2023.04.25英語学習・フレーズ

子どもの第二言語習得を成功させるには?メリットと注意点を分かりやすく解説

小さいお子さんを持つ親御さんには、早期第二言語習得を検討している方も多いのではないでしょうか。
実際、早期英語習得には、様々なメリットがあると言われています。

その一方で、誤った第二言語習得をさせると、子どもに悪い影響を及ぼす可能性があります。

この記事で子どもの第二言語習得について正しい知識を学び、子育てに役立ててください。


早期第二言語習得のメリット

英語に対する抵抗感がなくなる

子どものうちに第二言語を習得させる最大のメリットは、英語への苦手意識をなくすことができるという点です。

小学校でいきなり英語の授業を受けると、英語が上手にできる子と自分を比べて、英語に苦手意識を持ってしまうことがあります。

幼い時なら、アニメやゲームなどを通じて楽しく英語に触れることができるため、英語に対してポジティブなイメージを持つことができます。
その結果、幼児期のみならず小学校以降も、英語の習得をスムーズに行うことができるようになるでしょう。

脳や耳が英語に慣れる

一般に子どもは、大人より言葉を覚えやすいと言われています。
昔は、言語習得には「臨界期」があると言われていました。13歳以上になると、ネイティブスピーカーとして言葉を覚えるのは難しくなるといった説です。

現在は「臨界期」という考え方より、「感受性期」という言葉が一般的になっています。
赤ちゃんの時に言語への感受性が最も高く、大人になるにつれて、その感受性が減少していくという考え方です。

赤ちゃんの時は、全ての言語音を聞き分けることができるといわれています。
しかし、周りの大人が話している言語音の傾向に合わせて、自分の言語に必要な音の違いのみを聞き分けられるように、脳がカスタマイズされるのです。

音への感受性は、年齢によって減少するのが最も早いと言われています。
つまり、幼児期に英語に触れさせることで、LやRの聞き分けやTHの発音など、日本人が苦手とする発音も身につきやすくなる可能性があります。

認知能力が向上する

バイリンガルは言語を話す際に、頭の中で絶えず「コード・スイッチング(文章や会話の中で言語を切り替えること)」を行っています。

バイリンガルがコード・スイッチングを行っている例としては、”I haven’t seen my おばあちゃん in a while.” のように、日本語と英語を混ぜた発話が挙げられます。
このように常に言語間で注意力を行き来させることは、「バイリンガル・アドバンテージ」という、優れた認知能力につながると考えられています。

例えばバイリンガルの人は、メタ言語能力(言語そのものについて考え、その仕組みを理解する能力)が高く、第三言語をより簡単に習得できるといわれています。

また、複数の言語の経験が蓄積されると、認知機能を予防するという研究結果もあります。

子どものうちに第二言語習得による認知能力の向上が望めるとすれば、第二言語習得を幼いうちに始めるというのは、一つの選択かもしれません。


早期第二言語習得で注意したいこと

英語嫌いになる可能性

また、第二言語習得を嫌がっている子どもに、英語学習を強要すると、英語嫌いになるリスクがあります。

「英語に対する苦手意識の克服」は早期第二言語習得の最大の利点です。
しかし、嫌がる子どもに英語学習を強要すると、英語へのネガティブなイメージが強まることになり、全くの逆効果です。

お子さんの早期第二言語習得を望む場合は、まずはアニメや遊びなど、子どもが楽しめる環境づくりをおすすめします。

日本語での論理的思考能力に影響する可能性

バイリンガルを目指すのであれば、日本語で論理的思考ができるようになってから、第二言語習得を始めた方がよいという意見もあります。

私自身も、本格的に英語学習を始めたのは大学入学後ですが、「ネイティブに近い」と言われる英語を身につけることができました。

ただ、日本人家庭で育ち、日本の学校に通っているならば、さほど心配する必要はないという意見も多く、意見の分かれる論点ではあります。

日本語も英語も充分に習得できない可能性

子どもの第二言語習得で注意したいのは、日本語が未発達な状態で第二言語習得を強要しないことです。

インターナショナルスクールなど、一日のほとんどの時間を英語のみで過ごす環境にいる場合、日本語の発達が遅れてしまうことは珍しくありません。

早期第二言語習得は、適切に行わないと、子どもが日本語も英語も充分に使えない状態に陥ってしまう可能性があります(いわゆる「セミリンガル」現象ですが、差別的であるとして、この用語は避けられる傾向にあります)。

ただ、日本に住み、日本の学校に通っている子どもなら、日本語力にさほどの影響はないという考え方が主流です。


終わりに

私は、3か所の幼稚園のご協力で、「英語を全く学習していない園児たち」・「英語を週に2~3回学習している園児たち」・「イマージョン(英語漬け)教育中の園児たち」の言語能力やメタ言語能力を調査したことがあります。

そして、調査の結果、英語の学習頻度が高い園児ほど、高いメタ言語能力が認められました。

一方で、英語学習の頻度が高い園児に、1歳程度の語い力の遅れが見られたのが気になったのですが、成長するにつれて、英語を学習していない園児たちと、語い力も並びました。

ただ、子どもは覚えるのも早いですが、忘れるのも早いです。幼児期に英語を学習しても、小学校以降にトレーニングを怠れば、すぐに英語を忘れてしまうということも明らかになっています。

子どものとき第二言語を習得させるのは、あくまで英語への苦手意識をなくすことを目的とした方がよいでしょう。

また、幼児期に英語を学習していなかった人も、英語を学習するのに「遅すぎる」ということは、全くないと思います。大人になってからでも、第二言語習得は充分可能です。

子どもに第二言語を習得させようとするなら、親御さんも一緒に英語を勉強するのはいかがでしょう。お子さんのやる気もアップして、一石二鳥ではないでしょうか。


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