2025.12.10

英語の発音を習得したい人が必ず理解すべき「プロソディー」とは|分かりやすく解説

文法や単語の勉強を頑張っているのに、発音がネックになって英語が通じないのは、つらいですよね。
英語の発音をマスターするには、英語の音それぞれを学び、音節や音声変化を理解する必要があります。
そして、英語の発音学習の総仕上げとなるのがプロソディー(韻律)です。
これらすべての要素が揃って、はじめて相手(英語話者)にとって「聞き取りやすい」英語を話すことができるのです。
この記事では、特に分かりにくい「プロソディー」の部分を重点的に解説します。


ちなみに、英語の個々の音や音声変化については、以下の記事で詳しく解説しています。


プロソディーとは

プロソディーは「韻律」とも呼ばれ、英文の意味やニュアンスを左右する、音楽でいうメロディーのようなものです。


日本語には日本語の、英語には英語のプロソディーが存在するため、英語のプロソディーで話さないと、正しい発音をしていても不自然に聞こえたり、正しい内容が伝わらないこともあります。


そして、英語のプロソディーは、主に3つの要素で構成されています。


  • リズム
  • ストレス
  • イントネーション

それぞれどんなものか、詳しく見ていきましょう。


プロソディーの3要素:①リズム

英語の「リズム」とは、「強く長く発音する部分」と「弱く短く発音する部分」の組み合わせです。
このように言われても分かりにくいと思うので、実際の例文を見ていきましょう。


以下の文を見てください。

There are some apples in the basket on the table.

この文で特に重要な単語は、「apples(リンゴ)」と「basket(かご)」「tablel(テーブル)」の3つです。
そのため、この3つの単語は、強く、長く読みます。


一方で、「There are」「some」「in the」「on the」という部分は、弱く短く読みます。
この文を読む時は、以下のようなイメージで発音することになります。

There are some APPLES in the BASKET on the TABLE.


英語は、日本語に比べて、リズムがとても重要視される言語です。
「リズムさえ合っていれば、発音は多少間違っていても通じる」と呼ばれるほどです。


しかし、日本人学習者は「There are」「some」「in the」「on the」のような部分も、均等に強く発音してしまう傾向にあります。

そうすると、文法的・意味的には正しいことを言っているのに、言っている内容が通じない可能性があります。


英文を発音する時は、意味的に重要な単語(内容語)を強く、前置詞や冠詞(機能語)を弱く発話するよう心がけましょう。


ちなみに、「通じる英語」に向けて、英語のリズムにはこんなコツもあります。
先ほどの文を例にとると、「重要な単語」を中心に、以下のような「意味のかたまり」が生まれます。

There are some APPLES|in the BASKET|on the TABLE.
リンゴがある / かごの中に / テーブルの上の

この「意味のかたまり」3つがそれぞれ同じ長さになるように発話すると、自然で通じやすい英語になります。


プロソディーの3要素:②ストレス

「ストレス(強勢)」とは、「英単語のどの部分を強く発音するか」ということです。「アクセント」と呼ばれることもありますよね。
もっと具体的にいうと、「ストレス」とは、「どの “音節” を強く発音するか」ということです。次の項では、まず、「ストレス」を理解する上で欠かせない、「音節」について解説します。


音節とは

「音節」とは、シラブルともいいますが、「母音を中心とした音のかたまり」のことです。
たとえば「September」という単語は、「Sep・tem・ber」の3音節で構成されています。


音節は、母音を中心に構成されるため、核となる母音は必ず1つです。母音ひとつだけで構成される音節もあります。
その一方で、母音と組み合わされる子音の数は非常に多くなるケースもあります。たとえば、「sport」は1音節です。「strike」も1音節です。


ただ、日本語の子音を伴う音節(文字)は、「か(ka)」や「ぬ(nu)」のように、1個の子音+1個の母音から構成されるものがほとんどです。
そのため、日本人英語学習者には、「子音を単独でとらえる」ことを苦手とする方が多いのです。


そうすると、「sport /spɔrt/」の母音は1つなのですが、「ス(su)」や「ツ(tsu)」などの部分に、「存在しない母音」を入れて発音してしまいがちです。
その結果、「sport」を「ス・ポ・-・ツ」と4音で発音してしまうことになります。


しかし、英語話者にとって「sport」は1音なので、日本人訛りの英語は「聞き取りづらい」「理解しにくい」といわれてしまうのです。


それでは、「音節」=「母音を中心とした音のかたまり」ということを把握した上で、英語の「ストレス」について学んでいきましょう。


ストレスとは

「ストレス(強勢)」とは、「単語のどの音節を強く発音するか」ということです。


たとえば、「information(情報)」という単語を例にとりましょう。
「information」を音節でとらえると、「in・for・ma・tion」の4つに分けることができます。
そして、「information」のどこを強く発音するかというと、「in・for・MA・tion」のように、/mei/(メイ)の部分を強く発音しますよね。


日本語では、「単語のどこを強く発音するか」は意味にあまり影響はありませんが、英語では非常に重視されるポイントです。


たとえば、「volunteer」という単語は、英語では /vɑ̀ləntír/(ヴァーランティーア)のように発音されるため、「ボランティア」と発音しても通じません。
「career」も、日本人は「キャリア」と「キャ」を強めに発音してしまいがちですが、実際の発音は /kəríər/(カリーア)であり、カタカナ英語ではまず伝わらないでしょう。


また、単語によっては、ストレスの位置を間違えると、意味が変わってしまうものまであります。


次の単語のペアを見てください。

REcord(記録)
reCORD(記録する)

OBject(物体)
obJECT(反対する)

このように、ストレスの位置によって、意味が変わってしまう単語もたくさんあります。
誤解を避け、英語コミュニケーションをスムーズに行うために、英語の正しいストレスを身につけておきましょう。


英語の「ストレス(強勢)」についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事も読んでみてください。


プロソディーの3要素:③イントネーション

イントネーションは「抑揚」ともいい、文全体のニュアンスをととのえる働きをしています。
日本語ではイントネーションは文の意味に影響しにくいですが、英語では、イントネーションによって、文全体の意味が変わってしまうこともあります。
そのため、正しいイントネーションを心がける必要があるのです。


まず、肯定文は、下がり調子で読むのが基本です。

You eat dinner. ↓
夕飯食べるんだね。

しかし、この文を上がり調子で読むと、疑問文のニュアンスが生まれます。

You eat dinner?↑
夕飯食べるの?

そして注意したいのが、イントネーションによって意味合いが変わってしまうケースです。

以下の文を見てください。

Excuse me. ↓
すみません。

この表現を穏やかに下がり調子で読むと、日本語の「すみません」に近い意味合いになります。
しかし、上がり調子で読むと、「すみません」とは異なるニュアンスが生まれてしまいます。

Excuse me? ↑(弱く)
今、何と言ったんですか?
Excuse me? ↑(強く)
なんですって!?(怒っている)

イントネーションは、日本人が思っている以上に、英語にとって重要な要素の1つです。
誤解を生んだり、コミュニケーションの妨げになったりしないように、正しいイントネーションを心がけましょう。


英語のイントネーションについてもっと詳しく知りたい方には、こちらの記事もおすすめです。


まとめ

英語の正しい音素や音声変化を習得すると、自分の言いたい内容が伝わりやすくなります。
そして正しいプロソディーを習得すると、自分の気持ちを正しく伝えることができます。


英語を学んでいる人は、翻訳ソフトを使わずに自分の熱意を伝えたいという、「志」を持つ人だと思います。
熱意をしっかり伝えるためには、単語や文法・個々の発音だけでなく、プロソディーもしっかり学びましょう。


英語で自分の気持ちを正しく伝えられるだけでなく、相手の気持ちも正しく受け取ることができるはずです。

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ホール 奈穂子

株式会社ギャビーアカデミー代表取締役

元九州大学職員。TOEIC 990、IELTS 7.5(Speaking 8.0)を誇る、英語学習独学のスペシャリスト。27歳から英語を学び直し、自らの人生で英語習得がもたらす可能性を証明。米国赴任、留学プログラムや海外大学との共同学位取得プログラムの設計・運営に携わった経験から、日本人の英語学習における課題を深く理解し、効果的な学習方法を追求。その集大成として、東京大学と共同で、脳科学に基づいた独自の英語スピーキング習得メソッドを開発。現在カナダ・バンクーバーに在住。世界を舞台に活躍する日本人ビジネスパーソンの育成に情熱を燃やし、日本とバンクーバーを往復しながら精力的に活動中。趣味はカナダを舞台にしたサケ釣り。

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