

ご質問があれば喜んでお答えします。

  • Please let me know if you have any questions.

ご質問がありましたら、お知らせください。

  • I appreciate your attention, and I’m open to any questions.

ご清聴ありがとうございました。ご質問をお受けします。

建築業界でプレゼンテーションをスムーズに進めるための英語表現

ここでは、主に本題のパートを進める時、プレゼンをスムーズに進めるための簡単なフレーズを紹介します。

英語でプレゼンを進める時、原稿をベタ読みするのはおすすめできません。
むしろ、言葉に頼りすぎず、図やグラフなど、視覚資料も活用して、聴衆を話に引き込むことが重要です。

それでは、英語でプレゼンをスムーズに進めることができる具体的な例文を見ていきましょう。

話を始める・切り替える時に使えるフレーズ

本題を始めたり、話題を切り替えたりするときは、「ここが切り替え地点だ」と分かりやすいよう、道しるべの文を挟みましょう。

Let’s start with the concept of this project.
このプロジェクトのコンセプトからご説明します。
Now, let’s move on to the design features.
では、デザインの特徴の説明に移りましょう。

強調したい部分を伝えるフレーズ

プレゼンを行う際は、「ここが一番言いたい!」というポイントがありますよね。
棒読みでフラットに伝えてしまうと、

伝えたいポイントをきちんと強調するには、以下のような表現を使います。

One important feature of this building is its eco-friendly design.
この建物の重要な特徴の一つは、環境に優しいデザインです。
I would like to highlight the use of sustainable materials.
持続可能な素材の使用について強調させてください。

ストレートに「important~」と言ってもいいですし、「強調する」という意味で「highlight」という動詞を使うこともできます。

図やグラフなどを見せる時に使えるフレーズ

また、先ほどお伝えしたように、英語でのプレゼンでは、図やスライドなどを利用して、聴衆の興味を引き付けるのも重要なコツです。

Let’s take a look at this diagram.
こちらの図をご覧ください。
Now, let’s take a look at this drawing.
では、この図面を見てみましょう。
This is the floor plan of the building.
これは建物の平面図です。
Here, you can see the elevation view of the project.
ここに、プロジェクトの立面図があります。
As you can see in this diagram, the building has an open space in the center.
この図の通り、建物の中央には開放的な空間があります。
This chart shows the energy efficiency of our design.
このグラフは、私たちのデザインの省エネ性能を示しています。
The blue line represents the energy consumption over time.
青い線はエネルギー消費量を時系列で示しています。
The bar on the left indicates the cost of traditional materials.
左側の棒は、従来の材料のコストを示しています。
This part of the diagram highlights the structural support system.
この図の部分は、構造のサポートシステムを強調しています。

ぜひ参考にしてください。

英語でのプレゼンテーションを成功させるコツ

ここでは、英語プレゼンを成功させるための簡単なコツについてお伝えします。

具体的なコツは、以下のようなものです。

  • シンプルでわかりやすい英語を使う
  • 話の流れを明確にする(3部構成を意識する)
  • 視覚資料を活用する
  • 発音とイントネーションを意識する
  • 質疑応答の準備をしておく

シンプルでわかりやすい英語を使う

英語のプレゼンテーションを成功させるためには、シンプルで分かりやすい英語を使うのがおすすめです。
難しい言い回しの方がプロフェッショナルな印象を与えるのでは、と思われるかもしれませんが、プレゼンで最も大事なのは、「伝えること」です。

さらに、国際的なビジネスシーンでは、英語を話す人材はネイティブより非ネイティブがほとんどです。
メッセージが誤って伝わることを避けるためにも、分かりやすく簡潔な英語を心がけましょう。

例えば、以下の2つの例文を見てください。

Our design integrates various eco-friendly technologies that work together to create an energy-efficient and sustainable building.
私たちのデザインは、エネルギー効率の高い持続可能な建物を作るために、環境に優しい様々な技術を導入しています。
Our design uses eco-friendly technology to save energy and be sustainable.
私たちのデザインは省エネと持続可能性を目指し、環境にやさしい設計です。

どちらの文も同じようなことを言っていますが、前者のように長くダラダラと話すより、後者のように短く簡潔な文が、国際社会ではより好まれます。

また、難しい単語を避けるのも重要です。次の2つの例文を参考にしてください。

We utilized a sophisticated modular prefabrication technique to optimize construction efficiency.
建設効率を最適化するため、高度なモジュール式プレハブ技術を利用しています。
We used a simple modular construction method to build efficiently.
効率的な建設のため、シンプルなモジュール工法を使っています。

日本の難しい企画書を翻訳ソフトにかけてしまうと、1つ目のような文が提示されるかもしれませんが、2つ目の文のように、自分の言葉でシンプルにまとめた方が、熱意も伝わるでしょう。

話の流れを明確にする(3部構成を意識する)

冒頭の部分でも触れましたが、英語のプレゼンテーションでは、話の構成をはっきりさせることが重要です。

プレゼン自体、「導入→本題→まとめ」の3部構成で進めることがおすすめですが、本題の内容も、3つくらいにポイントを絞って話すと分かりやすくなります。

視覚資料を活用する

先ほどもお伝えしたように、プレゼンテーション内では、視覚資料を効果的に使うこともおすすめです。

プレゼンではスライドを使うことも多いと思うのですが、スライドには文章を詰め込みすぎないようにしましょう。

1つのスライドに載せるのは短いキーワードにとどめ、図表自体もシンプルなものにするとよいでしょう。

発音とリズム・イントネーションを意識する

言葉選びと同じくらいあるいはそれ以上に気を付けたいのが、実は発音とイントネーションです。

せっかく素晴らしい内容を発信しているのに、発音のせいで理解してもらえなかったら悲しいですよね。
ただ、日本人の英語の発音は、世界的にあまり評判がよくありません。
ネイティブのように完璧な発音を求める必要はありませんが、アプリや発音コーチングなどを利用して、ご自身の発音を今一度見直してみてください。

そして、英語の発音においては、リズムやイントネーションも大事です。
日本の英語学習で軽視されがちな部分ではありますが、「リズムが合っていれば発音は多少間違っていても通じる」と言われるほど、重要な要素です。

もし、英語プレゼンテーションまでにあまり時間のない方は、以下のポイントに注意しておきましょう。

  • 焦らずに、意識的にゆっくり話す
  • 重要な単語は少し強く発音する
  • 大きめの声ではっきり発音する(聞き手が理解しやすくなる)

自信がないと小さな声で早口になりがちですが、自信がない時こそ、大きな声でゆっくり、堂々とプレゼンを行うようにしましょう。

質疑応答の準備をしておく

英語のプレゼンテーションで最も緊張するのが、質疑応答の部分でしょう。
質疑応答では、どんな質問が飛んでくるか分からないため、セリフを用意しておくことができません。

それでも、あらゆる質問を想定して、それに対する答えをぶつぶつ独り言で練習しておくと、少し違う角度の質問にも応用がききます。

また、質問が聞き取れなかった時や、質問の意味が分からなかった時には、以下のようなフレーズが使えます。

Could you repeat that, please?
もう一度言っていただけますか?
Do you mean〜?
〜という意味でしょうか?

また、どう答えていいか分からなかった時には、以下のようなフレーズが使えます。

That’s a great question. I will look into it and get back to you.
良い質問ですね。調べて後ほどお伝えします。
I don’t have the exact answer right now, but I can find out for you.
今すぐ正確な答えは分かりませんが、お調べします。

まとめ

この記事では、建築業界における英語のプレゼンテーションで使えるフレーズと成功のコツを紹介しました。

英語のプレゼンテーションは、「導入→本題→まとめ」の3部構成で進めるのが一般的です。
また、本題で伝える内容も、3つ程度にポイントを絞りましょう。

忘れてはいけないのは、プレゼンテーションでもっとも大事なのは、「伝えること」だということです。
そのためには、一貫してシンプルで分かりやすい英語を選びましょう。

さらに、英語力に自信がないと、小さな声で早口で話してしまいがちですが、自信がない時こそ、大きな声ではっきりと発音するようにしましょう。

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