「out of」という熟語を日本語に訳すと、さまざまな意味になりますよね。
「~の外へ」という意味だけでなく、「~を切らしている」という意味や、「~からできている」という意味もあります。
幅広い範囲を指す熟語なので、なかなか覚えられないと感じている方も多いでしょう。
この記事では、まず、「out of」の意味を把握する簡単なコツを紹介します。
さらに、これだけはおさえておきたい「out of」の意味5つを解説するので、ぜひ参考にしてください。
「out of」の意味を覚えるコツ
「out of」の意味は、大きく分けると以下の5つになります。
- 空間(~の外へ)
- 状態(~外の)
- 不足(~を切らしている)
- 理由(~という動機で)
- 材料(~からできている)
この5つの項目だけを並べると、まったく関連のない、ばらばらの意味を指す熟語に感じられるかもしれません。
しかし、「out of」のすべての意味は、ひとつのコアイメージから派生したものです。
そして、「out of」のコアイメージは、文字通り「内から外へ」というものです。
これを踏まえると、先ほどの5つの意味も、イメージで把握することができます。
- 空間:物理的に「外へ」
- 状態:本来の状態・状況から「外れる」
- 不足:所有範囲の「外」
- 理由:感情の「出どころ」
- 材料:物の「出どころ」
まず、「He walked out of the room.(彼は部屋の中から外へ歩いて出た)」のように、物理的に「中から外へ」という表現なら、イメージしやすいですよね。
それ以外にも、「使用不能」の「状態」を指す「out of service」という表現は、「通常の状態から “外れている”」と解釈することができます。
「This table is made out of wood.(このテーブルは木から作られている)」という表現の場合、テーブルがどのような材料からできたのか、「出どころ」や「源」を指しているのです。
次の章では、「out of」の5つの意味を、さらに詳しく見ていきます。
「out of」の意味5つ
先ほど触れたように、「out of」の意味は、大きく分けて以下の5つです。
- 物理的に「外へ」
- 通常から「外れた」状態
- 所有範囲の「外」=「不足」
- 感情の「出どころ」=「理由」
- 物の「出どころ」=「材料」
それぞれの意味を、例文とともに詳しく見ていきましょう。
1. 物理的に「外へ」
「out of」は、まず、「内から外へ」物理的に移動することを指します。
彼女は車から降りた。
猫が箱から飛び出した。
カバンから携帯電話を出して。
この意味は、問題なくイメージできる人が多いと思います。
2. 通常から「外れた」状態
「out of」を理解するうえで少し難しくなるのが、「本来の状態・状況から “外れている”」描写です。
以下の例文を参考にしてください。
その機械は故障中だ。
彼女は失業中だ。
彼は手がつけられなかった。
これらの例文は、それぞれ以下のように解釈することができます。
- 機械が正常な機能から ”外れている” 状態
- ひとが定職から “外れている” 状態
- ひとが自制心から ”外れている” 状態
「正常な」・「通常の」または「望ましい」状態から、「外れている・抜け出している」という意味でも、「out of」が使われるのです。
3. 所有範囲の「外」=「不足」
「out of」は、「所有範囲、ストックの中から外に出てしまった(切らした)」という意味で使われることもあります。
以下の例文を参考にしてください。
コーヒーを切らしている。
プリンターの用紙が切れている。
お金がない。
4. 感情の「出どころ」=「理由」
「out of」は、ひとの行動の「理由」を表す時にも使います。
彼は親切心でそのようなことをした。
彼女は罪悪感から謝った。
彼は恐怖から行動した。
少し難しいかもしれませんが、感情・心理的な動機が内側にあって、それが行動という形で「外に出た」というイメージです。
5. 物の「出どころ」=「材料」
「out of」は、製品の材料を指す時にも使われます。
以下の例文を見てください。
このバッグは革でできている。
彼女はリサイクル資材で家を建てた。
この場合は、「材料の中から、目的の形に作り出した」とイメージしてみてください。
同じ「~でできている」という意味の「made of」や「made from」との違いは、のちの章で解説します。
番外編
「out of」は、数字や割合を表現する時にも使われます。
基本的には、限定された集合や範囲の、「外にある」または「外された」というイメージです。
以下の例文を参考にしてください。
50人の生徒のうち、10人が落ちた。
ちなみに、「外にある」「外された」というと、ネガティブなイメージに聞こえますが、必ずしもネガティブな意味で使われるわけではありません。
以下の例文を参照してください。
20人中10人が賛成した。
この例文の場合は、「20人という全体の中から、10人が “選ばれて” 外に出た」というイメージでとらえることができます。
out ofと似ている表現と使い分け
ここでは、「out of」と似ていて混同しがちな表現と、両者の使い分け方を解説します。
- from(~から)
- without(~なしで)
- made of(材料)/ made from(原料)
- because of(理由)
それぞれ例文とともに、詳しく見ていきましょう。
from(~から)
「起点」や「出どころ」を指す表現として、「from」がありますよね。
日本語に訳すと、「from」も「out of」も「〜から」となります。
ただ、fromは「どこから来たか」に焦点を当てているのに対し、out ofは「中から外へ出る動き」に焦点が当たっており、より動的です。
たとえば、「彼はバッグから本を取り出した」と言いたい時は、「He took the book out of the bag.」と言う方が自然です。
「He took the book from the bag.」と言いたくなりますが、この言い方だと、「ほかのどの場所でもなく、バッグから取り出した」ということを強調してしまいます。
「取り出した」という「動作」には焦点が当たらないため、少し不自然な表現になってしまうのです。
without(~なしで)
「out of」と同じく、「不足・欠如」を指す表現として、「without(~なしで)」がありますよね。
ただ、「without」の場合は、「最初から~がない」ことを指すのに対し、「out of」は、「もともとあったが、今はない」状態を指します。
次の例文を参考にしてください。
コーヒーは牛乳なしで飲む。
牛乳を切らしている。
最初の例文の場合、この例文の話者は、もともとミルクなしでコーヒーを飲むのが習慣であるという意味になります。
それに対して、2番目の例文の場合、牛乳は常備されていて、たまたま切らしているというニュアンスになります。
made of(材料)/ made from(原料)
前の章で、「made out of」は「~でできている」という意味になることをお伝えしました。
ただ、「~でできている」は英語で「made of」または「made from」だと、学校で習った方が多いと思います。
「made of」を使った文には、以下のようなものがありますよね。
その椅子は木でできている。
この指輪は金でできている。
このように、見た目材料がすぐにわかる場合や、素材の種類に焦点を当てたい時に、「made of」を使います。
それに対して、素材が原形をとどめておらず、製造過程や変化に焦点を当てたい場合は、「made from」を使いますよね。
ワインはぶどうから作られる。
紙は木からできている。
それでは、「made out of」はどのように使うのかというと、「素材から作った」ことに、「意外性・工夫」というニュアンスが加わります。
彼は古いジーンズから財布を作った。
その彫刻はスクラップ金属から作られた。
最初の例文からは、「工夫して作った」というニュアンスが見てとれますし、2番目の例文では、「意外な材料」であることに焦点が当たっています。
ちなみに「made out of~」を使う場合、素材の原型は、とどめている場合も、そうでない場合もあります。
クリエイティブな創作物を描写する場合や、リサイクル・アップサイクルの文脈に最適な表現なので、ぜひ使えるようにしておきましょう。
because of(理由)
「out of」は「理由」を表す時に使えるということを前の章でお伝えしました。
「理由」を指す英語表現としては、「because of」もよく使いますよね。
ただ、「out of」は、内面的な感情(kindness, fearなど)が「理由」となっている場合を指します。
それに対して、「because of」は事実・状況が原因
彼は親切心から私を助けてくれた。
彼は雨が原因で家にとどまった。
最初の例文から分かるように、理由を指す意味で「out of」を使う時は、内面的動機が「理由」となっているケースが多いです。
それに対し、「because of」を使う場合は、基本的に「外的要因」が「理由」になっています。
まとめ
「out of」には、以下の5つの意味があることを解説しました。
- 物理的に「外へ」
- 通常から「外れた」状態
- 所有範囲の「外」=「不足」
- 感情の「出どころ」=「理由」
- 物の「出どころ」=「材料」
和訳してしまうと、ばらばらの意味に見えてしまいますが、それぞれ「内から外へ」というコアイメージから派生していることを踏まえると、少し覚えやすくなるかと思います。
すべて使いこなすのはなかなか難しいかと思いますが、うまく取り入れると、英語表現の幅がぐんと広がります。
ぜひ、日常英会話や英語ビジネスシーンで活用してみてください。